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第四節「ザ・リッパー」


 少年――フレンドの名前的にはリクトさんらしいです――と別れた後、初心者用のクエストを回ることにしました。

 初心者らしい行動を考えた時、一番最初に思いついたのが初期クエストを完了していくことでしたから、上手くいけば件の初心者狩りと会えるかもしれません。

 そう思い、とりあえず手元にあるクエストを消化していたのですが……。


「思っていたよりも、移動するクエストが多いんですね」


 街のアチコチへ移動する、いわゆるお使いクエストをこなしている最中、ふとそう思ってしまいました。

 街を覚えてもらおうと用意されているらしいクエストで、報酬も初心者が助かる課金消費アイテムを報酬に置いてあるのですが、いかんせん移動距離が多くて飽きが来るものが多い印象を受けました。

 街の雰囲気はダークファンタジーとしてはスチームパンクに近い街の雰囲気を想像できれば早いかとおもいます。暗い雰囲気の石畳が広がる、ガス灯が点滅する町はホラーの雰囲気を強く感じる町並みです。

 路地の方へと体を滑り込ませて進んでいくと、道はあっという間に大通りに出ることが出来ました。

 大通りといいましても、車の普及していない時代を想定したデザインをしているので、馬車が一台通れるほどの道ですし、それに……。


「この道、をまっすぐでしたよね。それにしても、大通りの道なのにこの道は人が通らないのでしょうか……」


 街の中でも戦闘エリアに近いのに主要エリアから離れているからでしょうか。

 人気はほとんどなく、足音と空気の音が充満した不気味な通り道、ゆっくりと歩を進めていると、本来なら荷物がいくつか置かれているだけのはずの大通りに濃い霧が周囲を包み始めました。

 周囲の景色が霧に飲み込まれ、数メートル先までしか見通せない視界になってしまう。不定期イベントが発生したことで、人が少ない理由がなんとなく分かりました。


「ん、不定期イベント、魔力を含む霧の街。街中でも適正キャラが出るイベントで重くもなりますし、ファストトラベルもできるので人が居ないのも納得ですね」


 "魔力を含む霧の町"は初期スタート地点である街の周囲にだけ、濃霧が張られ霧の範囲が敵性モンスターが湧く外と同じフィールドになる、というイベントです。

 もう一人のデザイナーでもあるデュークとイギリスっぽさを出したいとゴネた結果足してもらったのですが、プログラマーさんを三回ほど泣かせてしまったのも……悪くない思い出だと思いたいです。

 プレイヤーの方々の評判としては、いつ起きるかもわからず、今のところ経験値意外の価値が薄いイベントと言われていて、そのうちなにかしらの追加イベントを実装しようという予定もあったはずです。


「この辺で霧が発生したということは時間は……五時くらい、でしょうか、そろそろあの人が迎えに来る時間でしょうし……」


 準備の時間も考えると、今日の調査はこの辺で終えなければいけません。

 どうしようかと考えていると、誰かが付いてくるような足音が不自然に聞こえました。

 振り返るとところどころ剝がれている石畳の道路が続き、道の傍らには壁に沿うようにいくつもの荷物の壁ともいえる山が出来上がっています。

 霧が立ち込めていて、先ほど歩いてきた道はもう見えません。仮に誰かがいたとしても見えないほどの視界です。

 足音は振り返ったと同時にピタリとやんでしまい、無駄に作り込んでしまった地下水路の音や、街灯が湿気に満ちた道路を埋め尽くし、荷物の山に隠れられてしまえばどこにいるかもわかりません。


 そして、今は霧イベントの真っ最中でした。

 このイベントは町中が外のフィールドと変わらないエリアになるというイベントです。


「足音……このイベント中にこっそり近づくのはやはり、そういうことでしょうか」


 足音が途絶えたあたり、さきほど荷物の山が置かれていた道端に視線を向ける。

 どこから持ってきたのか階段状に置かれた大きな木箱に、立てかけられたソファらしきもの。人が隠れるには十分のスペースとは言えず、しばらく観察をしても誰の姿もありませんでした。

 私の、勘違いだった、ということでしょうか。

 何も起きないのであれば、モンスターに襲われてしまう前に逃げしまおう。そう思い、視線を上にあげ、驚かされてしまいます。


 目の前に、ボロボロのマントをまとった誰かが立っていたのです。


 一見、盗賊のように見えるその方は顔をフードとスカーフで覆い隠し、マントもボロボロなだけでしっかりと足元まで覆い隠していました。


「なにか御用でしょうか」


 こんな場所に一人で立っている人間の目の間に立って、用がないわけがありませんが、そう声をかけると、相手はゆっくりと行く手をさえぎるように道の真ん中へ移動されました。


