私は演歌歌手 僕らは弱小サッカー部
●私は演歌歌手
私は、歌唱力はあるし、努力も重ねているのだが、一向に芽が出ない。
それで考え、曲を作ってくれる先生に、自分の望む歌の制作を依頼した。
それを聞きつけた、私の師匠がやってきた。
「何なんだ、この『ディスられて』とは。こんなふざけたのじゃ、売れても一発屋になるぞ」
「大丈夫です。私の思うようにやらせてください」
そして、その曲は変わっていて面白いと注目され、めでたくヒットした。
しかし、演歌を汚したなどとたくさんの批判も浴びた。
けれど、そこも計算してたのだ。それを受けた新曲「リアルにディスられて」を発売した。
「ほーら、一発屋ではなく、二曲ヒットしましたよー」
ただし、それにて脚光を浴びるのは終わったのだった。
●僕らは弱小サッカー部
僕たちは高校のサッカー部。サッカー部といったら普通、部活の花形だろう。
しかし、うちの学校は野球やバスケなどが盛んで、いい人材が入ってこない。
結果、大会はいつも一回戦負けだった。
そんなだから、女子からの人気もないし、誰も注目しない。
ところが、日の目を見るときが来た。
「さすがはサッカー部」
テレビで、サッカーの試合前に、二列で写真を撮る姿を見たことがある人は多いだろう。
おそらく、そのために——。
「ほんと、手際がいいわー」
卒業アルバムの部ごとの写真撮影で、そう絶賛されたのだった。




