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灰色の残光  作者: ぴあす


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1/1

人工の世界

『生体反応:1089 人口:58 機械生命活動反応:787』


 朝日がテントの隙間から射す。機械音声の通知がアースの目を覚ました。


「おはようフラスコ。今日の天気は?」


『最高気温21℃、最低気温が15℃です。天気は、快晴』


 過ごしやすい気温と天候。風向きも全てがプログラムだ。おかげで天変地異なんてものは夢のまた夢になった。


 アースは寝袋を手早く片付けテントを出る。外はまだ朝焼けの空が見える時間だった。

 人工林の中から鳥の囀りが聞こえる。アースは朝が1番好きだった。作り物にしては本物との差が少ない気がしたからだ。


「ま、本物なんて知らないけどね」


 テントを解体しながら独り言を呟く。その独り言にふわふわと浮かぶアースの相棒、フラスコが返答した。


『アース、君は本物を知らないわけではないはず。脳にデータの存在が見られる』


 機械的な答えにアースは小さなため息をついた。フラスコは少し他とは変わっている。

 他の人工知能は性格というものが一応プログラムされている。しかしフラスコにそれはないように見える。


「そういう話じゃないんだけどね...ま、とりあえず行こうか」


 アースは重いリュックを背負い直し、人工芝を踏み締める。アースたちは今日、都市部に向かう。


 アースは空に生えたビルたちを眺めながらゆっくり足を進める。都市部に近づけば近づくほど、人口の自然は姿を消し鉄の世界が現れる。アースたちのデータの中にはあの場所はこの世の中で最も栄えた都市とある。


「フラスコ、ここの人口は?」


『計測中、人口0です』


 アースは分かってはいたがここにも人がいないことに少し悲しさを感じる。フラスコの返答は正確だ。ここに人はいない。


「ありがと、なら機械生命は?」


『機械生命体反応、2』


 アースは驚いた。機械生命体がある。フラスコの他のもう一つ反応は一体なんだろう。フルサイボーグか、はたまた人工知能のフラスコと同じタイプか、アースは若干のワクワクを胸に都市の関所を通過する。


 関所のセキュリティゲートを通った瞬間アラーム音がなった。静まり返っていた空間にアラーム音が反響する。


『危険人物を感知。対象を拘束します』


 警告音ともに停止していた警備ロボットが起動した。


「え、なんで!?ていうかまだ生きてたのかセキュリティ‥‥!」


 銃を構えるロボットに背を向け、アースは走る。

しかしロボットたちは追ってこない。アラームの音も気づけば静かになっていた。


「フラスコ、なにこれ。どうなった?」


『敵対していた警備ロボットの反応がニュートラルモードに変更されています』


関所の方から声がした。さっきの警備ロボットだろう


『君たちちょっと待ちなさい。安心しなさい敵意はない。少し話をしたいだけなんだ』


人型の警備ロボット二人は武器をおろしてアース達に駆け寄ってきた。若干ホコリをかぶったその姿にはまだ昔の威厳があるように思えた。


『こんなとこに何しに来たんだ?ここにはもう一人も残ってないし何にもないぞ?』


「僕達ただ旅をしているだけなんです。これといった目的もないです。ここにも見学くらいのつもりできてて‥‥」


若干申し訳なさそうにするアースを見て警備ロボットたちは別に怒ってるわけじゃないとアースをなだめる。話を聞くと彼らは元は街のプログラムの中に組み込まれていたが、更新がされなすぎた結果、自力でプログラムから抜けることができたらしい。


『まあ充電式だからここから出られないんだけどな』


『街の中を案内することくらいはできるが、君たちは二人でも大丈夫そうだな』


二人の警備ロボットは笑いながら話す。この二人は一体何年ここにいたのだろうか。そして、いつこの文明は滅んだのか。アースは疑問を巡らせた。


『私達からは以上だ。街を楽しんでくれ』


そう言って彼らは関所の方に歩いていった。


『ああ、そうだ。君、これを渡しておこう。何かあったらこれで呼んでくれ』


若干古いトランシーバーだった。一応まだ使えるようだ。


「ありがとうございます!お騒がせしてすみませんでした」


警備ロボットは背を向け手で返答した。

アースたちは詰まった息を吐いた。敵意はないと言われても勝てるはずもない相手には緊張してしまう。


「行こうか‥‥フラスコ」


アースはリュックを背負い直し歩き出す。


◇◇◇


街の中は壮観だった。果てしないほどに伸びるビル、大渋滞で時が止まっているかのように放置された車両。しかし人の気配はない。


街にアースの足音が響く。道なりに探索を進めていると自動ドアが開きっぱなしの建物があった。


「フラスコ、これは入るしかなくない!?」


若干興奮気味で話すアースにフラスコは答える。


『生体反応なし。漁られている可能性が高く、探索価値は無に等しいですが?』


「危なくないなら入ってもいいってことだな!行こう!」


駆け足で建物に入るアースをフラスコも追う。中はホコリまみれだった。他の場所は密閉されていたこともあり清潔だったためアースは咳き込んだ。


『ガスマスクの着用をおすすめします。空気の状態があまり良くないようです』


アースは先に言ってよ‥‥と口を抑えてフラスコを小突いた。

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