シガラミ
綾野と適当に話しをして時間を潰し
綾野が大学1年だと分かった
「何だ私の方が年上じゃん。アンタ顔は老けてんのに、性格ガキっぽいもんねー…」
「顔はどうでもいいじゃないですか……。
それに俺も高3なんですが…」
「そういえば…名前何?」
あ…まだ名乗って無かった…
「三河です。」
「おーけー、三河君一体アナタは何故ココに戻って来たのですか?」
村上伝えて無かったのか……?
「あの、これ、アナタの携帯ですよね?」
村上から預かっていた携帯を渡す。
「………………いや、違うよ?」
綾野が答える
「え?…だってひったくりが持ってたっ……」
村上が言ってたな…
『ひったくりで捕まえたら、綾野のも認めた』…って事は、他にも盗んでるはず…少なくとも二回は盗んでる……
じゃあこれは、二人目のって事か……
「確かに…コレ女の子ポイ携帯だけど、私のじゃ無いな…」
綾野がキーホルダーでゴテゴテになった携帯(もはや、携帯の大きさでは無い)を出して言った…
「私のだったらココにあるし…」
なるほど、この誰だか分からない携帯の方が
多分……性格がいいな
「面倒だけど村上に届けろって言われたしな…、電話してみて、届けるかな。」
「そうだね…、じゃあ、また今度暇つぶしにでも、遊びにきな。次はちゃんと客として扱ってあげるから」
「……ハイ」
綾野と別れ店を出て。この身元不明な携帯の履歴から電話をかける《家》と書いてあるんだからコノ番号であってるはずだ。
ただ、この人の携帯、ずっと圏外だな……
止められてんのか?
仕方ない、俺ので、かけるか…
《トゥルルルル…トゥルルルル…トゥル》
《ハイ、もしもし?》
「あ、私…携帯を拾った者で…」
《携帯?》
「ええ、なんというか……、ひったくりが持っていたみたいで。」
《ひったくり……?》
なんか変だな……
「あの…この携帯って女の子のですよね?」
《……え?、もしかして、それ……》
何だ、何かあんのかよ?
《あの、その携帯の最終履歴っていつですか?》
「最終……は、12月28日ですね。」
今は、もう3月の終わりだから…結構、止められてんな……
《……………………やっぱり……それ娘のです。》
「ああ、やっぱり娘さんですか…」
《ええ、去年の終わりに亡くなった…》
「え?」
ちょっと待て…亡くなった?
なんで…ひったくられてんだ?
《多分…ひったくられたのは、主人です》「旦那さん……?」
《ええ……、娘が去年亡くなった時に、………その、形見分けで、それは主人が持ったんです。》
「…………………なんで分ける必要が?」
《………………………………別れたんです、私たち。娘が繋ぎ止めてくれてたような物でしたから。》
いけねぇ…少し踏み込み過ぎた…
「あの、すみません。踏み込んだ事をお聞きして……」
《いえ、主人、今日ひったくられた時、自転車に乗ってたんです、ひったくり犯はバイクで……》
バイク……手口がちがうな……
《それで取られた時に転んでしまって気絶してしまったみたいで……》
なるほど、村上の野郎見た感じで女の子だ、って決めて…綾野だと決めつけたわけで…確認せずに……
「旦那さん、意識は?」
《……ええ、今はもう大丈夫みたいで、でも一応検査入院って事で、まだ病院です。》
「わかりました……どちらの病院でしょうか?」
《………え…いえ、携帯は私が受け取りに行きますから、今どちらに…?》
「東京の、D市ですが…」
《…………………………………………すみません、私、今栃木にいるんです。》
「……………………………あの、病院は?」
《………ハイ》
時刻はpm8:00
都内にある大きな病院に俺は来ていた。
「面会ギリギリ許してくれたな………」
ここにくるまで、いくら都内でも、電車で20分かかった。
片道で160円……キツイなーー
そして病室に着いた
中は6人分のベッドがあり、うち4人分は使用中だ
旦那さんの名前は………田村…さん…だったな……
窓に一番近いベッドにその人はいた。
退屈そうに本を読んでる……
「あのー…田村さんですか?」
「えっ、はい……」
年は30ぐらいか…大人ぽい雰囲気がある
「あのアナタは……?」
田村さんにとっちゃあ俺は完全に他人だもんな……
「俺は三河と言います……あの、何と言うか、今日…田村さんひったくりにあいましたよね?」
「……警察ですか…?」
「そうみえますか?」
「いやいや……、若すぎる」
良かった…見えるって言われたら、俺も相当老け顔って事だからな………
「ハイ、俺は警察じゃ、ありません。ただ、警察の人に頼まれて、まぁ……それがぐるぐる回って、ここに来たわけです。」
「…何か色々と大変でしたね。」
………この人優しいな……
「…ええ、160円片道でかかりました………」
「……お支払します。」
「すみません…」
俺は頭を下げた
「所で……あなたはどうしてここに?」
田村さんは当然、俺が会いにきた理由なんてわかるわけねぇな……
「田村さんにコレを届けようと思って…」
携帯をポケットから出す…
「…………コレは」
「警察の方(村上)がどうやら間違えて…俺が預かる事になって………」
「………そうか…私はあのバックにいれてたんだな…………この携帯は私の娘のなんだよ…」
「……………聞きました、その携帯の履歴から家というのにかけて、奥さんがでまして。」
「そうか……」
〈形見分け〉…ね……
繋がりを無くしたから別れたっつーのに、なんでその繋がりを完全に断たないのかね……
切るなら切るでスパッといきゃあいいのに……
「まぁ、アレだ、忘れたくないからね。」
田村さんは苦笑いしていた
なんか、その笑顔が羨ましいような、むかつくような…
なんだろうな…
モヤモヤする………
「あっ…これは往復代金とせめてものお礼ね………」
ご、5000円も貰ったー!!!!!!
やりました!!
〔情けは人のためならず〜〜〜〕の通りだったぜ!!
これだけありゃあ……松屋に寄れる!!
「ありがとうございます。こんなにいただいてすみません……」
「いや、いいよいいよ。」
本当にいい人だこの人ーー
「おっと、もう9時だね、もう面会は終わりだね……」
「あ…じゃあ俺はこれで失礼しますね。」
「ああ…ありがとうね、今日は。」
「いえ、なんでも無いです。」
田村さんと別れ病院を出る
3月の終わりといっても、まだ夜は冷えるな………
うん、さっさと帰ろう。松屋は延期だ…
電車に乗ってはや20分……地元に着いた
時間は9:30
晩飯に遅刻だな……
家に着いたのは10時…
晩飯食って、風呂に入って
今……気付いたら、俺のバックには、レンタルビデオ…………
あ
延滞だわ…