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こんなわけはないけれど 意外とこんな感じだったりして その二
●こんなわけはないけれど
「皇子、ご相談が」
「何だ?」
「『中大兄皇子』は読みづらいので、『中野大江戸皇子』に改名されてはいかがでしょう?」
「えー、なんか嫌だな、それ」
「でも、間違えられないほうがよろしいでしょう?」
「そんなこと言うなら、お前の『中臣鎌足』も読みにくくない?」
「そうですね。では私、改名いたします」
そうして中臣鎌足は、藤原鎌足になった。
それを聞いて、中大兄皇子はつぶやいた。
「いや、『鎌足』のほうも読みづらいと思うんだけど」
●意外とこんな感じだったりして その二
すぐキレるんだから。ほんと気が短いよな。
ありゃ「のぶなが」じゃなくて、「のぶみじか」だな。
いや、それだと名前として変だから、短気の「たん」のほうの読みで「のぶたん」だな。
ぷぷぷ、「のぶたん」だって。きゃわうぃー。
「おい」
「はい」
「私の草履はどうした?」
「こちらにございます」
「温かい。貴様、尻に敷いておったな?」
「いえ、ふところに入れて温めておりました」