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90.夏休みも終わり進学先について

 夏休みも終わり進学先について



 夏休みも終わり、クラス対抗戦・・・俺達パーティーはあっけなく勝ってしまった。


 3年でレベル32は俺達以外にもいたけれど、実力は俺達が一番だと思うと君津が自画自賛。


「高谷、このパーティーってすごいね、皆1年生から一緒だったんだよな~ 僕も1年から一緒だったら・・・・」


「何言ってるんだ、俺達は1年の時は底辺のDクラス、2年でようやくBクラスだよ、お前、1年の時からAクラスだろ」


「そっか、僕もDクラスだったら・・・・」


「お前、なにばかな事言ってるんだ、君津は学校始まって以来の高レベルエリートなんだぞ」


「そんなの入った時だけだよ」


「まあそうなんだろうけど、今はこうやって同じパーティー組んでるんだから、 それでいいんじゃないか?」


「うん、そうだね、今は一緒にパーティー組んでるんだよね」


「だから、今更そんな事言うな」


「うん」


 君津ってほんと変わってるよな、今まで会った生徒会長ってこんな感じじゃなかった、まあ今までの生徒会長より君津の方が親しみがあるからいい事だけど。




 いつもの虎ノ門、管理局の応接室

 いつものように須藤さんと鬼頭さんが、


「君達は大学4年と高校3年だよね、来年はどうする?そのまま冒険者になるのかな?」


「いえ、俺は探求大学に行こうと思います」


「私も進学します。ただ、探求大学にするか悩んでます」


「私は、これからどうしようか悩んでます」


「そうか、もしよかったら、国立ダンジョン研究所に行かないか?」


「はあ?」


「司馬さんもどうかな、そこは付属の専門職大学院も併設されているんだ」


「でも、私、まだ高校生で大学にすら行ってないですから」


「そこはダンジョンの世界、レベルが優先するんだ、だから大学を飛び越えてそのまま大学院の修士課程に進める事ができるんだよ」


「はあ?」


「君達は一応、レベルが63,61,60だろ? 探求大学の卒業生でもせいぜい50だ、つまり君達は飛び級で、大学ではなく、そのまま大学院に行けるレベルなんだよ」


「大学院ですか~」


「ああ、レベル63,61,60だと特待生で学費免除になるんだけど?」


「免除かあ~、そこではどんな事をしているんですか?」


  「一言で言えば、ダンジョンに関する全ての研究なんだが、ダンジョンで採取される素材、鉱物の研究、モンスターの研究、未開拓の階層の研究とか様々だな、ダンジョンに関するあらゆる研究だからダンジョンに関する最新情報を一番持っている所だ」


「はあ」


「君達はアバンタイトという鉱物を知っているかな?」


(あ~、源さんに教えてもらったから知ってるけど・・・)


「はい、名前だけは」


「アバンタイトが大量に発見された当初、アダマンタイトだと言われたんだ、それが研究所で調べてみると、アダマンタイトとは違う鉱物で、アダマンタイトより弱いが軽く、でも加工しやすく、どの鉱物とも相性が良い事がわかったんだけど、それも研究所で行われたことなんだよ。

 研究所には鍛冶・職人に関する研究もされていてね、ダンジョン内で採取できる鉱物は、一般的な鋳造、鍛造、鍛錬では加工できなくて、いわゆる錬金術による加工しかできないんだが、そういった研究もやっているんだ」


「そうなんですね」


「ああ、それと未開拓の階層については、研究所には高レベルの冒険者がいないため、すべて国防にお願いしている状況だから、君達が研究所に行ってくれれば、研究所ももっと自由に研究が進められるんだ」


