いじめ?そんなもので俺を止められると思うな
おはようございます。立花春世です。
夏真っ盛りの今日この頃ですが、日焼け対策などはどうされていますか?
ぶっちゃけ俺は何もしていません。しなくても焼けない体質なんですよ。羨ましいか女子ども。
まぁ代わりに赤くなるからそれはそれで辛いんですけどね?
えー、なぜ急にこんな話をしているかというと絶賛直射日光満喫中だからです。
目の前で茶髪のチャラ男とニキビだらけの男と酢豚野ろ…横にデカイ男がいじめを行っているせいで出るに出られないんですよ。
朝、俺は寝坊をした為、いつもより急いでいた。
このままでは遅れるって場合、選択肢は二つ。一つはすっぱり諦める。もう一つは近道をする。
この学校、全寮制だけあってすっごい広い。人口爆発している地域に謝ってこいってレベルで広い。
そこで、天才的思考回路を持つ俺は考えたわけです。
ーこれ、寝坊したら終わりじゃね?ーと。
その日から俺の学校探索が始まった。放課後になる度に激しくウォーキングですよ。
由乃先生からは、競歩部に入部するか?って言われましたよ。大きなお世話だ。ありがとう。
まぁ、そんなこんなで苦節一ヶ月、俺はこの近道を見つけた。
いざという時にしか使わないと心に決めていたので、今朝、初めて使った。
その結果がコレ。
チャラ男「だぁかぁらー、とっとと土下座しろっつてんだろぉ?日本語わからないんですかぁー」
てめぇが日本語喋れ。
ニキビ「おいおい。可哀想だろ?こいつの母親外人サンなんだからさ。日本語教えられなかったんだろ」
てめぇの顔の方が可哀想だろーが。
酢豚「正直、邪魔なんだよクズが。お前のせいでゆみちゃんにフラれたし」
邪魔なのはてめぇの贅肉だ酢豚野郎。
そう。俺がたかがいじめで立ち止まっている理由がこの酢豚野郎です。
まだ、道を塞いでいるのがチャラ男かニキビ野郎なら良い。ギリ通れる。
だが、現実はそう甘くはない。
よりにもよって、酢豚野郎が俺に背を向け、道のど真ん中でふんぞり返っている。
なんの嫌がらせだコノヤロウ。
俺が心の中で好き勝手言っている間にも、話は進んでいく。
チャラ男「てか、人のオンナに手ぇ出すとかありえなくね?」
…
ニキビ「そうそう。それを土下座で許してやるって言ってんだから俺ら相当優しいよな」
…
酢豚「てかどうせさせるなら、服脱がせて動画撮ろうぜ」
はい、アウト。
俺は、簡単な準備運動を始める。
しゃがんで、アキレス腱をよくほぐし、軽く3、4回ジャンプ。それから最後に助走。
「パイナップル入れてやろうかぁぁっ!」
「がぁっぶふぅっ」
俺の足の裏が、酢豚野郎の後頭部にジャストフィット。酢豚野郎が奇声をあげながら、地面に崩れ落ちる。
そのままあっけなく気絶。
アレ?もっと飛距離、出ると思ったんですけどね?
不思議に思ったが、謎は簡単に解けた。
今まで話していた三人とは別の、金髪の男が、その長い足を前に伸ばしていた。その格好から推測するに、酢豚野郎の腹部に蹴りを入れたのだろう。
簡単に言うとサンドイッチ状態。
「酢豚じゃなくてハムの方がよかったか」
俺が小さくこぼすと、それまでポカン、としていたチャラ男とニキビが、我に返ったのかキレ始める。
チャラ男「いやいやいやっ!ちょっ、おまっ!急に出てきて何やってんだよ⁉︎」
「飛び蹴り」
ニキビ「そういう事じゃねぇっ‼︎」
うるさいな。キレやすい男って男として終わってますよね?むしろ人間ですらないですよね。森へ還れ。
「君らさぁー、高校生にもなっていじめとか恥ずかしくないの?むしろ恥ずか死なないの?なんで哺乳類みたいに酸素吸って二酸化炭素吐き出しているの?」
ニキビ「そこまで言う⁉︎」
当たり前です。
「これで俺が遅刻して由乃先生に国語辞典アタックくらったらどうしてくれるの?俺は急いでるんだよ。空気読めよ。読めないなら吸うな」
チャラ男「俺ら明らかに関係なくね⁉︎」
「だいたいいじめられる方もさぁ…ん?」
言い過ぎた気もしたが、この際不満を全てぶちまけてやろうと開き直ったところで俺は気づいた。
肝心のいじめられっ子はどこですか?
こんな馬鹿共に好き勝手言われているような、気の弱そうな男が見当たらないのだ。
いるのは、チャラ男、ニキビ、酢豚野郎、金髪だけ。
…え?
金髪が馬鹿共の仲間なら、酢豚野郎を蹴る必要はない。だが、いじめられる側なら?
…。
いやー、でもこの人いろいろ半端ないですよ?
まず目を引くのが、太陽の光を受けてキラキラと輝く金髪。染めたような違和感が無いから地毛だろう。
その次が顔。深海のような深い碧の瞳が言いようもない恐怖を持たせるものの、凄まじく整っている。
色彩は西洋を思わせるが、顔立ちは日本人に近いので、ハーフか何かだろう。
「…え?コレをいじめてたの?」
思わず、金髪を指差す。
ニキビ「いじめ⁉︎違う!正当な主張だろ!」
チャラ男「吉田がゆみちゃんにフラれたのはこいつのせいだって!こいつがゆみちゃんに色目つかわなきゃこんな事にはっ‼︎」
酢豚野郎は吉田という名前らしいです。
「でもさぁ、こんなイケメンに言い寄られたら一発KOだって…身の程を知ろう?」
チャラ男・ニキビ「「ぅう…」」
チャラ男とニキビは酢豚野郎をチラリと見ると、うなったきり、黙りこんでしまった。
素直でよろしい。
「じゃ、解決したって事で!お疲れっしたー」
そろそろ、本気で遅刻すると思った俺は4人を通り抜けて颯爽とたち去る。
いやー、たまにはいい事をしてみるものですね。気分がいいっ‼︎
調子に乗った俺は鼻歌を歌う。
全力疾走で。