八百屋の神 ルールは守ろう
●八百万の神
日本は八百万の神の国である。
「野球の神様、ありがとう」
この少年は、普通はアウトになる打球がイレギュラーでヒットになり、試合にも勝った。
「やあ、野球の神だよ」
「え? ほんと? ありがとう」
「いや、あれは私がやったんじゃないんだ。した本人を連れてきたから」
「どうも、球場の神です。あれ、僕でもないよ」
「ボールの神でえす。あたいの仕業でもないよ」
「芝生の神じゃ。わしがやったのでもないぞえ」
たくさんいるとややこしかったりもするのだった。
●ルールは守ろう
俺が友人と自転車に乗りながらしゃべっていたときのこと。
「なあ、自転車に乗ってるときに、曲がるのとかを手で示すやつあるじゃんか」
「あー、あるな」
「曲がるときに腕も曲げるんだっけ? こんな感じ?」
「知らねえよ」
すると、そんな俺たちのもとに、バイクのいかつい男性が近づいてきた。
「おい!」
「は、はい。何か?」
「お前、曲がるって手でやったのに曲がらねえから、ちょっと危なかっただろうが!」
「……すみませんでした」




