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世界破滅アプリ〜おっさんが現代にできたダンジョンに挑む  作者: 結城明日嘩


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久々のダンジョン(18日目)

 平日の仕事の合間にダンジョンという思惑はあっさりと潰えていた。やはり始業前に潜るとアラフォーの体力的に厳しい。

 金曜日に1人の動画配信者がダンジョンに強行する宣言をした後、続く者も現れて昨日は新たなダンジョン動画が上がっていた。

 宣言により監視は厳になってただろうに、易々と侵入を許したのは政府側はさておき、現場の人間はダンジョン攻略の大事さを身にしみて分かったのかもしれない。


 一晩中獣を狩るというのは結構大変なのだ。病院までくる獣を狩るだけでもかなりの量だった、ダンジョンの入口で一匹も逃さずに倒し続けるというのは厳しい。

 通常の警備だったら不審者が来るとしても1グループくらいだろうしね。日没から夜明けまでランダムに湧いて出てくるのを対処するのは骨が折れる。

 誰でもいいから攻略して夜警の仕事から解放してくれと思っても不思議はないかな。


「ま、そんな予測で我が身を危険に晒すわけもないがね」


 俺は【隠密】を使ってダンジョンの入口を突破。そろそろちゃんと探索をしていきたい。長時間入っていられる様に水分と携帯食を持ってきた。半日は過ごせるだろう。



 地下1階はかなり広い。一説では隣の駅まで続いているのではと思われているが、まだ検証には至っていない。まっすぐ隣の駅の方へと進んでも壁があったりでたどり着けていなかった。

 1階のマップを埋めるべきか、先を目指すべきか。1階にもシールドグローブの様に役立つアイテムが存在していた。ちゃんと装備を整えてから先に進むのも間違っていないだろう。


「でも先の方が気になる」


 1階で集めた装備より、2階で集める装備の方が良いのが出そうと思えるし、動画を見ても敵がそこまで強くなっているようには感じない。

 となれば心に従うまで……だな。

 俺は2階へと続く階段を目指した。



 地下2階は、自然洞窟。鍾乳洞の様な場所で、足元には水たまりが多くあり、それでいてあまり滑らない不思議な床だ。どこからか光が差し込んできており、視界は確保されている。

 【空間把握】によって石筍などとの距離も把握できるので、探索するのに障害はなかった。


「部屋に扉はないタイプっぽいな」


 小部屋はちらほらあるが入口部分に扉はなく、中を覗くことができる。1階と違って入口すぐに石筍などがあって回り込まないと中の様子を確認できないような作りになっていた。


「待ち伏せも十分ありえる」


 ダンジョンものの基本だと、鏡で死角部分を確認していくって方法だがそこまで準備していなかった。斥候としては、【隠密】で気配を消しながら入るのが妥当か。

 1階の時と同様に通路から調べてマップを作るのも考えたが、宝箱があるなら先にアイテムを集めた方が効率は良くなりそうだと判断した。


「お邪魔しまーす」


 もちろん、声には出さずに小部屋へと入っていく。入口で衝立になっている石筍を回り込み、部屋の中を見ると5m四方の部屋で目立った物も敵もいなかった。

 足元には上から滴ってできた水たまりがあるが、苔などは生えていない。通路と明るさも変わらず、単に区切られた空間という雰囲気だ。


「目立つものは何もないか……」


 そう思った時、【空間把握】で気づく。床に近い高さに空洞があった。高さ30cmほどの隙間。水たまりはないものの腹ばいにならないと通れそうにない。

 匍匐ほふく前進で穴を潜る。1mほどの長さで隣の部屋への隠し通路扱いだろうか。【空間把握】は見える前提でないと発動しないので、伏せた状態から部屋の中を見ようとしても、床に落ちてる物くらいしか分からない。