「そうなんですネ」


「ああ、そうだ、君達の武具だって、そこの鍛冶・職人の研究員たちと相談すれば、もっと良い武具を手に入れる事も出来るんだよ」


「はい」


「研究所の依頼で採取した素材もちゃんと買取所で適正価格で買い取るから今までと変わらないし」


「そうなんですか?」


「ああ、研究所にもちゃんと研究用素材の予算があるからね」


「でも、それだと大学院じゃなくて、研究所になりませんか?」


「モンスターの倒し方とかの知識はあるだろうけど、それ以外の知識はあまりないだろ?探求大学はせいぜい豊洲の30階層程度の知識なんだ、そうなると君達は既に川越の知識もあるから、専門大学院でこの世界のダンジョンに関する知識を習得した方がこれからの活動にも良いと思うんだ。


 その後に研究員になるか、冒険者になるかを選択するにはちょうど良いと思うんだ」



「高谷君、君もどうかな? できれば3人そろって行くのがいいんだけど」


「はあ」


「まあ、急にこんな話をしてすぐには決められないだろうから、よく考えてくれないかな?悪い話じゃないと思うんだ」


「はい、よく考えてみます」



 それから、毎日、いつものようにダンジョンには入らず、3人で話し合いが行われた。


「私は、この話を受けようと思う。

 ダンジョンに関する情報が一番集まる所だから、

 今後の活動にうってつけだ。

 それに、最悪のケースを考えた場合、もしわれわれのレベルがばれて何かあるとしても真っ先に行動に移せると思う」


「そうですね、ただの冒険者で活動すると、きっと色々と目立ってきますよね。

 それに情報も須藤さんからしか入ってこないですし

 俺も、これからも3人で行動することを考えると、探求大学へ行ってもLv.30~50じゃあ、探求高校の時とあまり変わらないじゃないですか、3人同じなら、スケジュール調整も必要ないですし、川越に行きたいし、レベル上げもしたいです」


「かっくんがそうするなら、私もそうしようと思います。

 さゆりさんもいるし」


「ゆう、いいの?行きたい大学があるって言って今の学校に通う事にしたんじゃないの?」


「うん、でも、今は皆と一緒に探求者になる方がいいって思ってる」


「そうか、じゃあ俺と一緒だ」


「うん、 かっくんと一緒だね」


「そうか、それじゃあ帰ってご両親とも相談してくれ、それから須藤さんにお願いして手続きを進めてもらうか」


「「はい」」


 それからゆうも俺も、両親にその事を相談し、俺のところは両親だけじゃなく陽までも進めてくれ、専門職大学院に行く事にした。


 ゆうのところは、自分が行きたいところに行きなさいと言ってくれたらしく、どうして今の高校にしたかについては一切問われなかったそうだ。




 それから、3人で虎ノ門に、須藤さんにこのことを伝えると、 かなり、喜んでくれた。


 いつものように帰るときになって、今日はアメリカンを味わおう、とか言ってタクシーで連れて行ってくれたお店、ジョニーラーマ、外観は大きなガラス窓で中がとってもきれい、個室はないけれど、静かでゆったりしたスペースで、スペアリブとオニオンフライリングのランチを食べる。


 須藤さんと鬼頭さん、さゆりさんはビール、俺達はノンアルコールと書いてあった ルートビア というのを頼んでみた・・・ミントがきついコーラ?


 初めて飲む、不思議な味。


 ゆうに聞いたら、ゆうは1度飲んだことがあるらしく


 脂っこい物に合うんだそうだ。


 ふ~ん、 と思っていたら、 


 来た!ウーッオ、骨付きの肉だー


 うわ~、こんな大きなオニオンリングフライ初めて見る。うん!うまい! 


 確かに脂っこい食べ物に合う。


 食べながら、須藤さんが


「君達のレベルなんだが、調整して70近くまで上げる事は可能かな?」


「どうしたんですか?」


「どうせなら君達に伯を付けた方が良いからね、


 97とか94になると、君達が研究対象になってしまうだろ?


