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欲まみれ タガが外れる
●欲まみれ
「宗行の奴、アナウンサーの試験を受けるんだって。そんなの興味あるなんて初耳だぜ」
「さては、アナウンサーになれば、モテるとでも思ってんだろ」
「いや、それより、可愛い女子アナと付き合えるかもとか考えてやがるんだ」
「おい、テキトーなこと言うなよ。あいつはそんな奴じゃないだろ」
「あ、宗行。お前、アナウンサーの試験を受けるんだって?」
「ああ」
「アナウンサーになれば、モテると思ってだろ?」
「じゃなけりゃ、可愛い女子アナと付き合えるかもって魂胆だな?」
すると宗行は不敵な笑みを浮かべた。
「その両方だと言ったら?」
●タガが外れる
「おい、なに話してんだ?」
「タイプの有名人についてさ。こいつ、アナウンサーの堀越花梨なんだって」
「知的な感じがいいじゃん」
「嘘つけ。顔が好みなだけだろ」
「違うよ。賢そうなところだって」
「噓だね。可愛いからに決まってる」
「その両方だと言ったら?」
「わっ、宗行」
「……あいつ、どうしちまったんだ? すごく真面目だったのに」
「知らないけど、何かあったんだろうな」