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不向き 除夜の鐘
●不向き
私は公立の図書館で司書をしている。
以前、職場体験で来た女のコ二人と、再会する機会があった。
「私、司書はやっぱりやめようかなって」
「あら、そう。どうして?」
「しおりの役目のひもをゆるい状態にする作業があるじゃないですか」
「うん」
「あれをずっとやると思うと、気が滅入って」
「それは不向きねえ」
「私も、図書館は月曜休みで、日曜日に働くのは気が滅入るんです」
「それもまた、不向きねえ」
●除夜の鐘
ゴーン。
「あれ? 何回ついたっけ?」
「二十六回です」
「すぐ忘れちゃうんだよな。わし、向いてないかも」
「ハハハハハ」
ゴーン。
「あれ? 何回ついたっけ?」
「五十七回です」
「すぐ忘れちゃうんだよな。わし、向いてないかも」
「ハハハハ」




