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筋肉痛 ど忘れ
●筋肉痛
古屋と田坂と俺の幼なじみ三人は、中年になっても頻繁に会って遊んでいる。
「あれ? 体、つらそうじゃねえか。どうしたんだよ?」
「昨日ので、筋肉痛」
「えー、あの程度の運動で? お前、歳だな」
そう古屋をからかった俺と田坂だったが——。
「あれ? 体、つらそうじゃねえか。どうしたんだよ?」
「どうやら、一昨日の筋肉痛が今日出たみたいだ」
「えー、一日遅れて出るなんて、お前、正真正銘の歳だな」
そう田坂をからかった俺だったが——。
そのさらに翌日、筋肉痛になったのだった。
●ど忘れ
「なあ。あれ、何て言ったっけ? ど忘れしちった」
「なに?」
「多分、『中華なんとか』なんだけど」
「冷やし中華?」
「違う。肉と野菜が入ってて」
「んー?」
「ほら、パイナップルを入れると嫌な人が多い」
「ああ。酢豚だろ」
「そうそう、酢豚な。あー、すっきりした」
「でも、『中華なんとか』じゃ全然なかったな」




