陽の初めてのわがまま
陽の初めてのわがまま
いつものように学校から帰って、しばらくすると陽が帰ってきて、それからゆうが俺の家に帰ってくる。
3人でリビングに、
「兄さん、最近変態マンが豊島にしか現れていないんですね」
「あー、それ、俺達じゃないから」
「そうなんですか?」
それを聞いたゆうが
「うん、ほら豊洲の1階層で助けた偽者の人たちがいたでしょ?あの人達よ、
かっくんが真似してもいいって、認めた人達」
「認めたって・・・・」
「でも、結果そうでしょ?」
「まあ、そうなんだけど 」
「そうなんですか、私はてっきり兄さんも豊島で変態マンをやってるって思ってました」
「公認変態マンって言ってるでしょ」
「そういう事だ」
「そうなんですか・・・・」
「どうした?」
「私はレベル上げのため、さゆりさんとゆうさんが一生懸命手伝ってくれて、豊洲にはいっているので、そっちでいっぱいだから、豊島には行けないんだって思っていました」
「俺達が変態マンになる時はたいてい豊洲の30階層あたりなんだ、だから豊島には行かないし、行っても変態マンになる事はないと思うよ」
「そうなんですかー」
「ん? どうした?」
「豊洲の30階層に入るにはレベルはどれくらいにならないと入れないんですか?」
「60くらいかな?」
「それじゃあ随分先の話ですね」
「陽は大学受験もあるから、大学生になってからだろうな」
「そんな先ですか」
「ああ」
「なあ、何があったんだ?」
「いえ、ゆうさんからもらった仮面を使うのはそんなに先になるんだな~って思うと・・・」
ゆうが陽に向かって
「陽ちゃん、あの仮面マスク付けてみたいの?」
「・・・・」
「つけたいんだー」
ゆうがニコニコしながら陽の顔を覗き込むように見ると、陽が小さく頷くので、
「ちょっと待ってね」
そう言ってスマホから電話をかけ、スピーカーON
『もしもし』
『もしもし、さゆりさん?』
『どうした?』
『あのですね、陽ちゃんが あの仮面を付けてダンジョンに入りたいみたいなんです』
『陽が?』
『はい』
『陽』
『はいっ』
『あの仮面をつけてダンジョンに入りたいのか?』
『・・・・』
『気にしないで良いから、言ってみろ』
『はい、私もさゆりさんとゆうさんと一緒に、あの仮面をつけてダンジョンに入りたいです』
『そうか・・・・・・高谷』
『はい』
『あいつらに会いに行くか?』
『えっ?』
『あいつら、“豊島で正義の味方” やってるんだろ?』
『あー はい、そうです』
『どんな活躍ぶりか見た事ないだろ、様子を見に行ってみるか?』
『はい』
『陽』
『はい』
『映像配信はないぞ、それでもいいか?』
『はい』
『よし、じゃあ今度の川越はやめて 豊島に行くぞ』
「「はい」」「『ありがとうございます』」
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日曜、豊島の朝は早い
「あいつらは、どこらへんに居るんだ?」
「コメによるとたいてい6,8,10階層あたりです」
「それじゃあ6階層からゆっくり行ってみるか」
「「「はい」」」
6階層からゆっくりと進む、先頭は陽、斜め後ろ両脇にさゆりさんとゆうが脇のモンスターを倒し、陽がどんどんモンスターを倒していく、俺は一番後ろでサポート
お昼に10階層まで来てしまい、
「会わなかったな」
「はい」
「一旦出て、お昼を食べてもう1度6階層に入ってみるか」
「「「はい」」」
ファミレスに入って4人でお昼を食べ、また6階層に入る。
同じフォーメーションで午前中よりもゆっくり進むと、
8階層に、青い点が、歩いて行くと遠くに見えるがのコンビニ袋、いた!
