運がいい 運がいい その二
●運がいい
「おまたせー」
「遅いよー」
「ごめん。電話、だれ? 何話してたの?」
「紗綾。麻衣が今度の大会で、メドレーリレーに出ることになったんだって」
「ええっ?」
「なに、そんなに驚いて」
「だってあのコ、すごい音痴だよ。それなのに大会なんて大丈夫なの?」
「はあ? ……ねえ、水泳の話だよ。カラオケと間違ってない?」
「いや、だから、運動音痴じゃん。あれ? それは別のコだっけ?」
「なーんだ。そうだよね。そんな馬鹿な間違いしないよね」
●運がいい その二
私たちは女子の仲良しグループだ。
ある日、リーダータイプのアカネが言った。
「私、フラ習いたいんだけど、みんなもやらない?」
それで、都合が悪い一人を除く全員で、習うことにしたのだが——。
「聞いてよ。ナオミ、フラをフラフープのことだと思ってたんだって」
「うわ。ナオミのおとぼけ出ちゃったね」
「だって……ハヅキもそう思ってたんじゃない? 黙ってるけど」
「いやいや、一緒にしないで。私もおっちょこちょいだけど、ダンスだってわかったよ」
そう私は返した。嘘は言っていない。
ただ、フラメンコかとは思ったけれど。