 80を超えると5大パーティーを超えて、トップパーティーになって別の意味で有名になるからね、それを考えると、微妙に下がいいんだ、6番目のパーティーだからね、あっ、対外的には7番目になるか」


  「う~ん」3人で悩む。


「あっ、あの俺がさゆりさんとゆうにデバフをかけたらどうですか? 俺のデバフなら2人に比べ、そこまで下がらないから行けると思うんです」


「ああ、その手もあるな」


「ただ、そうなるとモンスターにかけるデバフなので、1時間で効力が切れると思いますけど」

「1時間もあれば十分だよ、あの測定器の前で、調査員カードが発行されるまででいいんだから」


「それじゃあ、いつでもOKです」


 食事が終わって、また管理局に戻り


 5人が測定器(カード発行機)のある部屋に移動して


「斎藤さんから行って見ようか」


「はい」


「行きます」


 さゆりさんにデバフをかける


「どうかな?」


「レベル68です」


「おっ いいね、それじゃあ そのままでね、発行するよ」


「はい」


 新しいカードは


『TKY-JPN-K010811-O SAYURI SAITHO Lv.68』


 少し番号が変わって、レベルが68に上書きされていた


「これでよし、それじゃあ」


「ちょっと、待ってもらってもよいですか」


「どうしたのかな?」


「だって、顔写真も撮るんですよね」


「もちろん」


「今日じゃなきゃダメですか?」


「何?」


「どうせなら、きれいに撮ってもらいたいじゃないですか」


「そう?」


「はい」


「そんなに気にする事はないと思うけど?」


「そうだ、気にする事はないぞ」


「さゆりさんはいいですよ、いつもクール美人できれいなんですから、でも私はその日によってブスの日もあるんです」


「そんな事ないよ、俺、毎日見てるけど、いつもきれいだよ」


「えっ?」


「あっ いや、その・・・・・・」


 思わず、思っている事が口に出てしまった、


 言った後から恥ずかしくなって・・・


「かっくん、ねえ、今のもう1度いい?」


 ゆうが上目使いで俺を見ながら、


「いや、その、いつもあれだよ」


 俺は、うまくごまかせず


「あれじゃわからない、何?」


 ゆうが突っ込む


「高谷、ちゃんと言った方がいいぞ?!」


 さゆりさんが俺に向かってそう言う



「はい、・・・ゆうはきれいだよ」


「ほんと?」


「ああ」


「今日も?」


「ああ」


「ああ?」聞き直す?


「うん、ゆうは、今日もきれいだよ」


「このまま、 写真撮っても大丈夫かな~」


「うん、この前の写真だって・・・・」


「この前のも?」


「・・・・・・・」


「高谷?」さゆりさんも・・・


「はい」


 ゆうのカードを指さして


「このカードの写真も、綺麗だよ」


「そっか、じゃあ、須藤さん、お願いします」


 にっこにこのゆう、機嫌よく発行機の前にお座り。


「それじゃあ、高谷君 」


「はい」


 ゆうにデバフをかける、ゆうがステータスを見て


「67です」


 調査員カードがでてきて、須藤さんがそれを見て


「おっ いいぞ」


 そう言って ゆうに渡した。


 へ~、ゆうもそんな事気にするんだ、思わず思っている事を口にだしてしまい、まずったと思ったけど、結果はOK順調にカードの発行ができた。


 俺は、もともと自分にかけたデバフで60だから、そのまま、記号が1つ変わっただけだった。




 /////////////////////


「さゆりさん、ゆうが、あんな事で我儘言うなんて思わなかったです」


「まあ、ゆうも “おんなのこ“ なんだ、あれくらいの我儘なんてかわいいほうだぞ」


「そうなんですか?」


「ああ、読モとかやってる奴は、写真撮るって言っただけで、化粧に30分、髪の毛に30分とか、撮る角度がどうとか、ライトがほしいとか、すごい奴は服装も替える、 とか、 大変なんだぞ」


「そうなんですね」


「高谷も男なら、これからは、あれくらいの我儘を受け止めるくらいにならないとな」

  「はい」




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