「お前に用がある」


 機械処理を施した、ギザギザとした声でそう返されました。

 おそらくまいくに違うデバイスを噛ませて本来の声を隠しているようです。ロールプレイの一種の可能性もありますが、場所と噂のタイミングを見るとだいぶ怪しいと思えてしまいます。


「もしかして、この霧の中でモンスター狩りでしょうか。それなら場所はお譲りしようかと」

「必要ない」


 相手の方はそう言って、懐から装備を取り出しました。間違いありません、この方は私を襲うつもりで霧の中で声をかけた、ということになります。

 ……少しカマかけをしてみましょうか。

 私も自分の装備をこっそり用意しながら会話を続けさせてもらいました。


「……今は町中に居ます。どうして装備を出されたのでしょうか」

「知る必要が?」

「ええ、やはり気になることは聞いてしまうのが一番早いと思っていますので」

「知る必要はない」

「どうして、でしょうか。もしかして、私は今から狩られるからでしょうか」

「…………なぜ」

「やはり、そうでしたか。驚きました、噂の初心者狩りの方は"魔力を含む霧"の隠し効果を知っている方だったんですね」

「お前、初心者じゃないな?」


 驚かれたのか、相手の方は武器を構え直しました。

 魔力を含む霧の効果――それは町の一部地域を敵対モンスターがポップするフィールド化です。そして、このゲームに置いて外のフィールドはPVP戦闘もできる仕様になっています。うま味が無いので自ら敵対する方はほとんどいませんが、この仕様があるため"霧の出た安全圏で狩られた"という噂を大した理由ではないと判断した理由です。

 ただ、もう一つ気がかりな点はありました。

 このイベントはほぼ不定期のイベント……運営付近の方しか霧が起きるタイミングは分かりません。だからこそ慣れたプレイヤーの方はファストトラベルでスタート地点に飛んでしまいますから、初心者のみが襲われたのでしょう。