「待ち伏せされてたらヤバいが」


 隠し部屋に凶悪なトラップはないと信じよう。そのまま部屋へと這い出した。

 さっと膝立ちになって辺りを見渡す。5m四方の空間は元の部屋と同じだが、壁際に石棺が置いてある。


「ビンゴだな」


 この時の俺は腹ばいになって服を汚しつつ見つけた隠し部屋の宝箱という事でかなり油断していた。すぐさま駆け寄って石棺の蓋を押し開けてしまう。


「ぐおっ」


 すると中には獣が入っていた。隠し部屋の宝箱が偽装宝箱ミミックとか、たちが悪過ぎる。この階で初めて遭遇した敵は獣人。120cmほどの体躯で二足歩行なドーベルマンといった雰囲気で、両手の爪は鋭く伸びている。

 石棺の中で出番を待っていたらしい獣は、蓋が開くと同事に伸び上がるように右手を振り上げてきていた。カエルアッパーってやつか。

 箱を覗き込もうとしていた俺は、その不意打ちに反応が遅れて腹から左肩にかけて大きく切り上げられた。1階の獣よりも長い爪は、刃渡り10cmほどもあり、服などあっさりと切り裂くほどの鋭さがあった。


 幸運だったのは前かがみになっていた事で服にたるみがあり、胴体との間に隙間ができていた事だった。

 獣人の一撃は服を切り裂いたが、肌の表面をなぞる程度に終わり、ヒリヒリとする引っ掻き傷で済んでいる。もし爪の半分でも胴体に埋まっていれば、内臓からやられていた可能性もあっただろう。


「いきなり殺意高すぎるだろっクリエイトシールド!」


 俺は飛び退りながらシールドグローブを起動。左手に盾が現れる。右手は腰のホルスターから警棒を抜き出して、シャキンと遠心力で伸ばした。

 対する獣人は石棺から出てきて、両手を広げるようにして構える。人間に比べると小柄で、小学生くらいだろうか。ただ爪も牙も1階の獣よりも大きく、攻撃力が上がっているのは見て取れた。


「とはいえ、まだ躓くレベルではないはずっ」


 俺は盾を構えながら獣人へと突っ込んだ。



 四足の獣から二足歩行になった事で両手が常に使え、牙による噛みつきも健在。攻撃手段が増えた代わりに、姿勢はやや高く、機動力は落ちている。

 そんな獣人に対して警棒を振るうと、左腕でブロック。やはり獣とは関節自体も変わっていて、人に近い動きができるようだ。

 警棒の打撃を完全には受けきれなかったのか、多少体を引きながらも右手の爪を振るってきた。それを盾で受ける。

 子供の駄々っ子パンチくらいの威力。まあ爪があるので生身だとヤバい。盾で払ってやれば胴体はがら空きだ。そこから噛みつこうと首を伸ばしてくるが、前蹴りで腹を押し込む様にして蹴り飛ばす。


 噛みつこうと開いた口をパクパクさせながら仰向けに倒れる。そこから先はワンサイド、足で踏みつけ警棒を振り下ろしていけば、あっさりと倒せた。

 不意打ちさえなければ、ダメージを受ける事はなかっただろう。


「全くダンジョンは油断大敵だってのに、何を緩んでるんだか」


 自分を叱咤しつつ、開いた石棺へと近づいた。2度目の不意打ちはなかったが、慎重に覗き込む。そこには鉱石が3つ。以前見た緑がかった銅鉱石だけでなく、黒っぽい石もある。

 破滅アプリで鑑定すると、亜鉛鉱らしい。いや、使い道ないから。置物として売ることもできそうにないよな。まだ水晶とかならインテリアと言えなくもないが、黒くて結晶っぽいのが見えるだけで、綺麗とは言い難い。


 後は石でできた棒?

 長さ30cmほどで直径3cmほどの円筒形で、先端が少し膨らんで玉状になっていた。

 アプリで鑑定してみる。


名前:ストーンロッド

効果:魔法の効果に+1


 魔術師用の杖らしい。俺には意味がなさそうだ。いや石の棒だから殴るのに使えるか。でも警棒よりも重い上に、叩いた衝撃で折れそうだ。

 魔術師の知り合いでもいれば渡せるのだが……もちろん、ダンジョン探索するような友達はいない。後輩に魔術師を勧めて押し付けるのは、パワハラになるだろうか。

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