どうしてだろう? 悲しい結末
●どうしてだろう?
麗美は飲食店に入ってすぐ、一人の男からの熱い視線に気がついた。
面識はない。けれど、その情熱や運命的なものを感じずにはいられなかった。
この感覚、信じていいのかしら? だけど——。
彼女は、裏切られたり、男には散々痛い目に遭わされてきたのだった。
麗美はパスタをオーダーした。
ふと見ると、男はさらなる強い眼差しを自分に投げかけていた。
そこに、店員がやってきた。
「あちらのお客さまからです」
「はあ?」
注文したパスタに、大量のタバスコが振りかけられていたのであった。
●悲しい結末
「なあ、天気予報とかで『暦の上では……』って言うじゃんか」
「ああ」
「あれ、意味なくねえ?」
「そう? あるんじゃねえの」
「だって、『暦の上では秋です』ったって、すげえ暑いし、意味ねえって」
「じゃあ、お前、豆まきするなよ。あれは暦じょうの季節の分かれ目でやるんだから」
「え? そうなのか?」
「だろ。季節の分かれ目だから節分なんだろ」
「わ、悪かったよ。もう絶対にそんなこと言わないから許してくれ」
「お前、豆まきが大好きだったのか。なのにそんなこと言って、俺こそ悪かったよ」