 しかし、この方はどうやって霧のタイミングを把握しているのでしょうか、データ解析と言った法律的にだいぶ黒寄りの手段でもまだ把握されていないはずなのですが……。

 とりあえず、この方とはもう少しお話をしなければいけないようです。


「いいえ、少なくともこのキャラクターはほとんど初期ステータスと言っても過言ではありませんので、広義では初心者かと」

「……初心者狩りを知ってて、ここに?」

「一応、その噂を聞いてここに足を運ばせてもらったので」

「クックッ、それはいい。あと少しだ」

「あと少し? 何か目的がある、ということでしょうか」

「それこそ知る必要はないだろう」


 ずいぶんと饒舌になってくださいましたが、そこから先は答えてはくれないようでした。

 最も、目的を否定もせず、そんなものはないと断言しないあたり"行き過ぎたロールプレイ"ではなく、その目的の先にある何かが欲しいのだと察することが出来ます。

 あと少し、何か情報が手には入れば御の字と言ったところでしょうか。


「そうですね……。では分かりやすく取引をするのはいかがでしょうか」

「取引?」

「はい、ビジネス、と言った方が早いかもしれません。私はただ単にこの場所で起きる噂の真実と解決をするために来ました」

「正義感のあることで」

「誉め言葉として受け取らせていただきます。――それで、なのですが、目的によっては協力を申し出たいのです」

 嘘ですが。

「協力?」

「はい。その代わり、この場は見逃したり、口外しないとお約束をしても構いません。場合によってはある程度補佐することもできると思います」

「ふっ、ははっ! 残念、必要ないよ」

「……笑われるとは思いませんでした。もしや他人の協力は必要ない、ということでしょうか」

「怒らないでよ。こちらはその噂が広まってくれればいい」

「なら、交渉は決裂、ということでしょうか」

「そういうこと――ッラ!」


 どうやら元々交渉の余地などなかったらしく、相手は一気に距離を詰めるため低い姿勢で飛び出してきました。

 このゲームであの距離からでも詰めてくるということは、出が早い攻撃系のスキルを準備していたのでしょう。

 本来ならもっと準備をしてから戦う、というのが理想でしたが……仕方がありません。


 隠れて装備していた魔力強化用の杖を手に取り、冷静に相手の行動と、一挙手一投足に集中していく。

 動きを見る限り、遠距離である銃や魔法ではありません。ローブで体全体を隠して接近してくる時点で間合いが近い近接かなにか。

 ばさばさと激しくと動くローブの下、短剣らしき鞘が二つ。そしてそれを抜いた両腕をクロスにした腕も見えました。


 短剣固有である両手持ちの攻撃スキル。一度の攻撃で、二回分の攻撃をできるので、攻撃力の低い短剣での鉄板です。

 一気に距離を詰める間、一瞬ですが無敵の時間があるので懐に潜り込む野にも優秀なスキルです。

 ですが判定の長い攻撃を避けられず、また物理攻撃で止まるという弱点に加え、もう一つ弱点があります。


「双剣スキルのクロススラッシュですね、それなら……」

「そのタイミングでファイアの魔法はもう間に合わない!」


 初期状態のスキルの中で炎の魔法、味気の無い名前の『ファイア』という魔法を選択しました。

 説明なんていらない、簡単に炎の球を扱う魔法で、物理攻撃でも何でもありません。スキルを選択した瞬間、炎の塊が手のひらの上で燃え上がりました。

 私の選択に勝利を確信したのでしょうか。

 無敵時間を使い、距離を一気に詰められ、フードと口元を覆うスカーフの隙間から見える勝ち誇った表情が、ヴァーチャルの視界を通して、私の脳内に直接焼きついて行きます。

 当然と言えば当然だなと思います。この状況、不意打ちに成功すれば反射で動けない初心者の方なら避ける方法はありません。

 しかし、このスキル選択は間違ってはいません。


 長年、ゲームをやっていると、ある程度どのような役職がどのような役割を持っているか、というのに気が付くと思います。

 その中でも魔法職は長い詠唱という準備に時間をかけ大きな一撃を敵に与える。いわばロマンを持った職で一人でプレイにはあまり向かない立ち位置でした。

 元々、世界観を楽しんでもらうために考えていたので、このダークファンタジーの世界で、魔法使いが一人で出来ないのはあまり喜ばしいことではありません。しかも、このゲームは対人もできるという仕様上、一方的に弱い役職もナンセンスでした。


 なので、魔法職には特定のタイミングに無敵時間が発生するように提案されたのです。


「なっ!?」


 あと数舜、短剣が体に当たるのとほど同時。不思議な力が私の体を後方に下がらせ、相手の方に向けた手から炎の塊が噴き出しました。

 放たれた魔法は突進し、短剣を切りつける動作中の相手に当たり、相手の方を吹き飛ばす。距離を取った相手の視線が私の頭部……おそらく体力の値を表すゲージのあたりを確認しました。


「無傷? ……なるほど、魔法詠唱にある無敵時間を利用する回避か。お前、初心者なんて大ウソつきだな」

「やはり、この仕様は知っていましたか。ですが、広義では初心者と言ったのでウソつきは心外です」

「よく言う、初心者がスキル発動から時間差のある無敵時間をあわせられるわけがない」

「天性の才能の持ち主かもしれません」

「口が回るな」

「お褒め戴き光栄です」

「だが、結局のところお前はここから逃げられない。魔法スキルも無限じゃない。ストックした回数が無くなればその方法も使えない」

「……そう、ですね。悔しながら、その言葉には同意せざるを得ません」


 やはり、この方は色々と内部情報を知っている方のようでした。

 魔力を含む霧はこの場所をフィールドと同じ場所にするイベントで、フィールドではログアウトできない仕様になっており、戦闘中はファストトラベルで近くの町に飛べません。なので、この方の言う通り、逃げるには戦闘を終わらせるかゲームを強制終了させるしかありません。

 そして、この方はどこにも明かされていないゲーム内情報を確実に持っているということも分かりました。


 ――情報的にはそろそろ十分、でしょうか。しかし、このままやられてしまうのも少々癪ですね。


 視界をずらし、内部ウィンドウの時計を確認する。勝ち逃げできる条件がそろうのはそろそろでしょうか。

 ……申し訳ありませんが、時間を稼ぐしかないようです。

 武器を構えたまま、じりじりと距離を詰めようと見計らっている相手に話しかける。


「それにしても……不思議な話だと思いませんか」

「不思議?」

「はい。このゲームは初心者狩りをしたところで、経験値は微々たるもの。ドロップアイテムも消耗品だけです。お互いにそれほど痛くない仕様ですからする価値はほとんどありません」

「回りくどいな。つまり、こちらに何か思惑がある、と?」

「それ以外の理由が見つからないもので」

「どうだか、頭のおかしいロールプレイヤーかもしれないぞ?」

「……たしかに、その可能性もあります。昔のゲームで『穢れた血事件』という有名な事件があります。それはゲーム内でボスエリアでしかかからないデバフが不具合で町中広まった、という事件なのですが、リアル世界で伝染病が広がった人間社会と同じような図式になったと聞き及んでいます」

「へえ、博識だな」

「例えば、わざとばらまく人、例えば永遠に回復魔法をかけて治癒を待つ人……そういう意味では、特異なロールプレイヤーが居るのはある種自然現象と言える、という訳です。ですが、あなたは違う、そう確信しています」

「…………」

「初心者狩りの噂は確かに耳にしました。実際調べてみれば、確かに"魔力を含む霧"イベント中に倒された初心者の方がいるのは確かです。しかし、一般プレイヤーからすれば他愛のない"よくある初心者の勘違いから生まれるあるある話"でしかありせん。これでは、この噂を広げている理由が分かりませんでした」

