第1話 異世界に立つ
見上げた空には雲ひとつなく、心地良い風が髪を撫ぜる。
「綺麗な空。」
空を見上げ呟いた言葉はそれだった。
故郷と同じように美しい空に少しだけ郷愁が煽られる。
夏生にとって空はとても重要な場所であった。
かつて修学旅行の際に見たアメリカの空のように、全く違う空であればよかったのだろうか。それはそれできっと、もう二度と見れない空に深い悲しみを覚え泣くことになっただろう。
「えーと、すてーたすおーぷん?」
神と名乗った存在に渡された紙を見ながらそう言葉にする。
すると視界に半透明のウィンドーが浮かび上がる。
ナツキ(椎葉夏生)
職業:???
体力 E-
知力 B-
速さ E+
精神 C +
頑丈 E+
固有スキル: 創造
スキル:料理lv5 製菓lv4 四則演算 算術 精神分析 隠遁lv6 気配遮断lv5 気配察知lv4 弓術lv2 刀術lv1 歌唱 精神耐性lv6 苦痛耐性lv7 精霊魔法 時空魔法 鑑定 偽装lv2 幸運
称号 異世界神の加護 聖職者 異邦人
「えーとなになに?ステータスオープンは鑑定の能力の一つで...。」
鑑定スキルは文字どおり様々なものを鑑定できる極めて珍しいスキルである。持っていれば大抵の職業において重宝される。
それは生物無生物関係なくそのものの持つ情報を見ることができ、人間相手でも使うことができるからだ。
下位互換として無生物に対してのみ使うことができる審美眼や人のステータスだけの一部を見ることができる看破などがある。
スキルは声に出して唱えずとも発動し、余程実力差がない限り鑑定を使っていることはばれない。もちろん声に出してもスキルは発動するのだという。もちろんそんなことを夏生は知っているわけがない。
全ては手紙の2枚目に書かれていた。
今までの経験などからスキルが与えられている様なのだがこの世界に住む人間よりも多くのスキルを有しているようだ。
手紙の一枚目にはこう書かれていた。
『この度は部下の不始末で取り返しのつかない事になってしまい大変申し訳ないと思っています。今までの貴女の経験や、貴女の魂の特性などから、この世界のシステム(便宜上システムと呼ぶ)によって貴女のステータスやスキルが算出され取得されています。
鑑定と偽装は貴女がこの世界で生きていく上で便利であろうと私が与えたスキルです。鑑定は大変珍しいものなので看破や審美眼であるとでもごましてください。
偽装も生きていく上で便利なので活用してください。ステータスを偽れます。基本的なステータスは一般人で平均E+くらいです。
しないとは思っていますが偽装を使用しての犯罪はやめて欲しいです。
貴女がこれから稼いだであろうお金と貴女の所持していたものの総額をこの世界の貨幣に変換し、慰謝料をプラスして貴女のアイテムボックスに入れてあります。
どの国でも使える金貨、銀貨、銅貨だけでなく昔供えられた古い貨幣や武具、宝石や希少金属なども慰謝料の一部として少し色をつけて入れてありますのでご活用ください。最後に、貴女がこの世界で実り多い人生を歩みますことを祈ります。』
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