16話:短足とは
「ちっす!あちーな!」
「こんにちはー!」
桃と椿が一緒にサークルの部屋に来た。
「背骨の数は、24個!!!頸椎7個!!胸椎12個!!腰椎5個!!合計24個!!1〜2個の増減は変異により有り!!」
菜の花が大きい声で叫ぶように言っていた。
「菜の花先輩!どうしたんですか?!」
「あれか、テスト勉強か、それともどっかの社訓か?」
桃と椿に気づくことなく繰り返し唱えている菜の花の代わりに、すでに部屋に居た百合が答える。
「短足だねって言われたんだってさ」
「誰ですか?!そんな失礼なこと言うヤカラは・・!!」
「菜の花いつもスカートだろ。足の長さあんまわかんないけどな。で。それで骨の数調べてたのか」
「短足と背骨の数って関係あるんですか?足ですよね?」
「短足ってことは、胴体が長いってことでしょ?でも、胴体の長さってそんなに個人差出るの?って事で調べたんでしょ?1〜2個の増減があるって言っても、”個人差”でまとめる程増減の割合が多いとは限らないからね、『基本24個の背骨』が大半だとしたら、単純に足の骨が短い事確定」
「短足を調べたわ!!」
葉の花が突然会話に入ってきた。
「”足の長さは6歳までに決まる”とか!”日本人の昔の食生活が理由で、腸が長いため胴体が長い”とか!大体短足とは股下比率が45%以下の事を言うらしいわっ!!」
「で、菜の花は?」
「45%あったわ!!」
「なになにぃ〜?『股下の長さ÷身長×100』だってさ!」
「あ、メジャーお借りしましょう!私は155cmで股下68cmですので・・・68÷155×100=43・・・桃先輩。私酷く短足ですっ・・・!!」
「二次災害発生っ!!」
椿が自分の股下比率を初めて知ってショックを受けている。
「股下45%なら標準だから、短いなんて言われるわけないんだけどな。なんだろう、服の着方?ウエストの位置?」
「高い位置を意識してるわ!あの子自分が読者モデルでスタイルはいいけど、可愛らしさではきっと私に勝てないと思って自分の強みで私に攻撃を仕掛けてきたんだわっ!」
「おぉう、ヒートアップ」
「私っすごく!足短かったですっ!気づかなかった!」
「・・・桃も測ってみてよ」
「アタシか?!」
「そうよ、アンタも測りなさいよ!!」
「45%。比率的には菜の花と一緒だぞーん」
「なんで身長も一緒の桃の方が長く見えるのよ!!!」
「だから服だろう?桃はいつもスポーツウェアだから、シルエットが綺麗に映るから余計だろうな」
「・・・43%・・・」
「でも!足の骨の長さって言ったって、”今”の長さだろ?」
「あんたなに言ってんの?!期待持たせるような事言うつもり?!何!教えなさいよ?!ぬか喜びさせたら許さないからね!!」
「もしさ!よく言う『背骨が歪んでる』とか、『股関節の捻れ』『膝の捻れ』があったら、それ治したら真っ直ぐになって、足長くなるって事だろ?よく、脚がO脚X脚とか言うじゃんか!もしそれだとしたら、あれを治しゃ足がちゃんと長く綺麗に見えるんじゃん?」
「ああ、そうかもね?椅子の座りっぱなしとかで、大体まっすぐ立ててない事だってあるもんね。ほら、菜の花も真っ直ぐって言うよりかちょっと膝曲がってるし」
桃の提案と百合の見立てに、菜の花の顔が弾けるように明るくなった。
「そう・・?そうかしら・・・!?じゃぁこれ治せば足長く見えるかしら?!」
「そもそも、今の時点で45%なら、治せばもっと%も上になるって事だしなー!」
「やったわ!桃!私にもストレッチさせて頂戴!!」
「お安い御用ー!」
「百合先輩・・・」
鼻水と涙が垂れそうな顔で椿が百合に縋りついた。
「立ってごらん?・・・・・んー・・・ちょっとO脚っぽく見えるから、もしかしたら治せばもっと良くなるかもね?」
「ど、どれくらいの見込みですか・・・?」
「・・・45%に近づけると良いわね」
「うわぁああぁああぁぁ!!!!」