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世界破滅アプリ〜おっさんが現代にできたダンジョンに挑む  作者: 結城明日嘩


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17/25

【Other】政府の対応

 世界各地にダンジョンの入口ができた。

 地下鉄の入口がいきなり異空間へと通じるようになったという。日本にある地下鉄の駅は600を越えるが、その全てに入口が発現した。

 偶然に入り込んだ者の数は軽く千人を越えて、その全てを追いかけるのは不可能だと早々に断じられた。

 最初に危惧されたのは、未知のウィルスや細菌、バクテリアなどが拡散されないかという点だ。コロナ以降、検疫への意識は高まっていたがダンジョンに入った全員を拘束することはできなかった。そもそもダンジョンが発見されて、公務員による監視が始まるまでにダンジョンに入って、出てきた人がどれだけいるかなど判断しようがない。

 なのでまずはダンジョンにそうしたウィルスがいない事の検証が急いで行われた。今のところはそうした危険性は報告されていないが、簡単に結論が出るものでもないだろう。


 入口を簡易に封鎖するのはすぐに行われた。警察が現場検証をする際に張る規制線など、物理的な侵入を防げる訳では無いが、入っては駄目だと示す事は行われている。

 追って監視カメラや動体センサーなどが配備される事になっていく。


 ダンジョンが現出した当日、午後1時頃に最初の報告が警察に入り、次々に通報が入っていく事になる。やがて地下鉄の駅に一箇所以上、入口が発生している事が政府内で共有された。

 最初は地下鉄の出口でぶつかる人が相次ぎ、それが誰もいないように見える階段から、急に人が現れて入ろうとする人とぶつかってしまっていた。


 ダンジョンの出入口は空間に開いた一方通行。裏からは入れないので、そちらから上がってくる人は普通の出口に見え、外から入ろうとした人にはダンジョンの中が見えているので誰もいないように見える。

 入口の境界を越えた途端に人が現れる形となり、ぶつかりやすい状況となっていた。

 そのうち階段の入口に変な境目があるのが分かり駅員に知らされ、その後警察に通報される流れであった。


 通報があった警察は現場に急行、現場検証を始めるが続々と入る通報に加え、中へ入った者の報告でよく分からない生き物が襲ってくる事が判明した。

 まずは迷い込んだ人の捜索が必要だとなるが、全国で1000箇所ほどもある入口全ての調査を行うには警察だけでは対応ができないとなり、消防署や自衛官にも協力要請がなされる事になる。




「本当に地下街のまんまだな」

「所々おかしいけどな。案内板の文字とか」

「そういうゲームが流行ってるらしいな」

「無駄口叩くな、何があるかわからんぞ」


 分隊長の注意が飛ぶ。ダンジョンの中は地下街を思わせる作りだ。天井にはLEDの様な照明もあり、十分な明るさがある。


「かなりの広さがありそうだな。バディで行動、迅速に探すぞ」

「了解」


 2人一組で動く。二〇式小銃を構えながら互いの死角を消しながら通路を進んでいく。扉もちらほら見かけるが、要救助者がいるとしたら通路だろうと今はスルーしている。


『こちらデルタチーム、不浄の獣と思われる動物を発見……こちらに向かってきまっ』


 タタンッ!

 通信機から銃声が聞こえる。


『田村陸士、大丈夫か!』

『はっ、山本陸士が発砲、撃退できました』


 警察からの報告で人を襲ってくるという情報はあったが、実際に襲われるとなると緊張感がある。バディを組む下村二等陸士とアイコンタクトを取って、周囲の警戒を厳にした。


「うわぁっ、やめろっ」


 通路の奥から悲鳴が聞こえてきた。慌てて現場へと急行する。

 そこには黒い何かに襲われている人がいた。仰向けに倒れた状態で、黒い何かを必死に押し返そうとしている。


 人との距離が近すぎるので小銃は使えない。俺はすぐさま走って近づき小銃のストックで黒い何かの首をすくい上げるようにして襲われている人から払い除けた。


「痛いっ」

「下村、安全確保」

「はいっ」


 俺は被害者の救助を下村陸士に任せると、跳ね除けた黒い獣と向き合った。目の前にいるのにどこか現実離れした雰囲気の黒い獣。その輪郭がブレて見える事に気持ち悪さを感じる。

 ダンジョン内はほぼ無人だが小銃を使うのに躊躇してしまう。跳弾もありうるかとか最もらしい理由付けを考えるが本質的には生き物らしいものに発砲をためらったのだ。

 そんな弱気を読み取ったのか獣は真っ直ぐに向かってくる。間合いに入られると訓練で培った経験が体を動かしてくれた。

 牙を剥き出しに噛みついてきた口を半身になって躱し、通り過ぎ様に胴体へと銃床を叩きつける。バランスを崩した獣は、勢いのままに床を滑り反動で体勢を立て直す。こちらを睨んでくるが、攻撃を受けた事で冷静さが戻っていた。


「すまんな」


 こちらに再度飛びかかろうとしていた獣へと引き金を引く。3点バーストに設定された小銃は、狙い違わず獣の喉元を貫いた。その後、姿が薄れたかと思うとすっと消えてしまう。銃弾が効いた事に安堵しつつ、獣は生き物じゃないんだなと実感した。

 改めて周囲を見渡し、他には居ない事を確認。一旦警戒を解いた。


「状況クリア、獣を撃退。銃撃後に姿が消えました。要救助者については、下村陸士」

「はっ、腕部に2箇所の裂傷を確認。爪によるものと思われます。止血は完了しています」

『了解。要救助者を確保して脱出しろ』

「了解。下村陸士、動けそうか」

「はい」

「一体、何が」

「詳細はまだ分かっていません。ひとまず地上に出ましょう」


 被害者を伴ってダンジョンから脱出した。




 出現したダンジョンに迷い込んだ被害者は数百人に上り、各所の病院に一時的に隔離。傷口などを入念に検査が行われた。狂犬病などの既知の感染もなく、未知の症状も確認されなかった。

 患部から採取された組織の培養も行われて未知のウイルスや細菌などもいないとされた。


 その後、世界破滅アプリの存在もダンジョンに紐づけされて考えられる様になり、国家サイバー統括室を中心に逆アセンブルなどが試みられ、アプリの接続先などの解析が進められているが結果は芳しくない。

 海外を含め複数の接続先が確認されており、最終的なサーバーの場所などは不明なままだ。



 自衛官や警察を中心にダンジョンの探索チームが結成されて、ダンジョン内部の調査も進められていく。

 地下3階までは小銃による攻撃が効いていたが、4階に現れた盾を持った獣獣人や、粘性生物(スライム)に対しては効果が薄く、近接戦闘が必須だと判明。剣道の有段者などが招集されて攻略に参加するようになっていった。


 ダンジョン発生から1週間が経ち、ダンジョンの外へ獣が溢れるという現象が発生。全ての出入口の監視が必要となった。

 しかし、全国に1000箇所近くある出入口全てを公務員だけで管理するのは無理があり、警察OBなどへの協力、警備会社なども動員される運びとなる。


 民間への依頼など多額の費用が発生するとして補正予算の中にダンジョン対策が盛り込まれ、本格的にダンジョンに対応しなければならないと内閣も動き始めていく。

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