純愛 別れ
●純愛
「カケル。どうして明日の天気予報を見ないの?」
「今、寒いじゃん。予想気温がすげえ低いと憂鬱になるから見たくねえんだよ」
「バカッ!」
「いて! 何すんだよ」
「生きてればもっと大変なことなんていくらでもあるのよ。そんなことに負けないで!」
「……そうだな、すまん」
「いつだって私がそばについてるよ」
「ありがとう、ユカコ。俺、頑張るぜ」
俺たちは最強のカップルだ。
ただ、周りはみんな、なぜかバカップルと呼ぶ。
●別れ
最強の二人である俺とユカコは、当然一生離れないと思っていた。
しかし、お互いが目指すものの関係で、どうしても別れざるを得なくなってしまった。
そして、旅立つ俺を見送るため、ユカコは列車のホームまで来てくれた。
「ありがとう、ユカコ。お前のことは決して忘れないぜ」
「もちろん、私もよ」
俺は列車に乗り込み、座席に移動した。
ユカコは悲しいに決まっているのに笑顔で手を振ってくれ、俺も懸命に振り返した。
ほどなく列車は動きだした。と、ユカコが何やら言葉を発した。
伝えたいことがあるのかと、俺は慌てて窓を開けた。
歌を口ずさんでいただけだった。しかもすげえ陽気な曲でやんの。