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嫌われているのか? セコンド
●嫌われているのか?
「ねえ、フルーツジュースって、果汁が百パーセントのでもあまり体に良くないんだって」
「うそ」
「果物を液体にすると食物繊維が壊れるから、血糖値が上がりやすくなっちゃうらしいよ」
「へー」
「それで思ったんだけど、体に一番いい飲み物って何かな?」
「緑茶じゃない?」
「でも緑茶はカフェインがあるから、苦手な人もいるよ」
「じゃあ、シンプルに水?」
「そっか、水かあ!」
それ以降、彼女の家でも、出されるのは必ず水道の水になった。
●セコンド
キックボクシングの試合中。
「ローキック、効いてるぞ!」
「違う、違う! 今日タンスの角に足の小指をぶつけたから!」
しばらくして。
「ローキック、やっぱり効いてるぞ!」
「違うって! 痛いのは小指だって!」
試合後。
「びっくりしたな。『やっぱり』って言ったもんな」
「ええ。ちょっと信じたんですよ。言ってみるもんですね」
「でも負けちゃったけどな」