ロマンチスト その二 ロマンチスト その三
●ロマンチスト その二
「いい、みんな。夢を持つのよ。それに向かって頑張るのが人生ってものなのよ」
そう語るロマンチストな教師の寿々代のもとに、教え子の一成がやってきた。
「先生。僕の夢も叶いますか?」
「もちろんよ。あなたの夢はなあに?」
「貴族になることです」
一成は内心寿々代を馬鹿にしていての発言だった。
すると、彼ははっとした表情になり、脚がガクガクし始めた。
「うん。絶対になれるから頑張ってね」
「は、はい……」
寿々代の顔が一瞬、般若のようになったのだった。
●ロマンチスト その三
「いい、みんな。夢を持つのよ。それに向かって頑張るのが人生ってものなのよ」
「米原先生」
ロマンチストな教師である寿々代のもとに、教頭の福井がやってきた。
「私の夢も聞いていただけますかな?」
「もちろんです」
「私の夢は、フォトエッセイを出版することです」
「フォトエッセイ、ですか?」
「ええ。ただのエッセイではなく、フォトエッセイです。叶いますでしょうか?」
「……はい。きっと」
さすがの寿々代も、おっさんのシュールな夢にはついていけなかったのだった。




