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世界破滅アプリ〜おっさんが現代にできたダンジョンに挑む  作者: 結城明日嘩


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ダンジョンを出て

 破滅アプリの鑑定機能に絶望しながら、俺は一度ダンジョンを出ることにした。初めて貰った一撃はまだジンジンと痛んでいる。

 金槌と鉱石3つをリュックに入れて、警棒を手に部屋を出た。

 出た瞬間に獣とエンカウントなんて事もなく、通路はいつも通りの雰囲気だ。地下一階の獣、ダーティドッグの徘徊ルートは頭に入っているので、エンカウントを避けながら地上への階段を目指した。


 ダンジョンの出口は入った時と同様にフェンスに囲まれ、入口部分だけが開いている。人の姿もなさそうだ。【空間把握】だとダンジョンの境までは分かるんだが、その先については上手く読み取れないみたいだ。

 なのでフェンスの死角にいると面倒な事になるが大丈夫だった。ダンジョン出口には左右に三段階の高さでセンサーが付いている。普通ならそれに触れたらどこかに通報されるんだろうが、【隠密】を使っていると反応しない。


「これダーティドッグは反応するんだろうか?」


 少し不安になりながらフェンスの隙間を通って外へと出る。ダンジョンの外に出た時に【空間把握】で探ったが、やはり人はいなかった。時間は午後5時、日没まではもう少しあるな。

 日没後にどういう体制になるか確認しておこう。



 程なくして警備員が2人やってきた。まだ空は赤みを残している。フェンスの隙間の外側に立ち、ダンジョンの方を見る体勢だ。

 服装を見るとALS◯Kの文字があるので、民間の警備員らしい。

 やがて周囲は夜暗に包まれ、ダンジョン出口を照らす照明が点いた。ここから夜明けまで監視されるのだろう。途中交代はあるだろうが、あの前を通ってダンジョンへ入るのは【隠密】があっても見つかりそうだ。

 それを確認した俺は、近所の定食屋でハンバーグ定食を購入して家路についた。




「うぐ、痣になってるな」


 家に帰った俺は、腹を確認したが青黒くなっていた。打ち身に入るのだろう、内出血を起こした感じだな。

 あまりこういう怪我をした事がないんだが、湿布で冷やす感じでいいのかな。腫れをひかせるのが第一段階で落ち着いたら、次に血行促進で修復させるとかか。

 自宅に常備しているのは肩こりなんかの血行促進タイプだけだな。

 帰宅してからまた外へ出るのは億劫だな……一晩様子をみるでいいか。


 ニュースもネットもダンジョンの話ばかりだな。ニュースの方はあまり代わり映えしないので、ネットの方をメインに見ていく。

 百獣を倒す芸人の様にダンジョンから出てきた獣をこう倒すといった動画がトップにきていて、日本は平和だねと思ってしまう。


 ダンジョンから出たダーティドッグによる被害というのもある程度まとめられていた。ダンジョンが地下鉄のある都市部という事で、負傷者は多数出たようだが、不思議と死者はいないようだ。熊に比べると弱いと思うから怪我をしても逃げられたって事かな。

 ただ逃げようとして階段からの転落とか道路に飛び出しての交通事故なんかで死者が出ているらしいので、やはりダンジョンから出てくるのは防ぎたい所だな。


 今夜もダンジョンから獣が出たという速報は流れていない。次も木曜日なんだろうか。今の警備体制で獣が街に出るのを抑えられたらいいんだけど。

 病院で倒した獣は20匹くらいだっただろうか。サイレンで集まった以外は、人が襲われて叫んでいると集まってくる事もある程度で、それ以外は単独で移動していたようだった。


 ダンジョンから出る時に何匹も同時に出るようだとあのフェンスだけでは厳しそうだが、あれで防げるというエビデンスでもあるのだろうか。

 そういえばダンジョン出口には監視カメラが早々に設置されていたから、獣が出てきた時の映像もあるはずか。それであの警備だとすると、同時に出るというよりは順番に出てくる感じなのかもしれない。


