15話 : 長寿国
「やろうぜ!長寿メシ!!」
「長寿国の食事だけが長寿の秘訣だとは限らないでしょ!」
「でも食べたいじゃん!」
「食べたいだけでしょ却下」
百合に言われて桃がヨガマットの上で駄々をこねるようにジャンプをし続けている。
「まぁ、結局、脂っこいもの食べてたって、粗食だって、長生きする人は長生きするから、結局は本人のメンタルなのよねー」
菜の花がパソコンで桃の言った長寿国のランキングを検索しながら言う。
「じゃあ、長寿の上位の国が、何故長寿なのか、それぞれが思う事を調べてみて合わせればより良い結果が生まれるかもしれないね?」
「「「水無月先輩?!」」」
就活中の4回生の【水無月 葵】がサークル部屋にやってきた。
「先輩良いんですか?!」
菜の花が嬉しそうに聞く。
「水無月先輩がこの時期に来てくれるなんてっ!!」
梅雨前の良い思い出だと百合は感動する。
「椿っちー!!椿っちは今日来ないのかーーー?!?!今だよ!今こそいるべきだろ?!」
「桃ちゃんは長寿国の『食事』に注目。
菜の花ちゃんは、気候や環境、その対策…つまり生活様式も含むかな?そこに注目。
百合ちゃんは、国の大きさと制度、まぁ政略とかかな。そこに注目。いいね、皆んな凄く面白いと思う」
「先輩は?!先輩はどこ気になるるる?!」
「最初に菜の花ちゃんが言ってた『メンタル』に注目して、各国の娯楽の多さかな」
「娯楽っ?!考えもしなかった。メンタル=安心=国の政策で国民の暮らしは変わってくるだろうからーって」
「私はメンタル=環境と考えてました。自然が良いって聞くし、どれくらい生活の中に自然が多いとか…だから気候とか。寒過ぎても暑過ぎても大変、でもそれをどう乗り越えてるのかとかその辺の因果がって考えたので、はー、娯楽の数とは…」
「食べると幸せ!嬉しい!楽しい!幸福感!!それがメンタルに良きかな!激しく下がる事がない幸せ!先輩目の付け所が違う!後頭部と腰にも目ん玉付いてそう!!」
「そんなについてると脳が認識するの大変そうだね」
「マジレス!!☆」
「上位の国の有名なメシ食って!アタシももっと健康になるんだい!」
「環境とか、国特有なもので取り入れられるものがあるなら私も取り寄せとか近いもので真似したいかなぁ」
「身近な環境内・・例えばサークル内とか家庭で、同じ制度とかルールで生きたらきっと、楽しくいられるかも知れない」
「良いとこ取りを自分の意思でできるのは本当に楽しい事だよね」
「「「はいっ!!」」」
3回生がイキイキとそれぞれが好きな事を自由に考えられるこの空間に、水無月葵が嬉しさを顔に出す。
更に、一人でやるのではなく、複数の他人が集まって自分の好きなことをやっているこの光景こそがこのサークルの本当のあるべき姿だと考えている。
「で、ランキングで上位3カ国はどちらなのかな?」
「はい、今調べるですよっ!」
「日本は割と上位にいるって勝手に思ってるけど、何位だろう」
「日本がもし一位だったら、”今が一番良い”になるわよね!」
「そしたら考えた時間無駄ーーーーー!既に幸せだったーーー!!」
「そしたらもう特に何もしなくても長寿確定じゃん。まぁ本当に考えるのは楽しいから良かったけど」
「発表します!えっと!まず一位はぁ〜〜〜!!ドラムロール入りまーす!
ドゥルドゥルドゥルドゥルドゥルドゥルドゥルドゥル!!」
ぽちっ。
桃がクリックした。
「・・・日本ジャン」