悪事が行われたように聞こえる まだまだ負けません
●悪事が行われたように聞こえる
ミカ、マキ、モエの小学生の女子三人は、なにかというと張り合う。
「昨日、私の誕生日だったんだけど」
ミカが言った。
「パパが、こーんな大きいぬいぐるみをプレゼントしてくれたんだよ」
「うちの誕生日のときのほうがすごいよ」
マキが口を開いた。
「パパ、あたしの好きなキャラクターの着ぐるみを身につけてきてくれたんだから」
「私の誕生日のほうがもーっとすごいよ」
モエがしゃべった。
「お父さんが勤めている会社の人たちが組織ぐるみで祝ってくれたんだ」
●まだまだ負けません
ミカ、マキ、モエの三人は、大学生になっても張り合い続けている。
「うちのパパ、困っちゃう人でさ」
ミカが言った。
「子離れできなくて、いらないって言うのに、いまだにお小遣いを毎月十万円くれるんだ」
「あたしのパパなんて、もっと嫌になっちゃう」
マキが口を開いた。
「別荘の離れを私にくれたんだ。使わないから、逆に迷惑」
「私のお父さんのほうがもーっと嫌」
モエがしゃべった。
「私が帰宅するたび大急ぎで玄関まで来るから、しょっちゅう肉離れを起こすの」




