満足 前代未聞
●満足
「警部」
「何だ?」
「見てください、大河原さんのあのたたずまい」
「わっ。顔といい、態度といい、えらく勝ち誇っているな」
「こう言っちゃなんですけど、たかが一日警察署長くらいで」
「そういや、あの人の親父さんが警察官だったから、感慨深いらしいぞ」
「へー……でも、それにしてもあのたたずまいはすご過ぎません?」
「しかし、そこまで喜んでもらえたんだから、一日警察署長にした甲斐があるだろう」
「そうですね……にしても、やっぱりあのたたずまいはひど過ぎません?」
「確かに、ちょっと引くな」
●前代未聞
「大河原さま、本日はありがとうございました」
「ちょっと、よろしいですかな?」
「何でしょうか?」
「明日もやるのはいかがでしょう? 二日警察署長なんて初めてで、話題になりますよ」
「面白いですね。しかし、予定があるもので、申し訳ございませんが」
「待ちなさい。今日一日は私が署長ですぞ。これは署長命令だ」
「ハハハー! おい、お引き取り願え」
「おい、バカ。引っ張るんじゃない。言うことを聞け! 俺は署長だぞ!」
「しょうがない。今日いっぱい留置場に入ってもらえ」
こうして彼は史上初の一日警察署長&容疑者となったのだった。