「あ、そういえば」


 ダーティドッグを倒したから報酬が貰えているはずだな。今日は2匹しか倒してないけど1匹辺りいくらになるかは気になる所だ。

 破滅アプリを起動すると200UBCが貯まっている。これを日本円に変換しようとすると……200円ちょっと。変換手数料を取られるので、198円になるようだ。


「湿布も買えないじゃん!」


 とても体を張る値段じゃないぞ。金槌の鑑定といい、破滅アプリって結構ケチ臭いんだろうか。アプリの提供者の方でも手探り状態だったりするのかもしれない。

 ダンジョンを生み出した悪魔と破滅アプリを提供した者が別なのか、同一の存在なのか。その辺の議論もおこなわれている。

 同一説の主張としては、人間が騒ぐさまを見て楽しんでいるとかだな。

 別の存在説は、悪魔に対抗する天使だとか神様が人間に抗うすべを提供したとか。

 俺としては神様なら自分で対処してくれよと思うが、悪魔がアプリも提供しているとも考えたくない。悪魔の手のひらで踊らされてるって事になるしな。

 ただダンジョンにしろ、アプリにしろゲームの影響を大きく受けている。同一説もありえそうなのが困る。


「どちらにしてもダンジョンを放っておくと獣が溢れて世界が破滅するなら、ダンジョンを攻略しなきゃなんだが……」


 果たして一匹100円の報酬で、ダンジョンに潜ろうという人はどれだけいるのかね。ダンジョンを楽しもうって人はそれなりにいるだろうが、使命に燃えて攻略しようという人は少ないだろう。

 悪魔を許すなとか宗教的にダンジョンを攻略しようという勢力はあるのかな。日本じゃないだろうけど。


「まずはアトラクションの延長でダンジョン攻略みたいな流れが日本的かなぁ」


 各ダンジョンに監視がついたことで、動画配信勢は更新が止まった状況だ。政府として自分からダンジョンに入ろって人をどう扱うか悩んでいる所だろう。

 自己責任と言った所で、戦地で捕虜になれば交渉しなきゃならないし、雪山で遭難されたら助けなきゃいけない。

 かといってSOSを受けてダンジョン内へ救助へ向かう体制なんて早々に作れるものでもないだろう。


 ただ動画配信者が侵入したダンジョンからは獣が溢れることがなかったとなると、それらの戦力を使わないのはもったいないとも言える。

 今まで通り勝手に入るのは見逃すか、出入りする人間を管理するか。

 国会議員が議論したところで、責任を取れそうなリーダーがいるとは思えない。


「海外の方針が決まったら右に倣えで、それまでは現状維持……かなぁ」


 俺としては昼間に入れるので地道に攻略してみるかな。月曜日は出社するとして、その後はテレワークへの切り替えになる。通勤時間がなくなるが、夜からだと警備員がいて入れない。

 日の出から数時間入るという選択肢も出てくるのか?


「まだまだ状況は読めないし、入れる時に入る方針で」


 明日の日曜は少し長めに入ってみよう。

 とりあえず動画で警棒の使い方をラーニングだな。基本的には振って叩くだけだが間合いに入られたのが駄目だった。

 左手の使い方か。棒術だと距離も取れるが柄の部分でいなしたり、受けたりできてたが警棒だと攻撃したら受けに使うまでに間ができる。対人だと左手で相手の動きを制したりというのが大事みたいだ。右で殴って、左で抑え込む感じ。


 これを獣相手にやろうとすると噛まれたり、引っ掻かれたりしそう何だよな。左手にも警棒を持つとかは自由度がなくなりそうだ。やはり盾になりそうなもの、手甲とか厚手のグローブとかがあると良さそうなんだが何かあるか?

 動画を探していると作ってみた系の動画の中に、段ボール戦士なるものがあった。甲冑を模したヨロイやら太刀を作っているらしい。

 段ボールを束ねた盾は思ったよりも頑丈で、人が乗ってもびくともしない。それでいて軽いそうだ。そして何より作るのが簡単。やってみるかな。

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