ケーキバイキング大好き人間よ、永遠なれ 薄情
●ケーキバイキング大好き人間よ、永遠なれ
「二代目って、どういうこと? 初代の人は?」
「あの方は引退されました」
「え? いったいなぜ?」
「虫歯や歯周病がひどくて。それに、このままだと糖尿病になると医者に警告されたのです」
「そう……」
二代目もたくましくはある。しかし、初代の人ほど心は揺さぶられない。
もう会うことはないのね。さよなら、私のケーキバイキング大好き人間——。
「グアッ」
「あ、助けていただいてありがとうございます。あなたのお名前は?」
「私は、豆腐ハンバーグ大好き人間。そして、前ケーキバイキング大好き人間です」
●薄情
「琴音。あんた、芙美が深刻な顔で話しかけてきたのを邪険にしたんだって? なんでよ?」
「うるさいわね。だったら、あんたが助けてやりゃいいじゃない」
「言われなくてもそうするよ。薄情なあんたとは違うんだから。……もしもし、芙美?」
「もしもし。瑞穂、どうしたの?」
「あんた、何か悩んでるんでしょ? 私が相談に乗ってあげるよ」
「ほんと? ありがとー」
「友達なんだから当然だよ。で、なに? 話したいことがあるなら言っていいよ」
「あのね、百パー儲かる、いい株があるから購入してほしいんだ」
瑞穂は電話を切った。
「琴音、悪かった。ごめんなさい」