19話 : 炎上と第三者
「またかーい!」
「ネットの炎上がテレビで出るとはね」
「あー、あれでしょ?SNSにあげた迷惑動画ね?あと、著名人のスキャンダルでしょ?」
現在はサークルの部屋ではなく、大学の食堂や売店に四人でいる。テレビを見ながらお昼ご飯を一緒に買っている。桃は、『体に気を使うけど、たまにはこういう売ってるものも思いっきり食べたくなるよな!』とウキウキしながらパンを選ぶ。
「コレについてどう思いますか?」
報道されていたニュースにコメンテーターが色々と意見をし、そして憶測などが飛び交っている画面の向こう側。椿も先輩方に聞いてみた。体の話題ではないが、別に常日頃からその話だけしかしてはいけないわけではない。むしろそういう一見全然関係のなさそうな話題から何か体に関係する話が生まれることもある。
「「どうも思わない」」
菜の花と桃がキョトンとして答えた。
「これさ、なんで当事者の如くみんな自分の意見を言うかなって思うけど、逆に椿さんどう?」
「え?やっぱり迷惑行為は他の人に迷惑になるからやめて欲しいなって思います!それに、一度こういうのが出回ると模倣犯が出るじゃないですか。そもそも、こんなことするなんてほとんどの人は考えないし、考えても一部の人だと思ってます。しかし、その一部の人の中から何人かが本当にやっちゃうんですよね・・・。
当然ながら、いろんな意見があるし、こんなのダメだろう!!ってSNSだとみんなが群がります。『いけないこと』なのに『注目されてる』の方が勝っちゃうからしてるんでしょうし、こうすると注目される!それを見た人が、『じゃぁこれならもっと注目される!』って思って負の連鎖だと思うんです・・・。
著名人のスキャンダルは・・・やっぱり倫理を欠く事はしちゃいけないと思うから、ファンや周りからとやかく言われても私は仕方ないと思います・・・」
「今日は椿っちが饒舌!」
「椿ぴょんは色々周りの人のことも考える真面目な良い子ねー」
「うん、本当に真面目だ」
「先輩方は違うんですか?」
「いんやー?そんなことないさ!確かに椿っちみたいに、『そんなこと報道するから、人の頭に要らぬ情報を与えてしまうんだよバカちんがー!』とか思うよ」
「そうね、知らないなら考えないもの。それに、例えばイタズラとかちょっと考えついたとしても、やって良いことと悪いことの分別はついてるわ」
「つかない人がやっちゃうからね」
「「「あと、他人の事だから全く気にしない」」」
「えーー!!だって!公共の場で迷惑行為をしている人とか見てなんとも思わないんですか?!あとスキャンダルも!!」
「スキャンダルに関しては一切何も思わないわ?だって、私は関係者じゃないもの?関係者だったら怒りますけどね?あぁいうのは、当人と、不貞行為なら伴侶、それを判断とかする本当の関係者だけの問題なのよ。ファンが文句言ったり、なんなら特にファンでもない人が前から好きじゃなかったからとかそれくらいの理由で叩いたりするのはお門違いなのよ」
「でも、ファンや周りの人を裏切ったわけで・・・先輩達は押しが不貞行為したら悲しくないですか?!」
「「「推しの”プライベート”は全く無関心、推しより自分が一番」」」
「・・・こういう考えの方が幸せに生きられるんだろうけど・・・どうしたらこうなれるのかっ!!」