ポエム 人は変われるか
●ポエム
私は仕事人間だ。
会社の業務が多いからだが、純粋に働くのが好きなことも否定はできない。
今の時代許されないとわかってはいるものの、家のことは妻任せである。
「お母さん、最近ポエムを書くのにハマってるみたい」
残業して夜遅く帰宅すると、起きていた娘からそう聞いた。
「ポエム? そんなことをするなんて初耳だな」
寝室を覗くと、妻は眠ってしまっていた。
そして鏡台に置かれたそれを記したらしきチラシの裏に、こう書かれてあった。
〈どっちらけ 昨日も 今日も どっちらけ〉
どうやらかなり疲れているようだ。私は家事をやらないことを心底反省した。
●人は変われるか
「お世話になりました」
「ああ」
俺は、これまで散々悪いことをやってきた。
しかし、この刑務所でのさまざまな人との出会いで、改心した。
「俺、変われますでしょうか?」
けれど、そう簡単にはいかないのではという不安もあり、刑務官に尋ねた。
「私は、子どもの頃は、ゲームといったらRPGだった」
「……はい」
「それが今じゃスマホのパズルゲームざんまいだ。だから人は変われるさ」
そうか、こんなんでもちゃんと社会に順応できるんだ、と俺は自信になった。