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世界破滅アプリ〜おっさんが現代にできたダンジョンに挑む  作者: 結城明日嘩


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21/25

水曜日は真面目に仕事(14日目)

 昨日は早朝からダンジョンに潜った影響か、仕事の効率がガクッと落ちてしまった。作業よりも動画に気を取られたり、まとめサイトをチラ見するつもりががっつりと時間を使ったりで仕事の進捗が芳しくなかった。

 なので今日はしっかりと作業を進める。

 敵の出現を数ではなく強めの個体の連携攻撃にして、イベント戦を組み上げて仕様書を作り、ディレクターに確認してもらう。

 やり込み要素としてHPの量とダメージ量で難易度を四段階、イージー、ノーマル、ハード、アルティメットで設定。アルティメットにはタイムアタックも用意して、ランキングを付けてみた。


『無難っちゃあ、無難だけど、まあ、これで進めて』

「ありがとうございます」

『鈴木くんが提供してくれた画像がリアルでデザイナーも頑張ってくれてるから、モデル見せる様に大きめで出現させちゃって』

「承知しました」


 本物は中型犬サイズだが、ゲームなので3mほどの大きさにした。アップになるとキジトラの様な縞模様が確認できる。

 体が大きくなる事で連携しようとすると互いにぶつかりかねないので、方向を120度ずつで均等に囲むのをデフォとして、プレイヤーの行動で偏りも出る感じに。


 攻略法としてはまず包囲網から抜けて、外から1匹を仕留め、残る2匹の攻撃をサイドステップで避けて、1匹ずつしっかりダメージを重ねる感じになる。

 獣の色的に闇属性を持たせて光を弱点設定。攻撃属性は、打撃に弱くしてみた。毛皮で刃が滑って効果的なダメージが通らない設定となる。

 ダンジョンの獣は切っても血が出ずにダメージが分かりにくいみたいだから、その辺の再現だな。刺突は避けられやすいので獣相手には効果が薄め。刺突が効くのはスライムとか動きが遅めで弱点がある系の敵だな。


 攻撃パターンも難易度によって少し増やし、ダメージと相まって倒しにくくなっていく調整。

 報酬は後発に優しい設定で、イージーは序盤にはそれなりに使える武器、ノーマルで武器の強化素材、ハードでお金、アルティメットは武器のランダムアビリティの再抽選チケットとした。


 後はアルティメットのランキングでレア武器を贈呈と、参加賞はハロウィン用に作っていたパンプキンヘッド。

 能力はほとんどなくて、容姿を変えるアバター設定で使うのが主な頭装備。名前の通り、かぼちゃを被った様な見た目になる。


 準備はしたけどハロウィンイベントのボスが使ってくる妨害魔法デバフを受けるとかぼちゃ頭になるという設定に変更されて、装備としては使わなくなったモデルだ。


 即席のミニイベントにしては豪華な内容……のはず。これで外出自粛で久々にやる人や新たに始める人を引き込めれば成功だろう。


 後は各難易度ごとのパラメーター設定だが、ここがゲームの肝なので何度もテストプレイしながら設定を詰めていった。




 木曜日、ダンジョンができて早2習慣か。予想では今夜も獣が溢れ出てくるはずだがどうだろうか。日没後に入口を見に行ってみようかとは思っている。

 ひとまず昼間は仕事だ。

 各難易度ごとにサンプルキャラでプレイしてみて、ダメージ量やHPなどを調整していく。初心者は操作もおぼつかないので、単純な操作でスキルもあまり使わない想定。それでいてワンパターンというか、オートアタックでゴリ押せてしまうと、ゲームとしての楽しさもない。


「回避はしっかりやって貰う方向で」


 攻撃予測エリアを表示して、そのエリアにいるとダメージを受けるということを教えていく。敵の動くスピードを落として、エリア表示時間を長めに設定っと。

 オートアタックでも倒せる様にHPもやや少なめに設定しつつ、攻撃パターンを見切れる程度には長く。この塩梅がプランナーとしての経験だな。


 そんな感じで各難易度ごとのパラメーター設定を行い、データをサーバーにアップ。後はQA、品質管理部の方で確認してもらう。


「ひとまずのノルマは達成かな」


 ミニイベントの設定を再確認して業務終了。テレワークだとこの辺の作業管理がしやすい。会社で他の人が作業する中、自分の作業が終わった時に、他人を手伝う訳にもいかず、ぼーっとするのも何だし、調整が済んだマップをひたすらデバッグというのも実りが少ない。

 それが自宅だと気軽に息抜きできてしまうのだ。

 そして今の息抜きは当然ダンジョン絡みの情報収集で……まとめサイトを開く。


「さすがアメリカ。展開が早いな」


 ダンジョンを民間に解放し、企業による攻略を承認というニュースがトップに来ていた。ニューヨーク州知事が駅ごとにダンジョンの攻略権を入札させ、落札した企業に攻略を任せるという。

 ニューヨークの地下鉄は450を越える駅があるので、州警察では手に負えない状況なんだとか。

 またそれに合わせて地下鉄の運行も再開するらしい。経済への打撃も凄い額のようだ。民間軍事会社などが入札に参加しており、訓練の一環として利用するなどが企画されているとの事。


「これで一気に攻略が進むかな」


 そう思っていると、社内チャットでQAからの報告が届く。敵の動きに関する質問みたいだな。AIによる距離判定をもう少し詰めた方が良さそうだ。

 トライアンドエラーを繰り返してクオリティを上げつつ再チェックに回してとやってるうちに定時を迎えた。




 夕食は買い置きのカップ麺で済まし、鉄パイプを持って外出。その姿は不審者そのものだが、見咎めるにも人の行き来が全く無い。

 やはり前回の出現から1週間という区切りで警戒心が増しているのだろう。

 それと共に警察も警戒しているようで、自転車による巡回が増えているようだ。ダンジョンのある駅までに3回ほどやり過ごす必要があった。


 ダンジョン前の警備も今日は3人になっている。2人で壁の隙間を埋めて、そこを抜けた場合に備えて更に1人といった布陣だ。

 3人の意識がダンジョンへ向いているのが分かった。


「出たぞ!」


 やがて1人が声を上げ、3人が各々の武器を構える。1人は警棒で、2人は刺股さすまたのようだ。刺股で動きを封じて、警棒で仕留める。一連の連携はかなりこなれて見えるので、既に何戦かやった後なのだろう。

 これなら一晩抑え込むのも問題なさそうだ。


 俺は、3戦ほど警備員の戦闘を見てから家に戻った。一晩で何匹くらい出るんだろうか。病院でやった時は20匹ちょっとだったが、ダンジョンから出たのが全部病院に来たわけじゃないので、実際に出たのは100匹以上いてもおかしくはない。

 ダンジョンの出口で待ち受けるのに100匹討伐とかはしんどいかもな。逆に中へ入って倒せば楽なんだろうか……いや、階段での戦闘は怖いし降りた所は3方から襲われる危険があるので、出待ちが無難か。


「今夜の討伐状況で日本も動かざるを得ないかな」


 ちなみに日本の日没に合わせてダンジョンから溢れている訳ではなく、アメリカなどでは水曜日の晩に発生しているらしい。なのでアメリカでの出現情報を受けて、日本の各地では警戒が強められていたようだ。

 この辺、家を出る前にニュースを見てれば分かったことだな。


 明日の朝には各マスコミが抑えた現場の映像なども出揃うだろうし、更なる分析が進むことだろう。さっきの警備員の様子から波乱はないと信じたい。

 とりあえずできることはなさそうなので、早めに寝ることにした。

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