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俺カフェ 宝くじ
●俺カフェ
「ねえ、ちょっと疲れたし、のど乾かない?」
「じゃあ、そこで休もうか? 『俺カフェ』だって」
「俺のこだわりのコーヒーってことかな? 怖い店主の店じゃなきゃいいけど」
そして入店したところ——。
「ゴロニャーン。ゴロニャーン」
「な、何なんですか? いったい」
動揺しながらの私たちの質問に、中年の男性の店主は答えた。
「ここは『猫カフェ』ではなく、俺がじゃれてお客さまを癒やすんです。ゴロゴロニャ~ン」
「……」
そこの店はまもなくつぶれたそうだ。そりゃそうだろう。
●宝くじ
「あー、宝くじ、一億円当たったら、何に使おうかなー」
「絶対当たらないよ」
「えー、じゃあ当たったら、どうする?」
「何でも言うこと聞いてあげる」
「ちょっと、杏奈。そんな約束しちゃっていいの?」
「大丈夫。一億は一等前後賞合わせてなのに、あのコ、バラで買ってるんだもん」
ところが——。
「一億当たったんだって? どういうことなの?」
「一等前後賞合わせては三億円で、一等の二億が当たったの。それで杏奈、何だって?」
「海外に逃亡するかもしれないってさ」