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恵まれているが故に平等

作者: 中村

 とある王国で、平等な世界を達成するために人々に力仕事が与えられました。

 全員に同じ量の仕事が与えられ、同じ金額の給料が支払われました。


 その結果、男性の方が力が強く体力もあるため女性に比べて楽々と仕事をこなしました。

女性たちは自分たちの方が大変な思いをしていると思い、憤りを覚えました。


 平等ではないと思った王様は、女性の仕事を減らしました。


 しかし、女性の中には並の男性よりも力が強く体力がある女性がいました。その女性は男性たちよりも少ない仕事を楽々とこなし、同じ給料をもらえました。

 その女性は自分は他の人たちより得をしていると思いました。


 そして、男性の中には並の女性よりも力が弱く体力もない男性がいました。その男性は女性たちよりも多くの仕事を他の人々より苦労してこなしたにも関わらず、同じ給料しかもらえませんでした。

 その男性は他の人たちより損をしていると思いました。しかしその男性は体を鍛え、他の男性よりも力持ちになり、楽々と仕事をこなせるようになりました。


 努力で力を手に入れた男性を見た人々は、努力をせずに楽して給料をもらっている力持ちの女性をずるいと思いました。


 人々はその女性を王様の元へ連れて行き、この女性は努力をしなくても男性よりも力持ちで、他の人々よりも楽に仕事をこなせるのに仕事が少ないのは不平等ではないかと言いました。


 仕事の量を同じにしても不平等が生まれてしまうし、性別によって仕事の量を変えても不平等が生まれてしまいます。

 そして王様は、個人の能力によって仕事の量を変えることにしました。


 努力で力持ちになった男性はこれに怒りました。楽をするために努力をしたのに、能力が高くなったせいで仕事も大変になってしまったのです。体を鍛える努力の意味がないと思った男性は、努力することをやめてしまいました。


 また、もともと能力が高かった人たちも怒りました。自分たちの方が高い能力を持っているからと言って大変な仕事をしなければならないのは不平等だと言いました。能力が高いのだから楽に仕事をこなせるのは当たり前のことであり、能力が高いからといって多くの仕事をしなければならないのは納得できないようでした。

 そして能力が高い人たちは能力が高いことを隠すため、適当に仕事をするようになりました。


 そして中には、もらえるお金は半分でいいから仕事も半分にして欲しいという人や、もっとお金が欲しいからもっと仕事をさせて欲しいという人もいました。


 そこで王様は、同じ量の仕事に同じ給料を支払い、仕事の量を選べるようにしました。多くの仕事をすれば多くのお金がもらえます。能力が高い人が多くのお金を稼げるのは当たり前であり、力仕事で女性の方が男性よりもお金を稼ぎにくいのも当たり前のことで、不平等ではないのだと思いました。

 力の弱い女性は不満でしたが、少ない仕事しかできないのだから、給料が少ないのも仕方のないことだと受け入れるしかありませんでした。


 そんな王国に、二人の女性たちがいました。その女性たちは体が小さく力も弱かったため、あまりお金を稼ぐことが出来ませんでした。しかし片方の女性は美しかったため、力持ちの男性と結婚しその男性が一生懸命働いてくれたため、努力をせずにお金持ちになりました。

 その男性は、努力をして力持ちになりました。自分は努力をした結果として綺麗な奥さんを娶り、お金持ちになったのだから、世界は平等なのだと思いました。


 もう片方の女性は醜く相手に恵まれず、あまり仕事もできないので貧乏になりました。

 その女性は、世界は不平等だと思いました。

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