困ってるんです 立派なキャプテン
●困ってるんです
「どうされたんですか? 『迷惑な客がいる』という通報内容でしたが、具体的に」
「見てください、あそこ。腕相撲をしているんです」
「え? 腕相撲?」
「そうです。うち、おしゃれなバーなのに、ずっとあの調子でやめないんです」
「そんなことで通報されたら困ります」
「困っているのはこっちです。他のお客さん、シラケて帰っちゃうんですよ。営業妨害です」
「しかしですねえ……」
「警察に通報しますよって言ったら、すりゃいいだろって返すんですよ。注意してください」
困ったもんだ、と警官はその客たちのもとに向かった。
「いや、『今やってるのは指相撲だよ』って顔をされても」
●立派なキャプテン
「みんな、聞いてくれ」
俺たち柔道部のキャプテンが言った。
「俺、しょっちゅうこうやって、ゴムボールを握っているだろう?」
「はい」
「実はこれ、握力を鍛えるためじゃないんだ」
「え? そうなんですか?」
「単に、このニギニギする感触がたまらないからなんだ」
「そんな。黙っていればわからないのに」
「キャプテンとして正直に話しておくべきだと思ったんだ。うおー、気持ちいいー!」
「すげえ誠実っすね。ずっとついていきます!」