「やけに詳しいな、知る理由でもあるって感じ」

「……ただ初心者の方が狩られ、プレイヤー人口が減るのが見過ごせないお節介な一プレイヤーと思っていただければ――っ!」


 時間稼ぎのつもりで喋っていましたが、突然スキル無しで切りかかられ、持っていた杖をかざして何とか相手の攻撃を止めると、いわゆる鍔迫り合いのような形になりました。


「……お前、相当やりこんでるな。中のプレイヤーは誰だろう」

「っ、教える、義理はないかと」

「ごもっとも。だけど――」


 意味深な発言に違和感を覚え、相手を観察していく。ローブにフード、フードの下でさらに顔を隠すためのスカーフが垣間見えます。それに杖でガードした短剣が一本。

 一本の、短剣……。


「っ! あなたはもしかして顔を!」


 その瞬間、ローブの下からもう一本の腕が伸び、とっさに風の魔法スキルを選択した瞬間、私のフードに手をかけられてしまいました。

 遅れて風魔法が発動し、フードを思い切り上げられ慌ててフードを被り直しましたが、頬に霧がまとわりつくような不快な錯覚を覚えさせられました。

 おそらく錯覚ではなく、現実では冷や汗が頬を流れているのでしょう。


「初心者のふりをするのなら、初期起動しないとね。体形だけのつもりだったのに危機管理が足りてなかったみたいだ」

「……やられましたね」


 こちらも良い情報は手にすることが出来ましたが、相手の素性が分からないのにこちらの顔を知られてしまった、というのは少々痛手かもしれません。

 初期起動キャリブレーションは現実に似た体形と顔で生成されます。本来は隠す専用アイテムが配布されていたのですが、あの少年に顔を突き合わせて教えていたので付けるのを忘れてしまっていました。

 このままでは一方的に情報を取られただけ……どうにか痛み分けにはできないものかと思案していると外――リアルの世界から衝撃を感知したアラームが鳴りました。

 どうやら"あの人"が現実の私の体を揺り動かし、起こそうとしてくださっているようでした。

 この場から逃げる最善策が起きほっと安堵する。もう少し刺激が強くなれば強制的にログアウトになるでしょう。時間も予定通り"あの人"は空気を読むのも素晴らしい方です。

 それならこちらも同じ手を使わせてもらうことにしましょう。

 思い切り走り寄り、相手の方が反応するよりも早くファイアの魔法を使い、体を反転させる。通常速度で走るよりも早く体が移動し、手を伸ばせば届くほどの距離にファイアの魔法で移動し、反対の方向に炎がはじけました。


「っ! なんで、反対に魔法を! お前何を考え……」

「逃げられる前に同じことを、です。失礼します」


 何をするか察されたのでしょう、相手の方が短剣を振り下ろそうと腕を上げました。

 残念ながらこちらは避けるつもりなど、毛頭ありません。

 相手の方のマントに手を差し込んで、思い切り外にはねあげると、女性らしい洋ナシ型の体形とはっきりと膨らんでいる胸を確認し、視界がブレて強制ログアウトされました。


      *     *     *


 強制終了したゲームから覚めると、見慣れた暗闇が広がっていました。

 目の周りに"眼鏡"の感触はありません、おそらく起こされた時に外され、目の前には私を起こした"あの人"がいるはずです。

 だって、私に余計な気づかいをさせないよう、音を立てないようにした温かい気配がしますから。


「ふふっ、この時間に起こしていただけると信じてました」

「あはは、それは恐縮の至りってところだね、眠り姫様」


 すこし気恥しいセリフを当然のように口されてしまいました。

 さて、彼との約束を果たすためにはまず体を起こさなければいけません。

 椅子の手すりに体重をかけるとギィと音が鳴る。そのまま体を起こそうと力を籠め、背中から椅子の感触が離れた瞬間、空いた隙間に彼の腕が差し込まれてしまいます。

 とても労わる方の触り方で、倒れそうになるような道では必ず触れないように支えてくださるのが分かるほど、優しい触れ方なのですが……。

 今日はなんだか、焦ったかのような素早い動きでどうしたのかと驚いてしまいました。


「あ、あの、どうか、しましたか?」


 いつもと違う雰囲気を感じて聞き返すと、戸惑って止まっていた足の膝裏にも彼の手の感触がして、おや、と思っていると、体が浮遊感に包まれました。


「っあ! あ、あの、すみません、なにか怒っていらっしゃるのでしょうか、あの……」

「あはは、こんな時間まで何をしてたのかな。さあ、もう時間だよ、お姫様」


 確実に怒ったように聞こえる"あの人"の声がいつもより引きつった口元から紡がれていました。



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