頑張れ太助 負けるな弥英子
●頑張れ太助
太助は街の小さなスーパーで働いている。
不器用ながらも一生懸命仕事をしているが、ある日道端で年配の女性にきつく言われた。
「あんたんとこの店のチラシ、いっつもおんなじね」
それで太助は、短気で少々怖い店長の男に報告した。
「うっせえな。こっちは他にやることがいっぱいあって大変なんだよ!」
「で、ですが、店長」
いつもは引き下がる彼だけれども、お客さんのためにと負けず、ついに説得に成功した。
「ちょっと、あんた!」
ところが、再び顔を合わせた女性は、前よりもっと表情をゆがめて、太助に言った。
「レイアウトの問題じゃない!」
●負けるな弥英子
「うちの修学旅行、二泊三日で短いもんな」
「ほんと。普通どこも三泊くらいはするよ。やってらんねえ」
太助の姉で、高校教師の弥英子は、勤務する学校で生徒のそんな会話を耳にした。
「校長先生! お願いします!」
「しかし、スケジュールの都合がありますからねえ。もう決定してしまっていますので」
「そこをなんとか!」
そして——。
「おい、修学旅行、今年変わるらしいぞ。そこに掲示してある」
「なになに、七泊! ……三日?」
「どういうことだよ?」