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バンドの亀裂 バンドの亀裂 その二
●バンドの亀裂
「なんでなんだ?」
「何がだ?」
「なあ、お前、担当楽器は?」
「ドラム」
「お前は?」
「ベース」
「俺はギターだ。そんで、お前は?」
「ボーカル&ギター」
「だから、なんでなんだ?」
「だから、何がだ?」
●バンドの亀裂 その二
「バンドのボーカルで作詞作曲して、ソロでも作詞作曲してる人、いるじゃん?」
「うん」
「それって何が違うの? 曲を聴く側からすると一緒じゃん。ずっと一人でよくない?」
「まあね」
まさにその状態に該当するバンドの、俺はギタリストだ。
「——って、言われてたぞ! お前!」
「そうか。実は、話があって……」
「え? まさか解散するって言う気じゃ……うそうそ、ソロやりたいだけやっていいよー」
「いや、お前のソロ用の曲を作ったからどうかって話なんだけど」
「ええ? マジで? 一生ついていきます、親びん! 私めを犬とお呼びくださいませ!」