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ツンデレのデレの部分でダウトと叫ぶ

「ねぇ、知ってる?肉ってさーヨーグルトに漬けておくと柔らかくなって美味しいんだって」

「…今日の昼食はそれなんですか?」

雅宗君ったら、今の間はなんなんでしょうね?そんなに警戒しなくても良いと思うんですよね。俺が傷付くから。

「そう。朝コンビニで見つけてさ。思わず買っちゃった」

「嫌な予感しかしないんだけど」

まさに運命的な出会いと言っても過言ではないですよ。

「じゃじゃーん!!『クリーム入り飲むヨーグルト~牛煮と共に~』ですっ!!」

「「柔らかさどこ行った!?」」

おぉ、二人共息ピッタリ。

「もはや固形物ですらないじゃないですか!!」

「どんなチャレンジャーだよそれ考案した奴っ!!」

これを売っている食品会社はたまに、ストレス社会の集大成じゃないかっていうくらい、ぶっ飛んだモノを開発するんですよね。日頃の鬱憤をぶつけてる的な?

「俺これ飲んでる人間の顔に興味あるんだよね」

「鏡見ながら飲みな」

「無理だよ。こんなモノに一人で立ち向かう程の勇気、僕にはないよ」

「俺だって無理だから」

「いや、遊様ならいける気がする」

だって遊様だもの。

「勘違い以外のなにものでもないよ」

「…」

「…」

くっ!無言の訴えも効かないだなんて!!

こうなったら…。

「雅宗?君なら…」

「無理です」

…うん、そんなイイ笑顔で言われたらどうしようもないですよね…。

「ふぅ、仕方ない。最後の手段だ」

「イッキ飲み?」

「しません」

首をこてんってかしげながら、なんて恐ろしい事を聞くんだ、遊様。

俺はときめきつつも否定する。

「飲むのは俺じゃないよ。身近にいるだろ?好奇心旺盛で回復力が取り柄のお馬鹿ちゃんが」

「「…あぁ」」



俺は今、1-5教室前にいます。

このヨーグルトもどきを非難していた雅宗と遊様も一緒です。二人だってこれがどれ程の劇薬なのか興味あるんじゃないか。

俺はその事に気分を良くしつつも教室内に呼びかける。

「お殿いるー?」

そうすると、人の輪の中心にいた女の子がぴょこん、と立ち上がった。こちらにバタバタと駆け寄って来る。

フワフワ栗色の髪にぱっちりとした瞳。背の低い彼女は思わず守りたくなる程可愛いらしい。

まぁここまで細かく描写して何を言いたいかと申しますと…

「ハイハーイ!殿か姫かハッキリしろ!!でお馴染みの戸野井咲姫とのい さきでっす」

馬鹿なんです。馬鹿。

見た目がはかない系美少女だけあって残念さが垂れ流れていますよ。

「ハルちゃんだ!!。あっ、シノヅンとバラさんもいる!」

第一、遊様をバラさんって呼んでいる時点で、常軌を逸してますよね。

「バラさんって何?有り得ない程ネーミングセンス0なんだけど」

「遊、落ち着け。俺なんてシノヅンだから。無傷なのはハルぐらいだから」

雅宗も自分のあだ名に不満があるのか…。

「今日も元気なお殿に面白い物持って来たよ」

「なになにー?」

「飲むヨーグルト」

読むのがめんどくさくなってラベルを見せる。

普通の人間なら、ここで飲めないと判断しますよね?でもこの子は愛すべきお馬鹿なんですよねー。当然…

「うっは、面白そう!!飲むよ!イッキ飲みだよ!!」

こうなる。

「遊様、よかったね。お望みのイッキ飲みだよ?」

「…大丈夫なの?」

「お、遊様ってば優しい!心配してるんだ?」

「うん。こいつ一回、病院に連れて行った方が良いんじゃない?」

心配は心配でも頭の方か。

遊様の失礼な発言が耳に入っていないのか、お殿は飲むヨーグルトにストローを挿す。

「久々の牛肉…ワクワク」

「いや、たしかに牛煮と共にって書いてあるけど…」

それで良いのか?

お殿はストローを口にくわえると宣言通りイッキに吸い込んだ。

ズー、ズズズ、ズ、ズズ、ズ……

次第に吸引力が低下していき、そして…

バターン!!

盛大に倒れた。

「…」

「…」

「…」

うん、とりあえず感想としては飲まなくて正解だったという事と、そして…

「この食品会社は社会に怨みでもあるのかな」

「食品に怨みがあるという可能性も捨て難いね」

遊様が探偵よろしく人差し指を立てる。イイ男は何をやっても格好良いんですね 。

「ハル、推理を展開しているところ申し訳ないんですが、先に保健室に運びませんか」

「…賛成」

俺達は保健室に向かうべく、その場を後にした。


お殿が目を覚ましたのは、それから2時間経ってからのことだった。あまりの劇薬っぷりに少しだけビビったのは内緒ですよ?

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