UFO 見られている
●UFO
「昨日のニュースで、政府がUFOの存在を否定したってのがあったんだけど」
「うん」
「なんでそんな発言するんだろ? 馬鹿馬鹿しいって感じで、無視しない? 普通」
「あー」
「逆にUFOは存在するって認めてる気がするんだよな」
それを耳にした川添は「鋭い」と思った。
彼は、政府の関係者である。
人ごみから離れて携帯を手にすると、電話をかけた。
「私ですが、新たに数機、UFOが来るようです、総理」
「そうか。これで、人口減少問題や経済効果など、また助かるな」
●見られている
店で食事をしていると、一緒にいる友人の幹恵が幽霊を探すみたいにキョロキョロした。
「どうしたの?」
「ねえ、山路千景って知ってる?」
「なんか、文章を書く人でしょ?」
「そう。そんで、その人が書いたエッセイを読んだんだけど」
「うん」
「『こんな人を見た』って内容の箇所があって、それがどう考えても私のことなの」
「へー」
「だから、近所に住んでるのかも。しかも、今もそばにいたりして」
あ、それ、実は私。あんた面白いから、また書くよ、きっと。ごめんね。




