もう1人の境遇者
もう1人の境遇者
ゆうがいつものように「おじゃましまーす」
2人深刻な顔でうーん唸りながら
「どうしたらレベルを隠す事ができるんだろう、ゆうだってばれたらまずいんじゃない?」
「うん 困ったね」
「まさかこんな事になるなんて思わなかった。隠せる方法がわからないと学校の皆と一緒にダンジョンに入れないよね~」
「私たちの他にも、例えば12神将の誰かがこっちに来てれば相談できるんだけどね~」
「だれか知りあいとかいるのか?」
「うん、あのレベル97の人」
「本当か?」
「うん」
すげえTOP OF TOPを知ってるんだ
「どこに住んでるかわかる?」
「知らないけど、学校は知ってる」
「行ってみるか」
「うん」
次の日、学校が終わってから2人待ち合わせて トップオブトップに会いに行く、
「こっちにきてたらいいんだけど」
ゆう について行くと大学の門の前
「大学生?」
「そう、あっちでは剣道やってたんだけど」そう言って
武道館に、中を見ると皆 お面をかぶっているし、皆激しく動いているから垂れネームも読み取れず、全然わからない。練習が終わるまで、そのままそこで座って待つことに。
1時間くらいたって、休憩にはいったらしく、皆お面をはずし、給水。
「あっ、いた」そう言って手を振ると、ゆうに負けないくらいの超美形女子大生がニコっとちょっとぎこちない笑いをして ゆうに向かって歩いてきた、この人がレベル97か。
「ゆう どうした?」
「さゆりさんに会いたくなって」
「そうか」
「あの、練習が終わってからでかまいませんのでお時間いただけますか」
「ああ もう今日はこれで終わりだから シャワーあびてくるから待っててもらえるか?」
「はい」
「じゃあ」
そう言って反対方向の扉に向かって行った。
「聞けるね」
「ああ」
「こっちに来てる感じだね」
「そうか?」
「うん、だって私の事 知ってたもん」
「そっか」
「もう!ずーっと“ああ”か“そうか”ばっかり!それに言葉遣いも変!」
「ああ」
「昔みたいに話そうよ」
小学校4年から、高嶺の花でどんどん遠い存在になって。都会の女子中高に通うと聞いてからは、俺とは住む世界が違うんだって早々に諦めた女子。それからも時々家の近所で見かけたけど、見るたびにどんどん綺麗になって、俺はいくら都内とはいえ、端っこの方で。それもずーっと地元にいるから、ゆうは見るからに都会の女子高に通うお嬢様って感じがして、話しかけられても緊張して二言三言かわしただけで用事もないのに「これから用事があるから。じゃあ」とか言ってすぐにその場を離れて。1人になってからどきどきしながら。本当に綺麗になったな~なんて思ったりしていた。
そんな女子がこんなに近くに、ずーっと一緒にいるんだ
それもゲームで一緒にパーティーを組んでいたフレンドだったなんて、そりゃあ緊張するよ。
「じゃあ、私が昔みたいに話そうか? ねえ、かっちゃん?」
「えっ?」
「えっ? じゃなくて。かっちゃん?」
「・・・・・・」
「ゆうちゃん でしょ?」
「いや、その、もう高校だし、“ちゃん”はちょっと・・・・・・」
「じゃあ それは許してあげる。でも、ほらもっと普通にね。あの頃みたいに、ね?!」
「ああ」
「だから、”ああ” じゃなくて!?」
「うん」
こんなに側で話ができて、こんなに風に言ってくれて・・・緊張するけど、うれしい。
そんな会話をしていると、さゆりさんの着替えが終わったらしく
「待たせたな」
「ここらへんでお話できるようなところってありますか」
「そうだな、昔ながらの落ち着いた雰囲気の喫茶店があるからそこにするか」
「はい」
そう言ってさゆりさんの後ろをついて行き、昔ながらの喫茶店に。
古いけれど、綺麗で落ち着いた雰囲気の喫茶店だった。
「で、どうしたんだ?」
「わかってますよね」
「何が?」
「私の事を知っていると言う事は 12神将の頂点のさゆりさんですよね」
さゆりさんはビクっとしてから 厳しい顔付で今度は俺を睨む
「大丈夫です。彼は私の幼馴染でレベル85です」
それを聞いたさゆりさんはホッとした顔をして
「そうか、ゆうと君も同じくこっちに来た。という事か」
「はい」
「驚いたな」
「はい、最初は何が何だかわからなくて。誰にも相談できないし」
「ああ、周りの環境が全てが違っている感じがして、驚いたよ」
「さゆりさんは今まで何をしていたんですか」
「何もしていない。 調べていくうちに、今ダンジョンに入るのは色々な意味で危険だと思った。
だからもう少し状況がわかるまで、何もしていなかった」
「そうですか」
「でも2人とも私と同じというのがわかって少し安心したよ。ずーっと私1人だけかと思っていたから」
「私たちもです。2人だけかもって」
それから、俺は自己紹介と今まであった事を全部話すと
「そうか、君は最低クラスの落ちこぼれか」
いや そこじゃないだろ それよりもっと大事な事があるだろ。
「確かに、どうもこの世界というか日本ではレベル70が最高のようだから、私たちのレベルはかえって
怪しまれる、そもそも 私たちのレベルが本物なのかもわからないし」
「はい、そうなんです」
「今度の日曜日、時間はあるか?」
「はい、でもどうしてですか?」
「3人でダンジョンに入ってみないか」
「でも、入口には監視員が」
「君はアサシンの上級職なんだろ」
「はい」
「君はジョブスキルで隠蔽は使っているよな」
「はい」
「だったら、隠蔽スキルで入れば見つからないだろ」
「ダンジョンの外でも使えるんですか?」
「ああ、この前使ってみたけど、誰も気づかなかった」
「そうなんですね」
「ゆうはスキル枠に空きはあるか? あー、この世界でスキル登録ができるか確認しないとな」
「はい」
そこで3人ともステータスを開きスキル枠を確認する
「枠は以前のままですね」
そう言いながら操作してみると、ゲーム時代と同じように操作できたので
「いけそうですね」
特にこれから、この現実世界で上級ダンジョンに入るには俺達3人は必須スキルになるから、隠蔽の取得は最優先だ。
「これで行けるな」
「はい」
「あっ、でも装備が」
「ああ、そうだな。レベルの確認だけでモンスターはなるべく避けたい。積極的に倒すわけじゃないからな。とりあえず今回は現世界のそれなりのものを買うしかないだろうな」
「はい」
「それじゃあ、日曜日、川越駅に9時でいいかな」
「はい」
連絡先を交換して、そこで別れ 2人
「よかったね」
「ああ、うん」
「でも、3人か~」
「まだ他にもいないかな~」
「そうだね」
「とりあえず3人いるから、何とかなりそう」
「ああ、うん、よかった。俺達2人だけだと何をどうすればよいか分からないことだらけだし、確かにこのスキルを使えば監視員を気にせず潜れるから助かる」
「笑っちゃうよね。今までと違うスキルの使いかたするなんて」
「うん。ところで、かっくんはスキル枠に何入っているの?」
「えーっと、バフとデバフと電撃、残りの空枠は2つ」
「私は弓最強と超エンチャントと超隠蔽と、空は4つとサブスキル枠1つ」
最強?超? 空欄枠が4つ・・・サブスキル?
俺そんなの持ってないぞ・・・・・・
ゆうのレベル88はおかしい。こいつ絶対90超えているよな。