俺はコンビニ袋、そして皆が仮面を付けると
「高谷、先に行ってくれるか」
「はい」
俺は普通の俊足であいつの前に
「よお」
「ハヘ?」
「ハヘじゃなくて」
「はい、あの、こんにちは」
「こんにちは」
「あの、どうして ここに」
「様子を見に来たんだ」
「あの、僕達、何も悪い事してません。ちゃんと言いつけどおり他の冒険者を手伝ったり、助けたりしてます」
「ああ、それはわかってる、ちゃんと正義の味方やってるもな」
「はい」
「ただの様子見だけだよ」
「はい?」
そこにさゆりさん達に向かって
「あれ? 1人多くないですか?」
さゆりさんが
「ああ、豊洲で見ただろ? 1人に増えたんだ、これからは階層によって3人の時と4人の時がある」
「はあ」
「君達にも、一応挨拶にと思ってな」
「はっ、わざわざありがとうございます」
公認が深く頭を下げる。
陽が前に出て
「初めまして、4人目の陽と言います」
「はじめまして」
そう言って公認達3人が自己紹介をすると
「そうか、たつみと言うのか、高谷、名前まで似てるな」
「いえ、似てないです、全然違います まったく別人です」
「あの、そんなに否定しないでください、いくら偽物でもそこまで言われると」
「あー、 悪い、そんなつもりじゃないんだけど」
「はあ、あの― ひょっとして、リーダーはその方ですか?」
「違う」「そうだ」
「えっ?」
「変態マンと美女、 なんだから、リーダーは変態マンだろ?」
「はあ、『本当のリーダーはさゆりさんだけど』俺がリーダーだよ・・・」
「はあ」
「ところで、偽物のレベルはいくつなんだ?」
ゆうが
「さゆりさん、偽物、はかわいそうですよ」
「そうか・・・なんて言えばいいかな?」
ゆうに向かって言うと、ゆうが
「・・・公認変態マン?」
「そうか、公認のレベルはいくつなんだ?」
「3人とも19です」
「そうか・・・・じゃあ19階層までしか、活動できないだろ」
「はあ」
「それじゃあ手伝ってやるか」
「えっ?」
「とりあえず20まで手伝ってやる、一旦出てから20へ移転するぞ」
公認はさゆりさんに言われるまま、20階層へ
なんだかんだ言っても、さゆりさんもこういう連中は好きなんだろうな、ただ真似している目立ちたがり屋じゃなくて、偽物でもちゃんと他の冒険者を助けたり、手伝ったりしている連中なんだから。
「まず、私達が手本を示すから、そこで見ているんだ、いいな」
「はい」
「陽、行くぞ、高谷は先行、ゆうはサポート」
「「「はい」」」
さゆりさんは公認達を守りながら攻撃方法を説明している。
おれたちはいつもどおり、俺が傷を付け、デバフをかけ弱らせ、ゆうが目鼻口を攻撃、陽がばっさり
「こんな感じだ」
「あの、僕達、それだけの剣士がいないんです。それに変態マンさんみたいにあんなに傷つける事もできないです」
(あー、さゆりさん、自分達のレベル忘れてるよ)
俺が公認に
「お前の武具は?」
「これです」
「お前、そんなナイフじゃ無理だよ、鉈は?」
「持ってないです」
「いいか、アサシンでも攻撃できなきゃ本当にただの斥候・サポートだろ」
そう言って俺の胡蝶双刀と鉈を見せると
「すごいですね」
「お前もこれくらいの武具を揃えろ」
「はい」
後ろではゆうがウィザードとプリーストと話をしている
弓はもっていなくて、俺達のマネをしているだけで、エネルギーボルトを撃っているようだし、プリーストも刀はもっているけど初心者、メイスも普通
さゆりさんが
「来週木曜午後4時、20階層の入り口集合」
ハハハ、さゆりさん、本気だ。
ほんとこの人面倒見がいいんだよ。
ゆうがウィザードとプリーストに持っているロッド2つを
「これあげる、ミスリルだから魔法付与抜群だよ、プリーストもメイスじゃないけど この形で高純度ミスリルだから十分使えるでしょ?」
「えっ、こんなすごい物いいんですか?」
「うん、ちゃんとレベルアップして豊島の平和を守ってね、来週待ってるから」
「はい」
さすが、ゆう、ほんと惚れ直しちゃうよ、こいつ昔からそうだったよね、ちょくちょく俺をいじってくるけど、肝心な時はやさしくて、フォローしてくれる。
見た目だけじゃなくて、人間としても最高なんだよな~。
よし俺も、
「来週、これと似た刀と鉈やるから、ベルトとホルダーは自分で用意しろよ」
「えっ。はい、ありがとうございます」
とりあえず今日はこれで別れた




