11話:運動・筋肉の遺伝
「体型の遺伝・・・運動や筋肉の遺伝はね、私はこう考えてるわ。
ある、お父さんが、息子に野球を教えます。お父さんは、自分がいい成績を出せた時の練習方とかを教えるでしょ?
『この時に、ここに力を入れるんだ!』
『こう言う場合は、ここの力を抜く!』とかね」
「親と同じ場所の筋肉を使う…!だから同じ体型…?!なるほど!!」
更に椿の眼の輝きが増す。
「でもまぁこれは、親がやってたスポーツを親に教えてもらう時ね。あとは・・・」
「親の日常の体の使い方ー!!を、子供は真似たり、意識しなくても頭の中に情報として残してる疑惑ー!!」
桃が一人で盛り上がってヨガマットの上でぐるぐると回り始めた。
「はい、椿っち、今のアタシの疑惑について思ったことを述べよ」
「え!!意識しなくても・・・そうですね、普段からの所作・・・とか、まぁ早い話が親の体の使い方の癖?でしょうか?」
「癖という字は”病ダレ”という部首だある!そう!病気!そう!病だれのついた癖というモノは、行き過ぎると病気の元にもなるかもしれない!ずっと足組んでたら骨盤の向き傾いちゃうし!それだけで具合悪くなることあるし!!それもきっと一理あるよね!そう、親の”癖”のある動きを子供はよく見てるのだよ!」
「例えばですけど、本当、今思いついたんですけど、親が、高いところの棚にあるモノを取ろうとしてます。椅子や脚立を持ってきて登ってとる訳ではなく、使い勝手の良い方の片足で爪先立ちをしたとします!」
「ほう!」
「それが、いつも左足を軸にして背伸びをしていたとします。子供は何も考えずに、『あ!親がやってるから、ああやレバ高いところのモノが取れるんだ!って思います!それを、今後ずっと続けていくんです!」
「そうだとしたらー?!」
「親と同じ動きをするから!親と同じような体型になる!!」
「いやっほーい!ここは母親に似てるのに、ここは父親に似てるよね!は、そういうそれぞれの親の癖を見て無意識に同じことをしている事が始まりなのかもしれないね!何度も言う!あくまでアタシの意見だYO!」
「でも、なんとなくわかります。だって、親のやってることを真似しますもんね」
「血が繋がってない親子だとしても、育ての親の行動を見てるから、やっぱり似てくるんだよね。そうすると、嬉しいよね。可愛いって思うよね。私も妹とかが自分と同じ事してたら可愛いって思うわ。
で、親と同じような体の使い方してる・・・というか、親と同じような”無理な”体の使い方してるんだったら、同じような体型、同じような怪我や症状に悩まされる事になる可能性と確率は、少しは高くなるわね」
「だから!最初は全部親のマネから、形から入るだろうけど、『人の振り見て我が振り直せ!』もそうだし、『人のいいところは真似しろ!盗め!』って言うのはいい言葉だと思うね!!体の使い方とかモノの考え方の話しな!そしたら、親のせいとか遺伝だ!とか責任転嫁しないで済むからな!まぁ自己責任っつー言葉の方が重み半端ないけど」
「そうか、【体型の遺伝は、食生活だけでなく、体の使い方にも原因がある。ただ体を動かすのではなく、どの筋肉をどう使うかで体型が決まる、変わる。最初こそ親の真似だったが、他人の良い所を取り入れて自分を変えていく】・・・って感じでしょうか?」
自分のノートに、自分で考えたまとめを椿がノートに書いた。