episode0-プロローグ-
午前4時、鳥の囀りが聴こえる時間。なんとか講義で提出するレポートは書きあがったものの、家のプリンターの調子が悪く印刷することができなかった。
提出する講義は一限である。つまり、9時前に印刷しないといけない。
朝一で学校に行き印刷しようと考えながら眠りについたのはいまから3時間ほど前だ。
現在の時刻は8時。3時間前なので寝たのは5時になった頃である。なんだかんだ色々な準備をしていたところそんな時刻になっていたのだ。
寝た時間が遅かったせいかただでさえ朝が弱い夏生はボーッとしながら信号待ちをしていた。
不意に悲鳴とブレーキ音が木霊する。
気が付いた時には眼前に大型トラックが迫っていた。
人は、誰しもが死ぬ。
形あるものには終わりがある。
永遠の命は存在せず、命は平等ではない。
若くして死ぬもの。生まれる前に死ぬもの。老いてから死ぬもの。様々だ。
病から死に至るもの。親の都合で殺されるもの。不慮の事故で命を落とすもの。老衰で往生するもの。種々にわたる。
生きとし生けるものはすべて、生まれた時に大体の命の長さが決められている。生を受けてからの行動で変わることもあるが。
それは稀である。
これは不慮の事故であった。
しかしただの事故ではなかった。
起きるはずのない死であった。
全ては運命の悪戯。
神のミス。