俺の人権がスーパーノヴァ
「くっ…俺のっ!俺の右手がぁぁ!!」
くそっ!こんな時に限ってなんだって俺はっ!これじゃ使い物にならないじゃないか!
俺は地に膝を着く。
雅宗…お前を信じた俺が馬鹿だったと言うのか。いいや、違う…!全てお前のせいだ。絶対に許さないからな。お前のした事をっ。この怨み…覚えてろよぉぉ!!
「…何やってんの?」
「ああ、俺がハルの爪を切っていたんだが、深爪してしまって」
「は?深爪くらいで騒ぎ過ぎ」
「えー、言う事それだけ?せっかく厨二っぽく苦しんだのに」
「馬鹿じゃないの。大体、爪くらい自分で切りなよ」
「雅宗が切らせてって言ったんだもん」
「すみません。…痛い、ですよね?」いやん、雅宗ってば。もう、なんだって許してしまいそう。さっきまでの怨み?知りませんよ、そんな事。雅宗の上目遣いに比べたら瑣末な問題ですよ。
「雅宗、こいつを甘やかさなくていいよ。馬鹿なんだから」
「うん、痛い。けど俺…雅宗からの痛みだったら我慢できるよ?」
「っハル!!」
「ちょっと話しを聞け。そして急に下手な芝居を始めるな」
「話しを聞くのはお前もだ、榊原。今は授業中だ。立花は席に着け。篠塚は爪切りをしまえ。なんで授業中に爪を切り始めるんだ。先生、そんな生徒初めてでビックリしたわ」
「「「…あ」」」
忘れてた…。ちなみに今は古文です。ノートに書く量が多いから深爪はまずいんですよね。「ふふん、初めてって言えば男なら、誰でも喜ぶと思わないほうが良いですよ?」
「とりあえず、黙りなさい。そして座れ」
「…はーい」
先生ったら野蛮…
「黙れ」
「ちょ、俺何も言ってない!!」
「何かしら漏れてるんだよ、思考。なんたってお前だから」
「どういう理屈!?」その説明で良いのか教師のくせにっ!
「はい、それでは授業を再開します」
「無視か!?輝け、俺の人権!!」
「ハル、うるさいよ」
「あっれ、いつの間に教師側なの?遊様」
あっさり捨てられましたか?俺。
「お前側になった覚えもないし、この先もなるつもりはない」
嘘だろ…。これまでの日々は嘘だったと言うのか…出会ってまだ二ヶ月ですけど。
「良くやった、榊原。おかげで立花が静かになった」
「いえ」
先生ぇぇぇ!!良くやったって何?俺の扱い酷すぎないですか!?
「二人共、あんまりハルをいじめないでくれ」
っ!!
「あの…ハル、離れて下さい」
「うぅ、雅宗だけだよ…俺を庇ってくれるのは」
ちなみに俺、雅宗に抱き着いています。ええ、それはもうガッチリと。
「…」
あ…なんか背中、ぽんぽんってされると落ち着きますねぇ。
「ハル?」
あー…やばい、眠くなってきた。
「ちょっと…寝ないで下さい。風邪ひきますよ?」
「篠塚、そこは授業中だからって言いなさい」
よし、寝る。
先生?ふん、関係ありませんよ。俺は俺の道を行きます。という訳で…。
「お休みなさい」