偽変態マンにお説教 ―陽にばれる―
偽変態マンにお説教
―陽にばれる―
―――豊洲の朝は早い
6月にもなると、天気の良い日は。朝は気持ち良いけれど、昼間は結構蒸し暑くなってきた。
GW明けから、大谷さん達のレベルアップ、川越でスパイダークイーンの糸採取、豊洲でワーム探し、管理局から依頼されている豊洲の20階層からの素材採取と相変わらず忙しい。
6月になってようやく陽のレベルアップの日
今日は1階層から。
豊島の深層に慣れたこともあり、
モンスターの種類を見て油断するので注意する必要がある
たいてい最初に出くわすのがホーンラビット、
豊島でミノタウロス、地竜を倒した後にホーンラビット?
誰もがそう思う。
でも、豊島のラビットと同じ大きさだけど、大きな角があり、
数も多く、倒し漏れがあると、そいつらの角にやられてしまう。
そしてボア、 荒々しく獰猛なワイルドボアはひたすら突進してくるので、ナイト大盾がいないと倒すのが一苦労。
そしてボス、ボス部屋はなく、森に隠れているゴブリンレンジャー:弓、ナイフ、剣がいて、木陰からナイフが飛んで来たり、木の上の枝に隠れて上から弓を放ってくる。
豊島の最下層は1個体が強く正面から戦うスタイルだけど、ここは数と不意打ちによる攻撃。
いつもと同じく俺が、先行してモンスターの居場所、種類、数を教える、木の上にも探索・索敵をかけ、数減らしとデバフを掛け弱らせる。
そして陽に報告。
陽は刀を構えながらゆっくり歩く、ホーンラビットが飛び込んできた瞬間に刀でバサッ、を繰り返す.
ん?探索スキルで見ると、先の方に青いポイントが
「さゆりさん、この先にモンスターと戦っている冒険者がいるようです」
「そうか、ちょっと見てきてくれないか?」
「はい」
俊足隠蔽で近づいて見る。
あれ? なんであいつらがいるんだ?
さゆりさんの所に戻って
「あのー、変態マン達がいました」
「変態マン?」
それを聞いたゆうが
「変態マン?ここにいるじゃない」
「いやそうじゃなくて、 あの変態マン達がゴブリンレンジャーに囲まれているんだ」
「えっ? あの変態マン達が豊洲にいるの?」
「ああ、ゴブリンレンジャー達が3方から攻撃して、防戦一方って感じなんだ」
「しょうがないな、助けに行くか、陽、後ろからついてこい、ゆう、陽を頼む」
「「はい」」
俊足で偽変態マンの所に行くと、女性1人が矢を受けており、もう1人がヒールを掛けているけど、剣ゴブリンとナイフゴブリンに偽変態マンが1人で対戦、いつやられてもおかしくない状況
おまけに木の上のゴブリンも弓を構えている。
俺は真っ先に木に向かって投擲ナイフを、狙い通り弓ゴブリンの頭に命中、木の上からドサっ、
バフを掛け俊足で反対側の木の上のもう1匹の弓ゴブリンにも投擲ナイフで、ドサ。
その間にさゆりさんが、偽変態マンの前に、剣ゴブリンとナイフゴブリンを一太刀。
矢を受けた女性の様子を見て、もう1人のヒールでなんとかなりそうだけど、念のため解毒ポーションを飲ませ解毒。
俺はそのまま探索スキルで他のゴブリンレンジャーを発見。
ゆうと陽が到着したので、ついでだからもう一匹の剣ゴブリンとナイフゴブリンの場所を教え、ナイフゴブリンにゆうのエネルギーボルトが、そして剣ゴブリンンの前に陽が立ち、一騎打ち、あっけなく陽が一刀両断。
俺は 偽変態マンの前に立って
「おまえら、 なんでここにいるんだ?」
「おまえらって、僕たちは見ての通り変態マンと美女達だ、それをお前らなんて・・・・・・」
「そうか、わかったよ。変態マン達はなんでここにいるんだ?」
「なんでって・・・君達も知っているだろう? ぼぼぼくたちはここで皆を危機から守っているんだよ」
「ちがうだろ?いつもは豊島だろ?」
「何言ってるんだ、この前だってここここの35階層でマッスルズを助けたし、女王様たちと共同採取もしてるんだ」
「あのな~、それは本物の変態マン達だろ、そうじゃなくてお前達は豊島で正義の味方をやってるんじゃないのか?」
「きききみたちこそ、僕たちを助けたからって、そそそんな失礼な事を言って、いいと思っているのか!」
「あのな~」
「かっくん」ゆうに声を掛けられたので振り返ると、ゆうがコンビニ袋を突き出してコクっと頷いたので、俺はそのコンビニ袋をかぶる、さゆりさんとゆうも仮面をつけ、陽に三角折りハンカチを、口元を隠す、
「あのな~、本物はお・れ・た・ち・・・・・・お前が変なポーズするから、俺が何回脇腹をくすぐられたと思ってんだよ、まったく」
思わず 変態ポーズをやろうとしてしまった
あわててやめたけど、
ったくなんで本物が偽者の前で偽者の真似しなきゃいけないんだ。
「はへ?」
「はへ、じゃない」
「はい」
「なあ」
「すみません」
「すみませんじゃなくて」
「ごめんなさい」
「そうじゃなくて、なんでここにいるんだ?」
「冒険者だから・・・・・・」
「だから、お前達、どう見てもレベル20前後だろ?それがなんで豊洲にいるんだ?」
「……」
「これは配信されないから、いいから言って見ろ」
「はい、実は、変態マンが最近、豊洲に現れていない というコメがありまして、豊島ばかりで手を抜いているんじゃないかって言われて、豊洲に・・・・・・」
「なあ、お前達ってレベル20くらいじゃないの?
豊洲は無理だろ!」
「はあ、・・・豊洲ガイドブックを見たら1階層はラビットとボアとゴブリンと書いてあったので、行けるかなって思って・・・・・」
「お前な~、ラビットとボアとゴブリンって言っても 豊洲だぞ、豊島と同じ訳ないだろう、そんな事言ったら川越にも行けるって事だぞ」
「はい」
「お前ら、入るならレベルにあったダンジョンにしろ!
だいたい 豊島の深層だって行ってないんだろ?」
「はい」
「ったく ―」
ゆうが
「ねえ、どうして変態マンのマネをしているの?」
「・・・・・・」
「もう偽物ってばれたんだからいいじゃない、教えて? ねっ?」
「・・・はい、僕達はずーっと豊島で冒険者をやってたんですけど、
なかなかレベル19にならなくて、それでも18階層まででも贅沢をしなければ普通に生活できたんで、そのままでも良かったんですけど、20階層から素材の買取価格が上がるから、もっと良い生活ができると思って、19階層を攻略するため19階層に行ったとき、たまたま変態マン達皆さんが、冒険者を助けている所を見たんです。
その後、なんとか19階層は攻略できたんですけど20階層はダメで、今までのように豊島の18階層までで活動していたんですけど、ある日、8階層でモンスターに苦戦している冒険者が危なくなってきたので手伝ってモンスターを倒した時、すっごく感謝されて、お礼にってモンスターの素材をもらったんです。
それからも自分達の素材を確保した後、困っている冒険者の手伝いをするとやっぱり感謝されて素材をもらえるので、ただ時々素材の横取りと思われることがあって、だったらあの時の変態マンさんの恰好した方が僕達の身許もばれないし、皆もすっごく感謝してくれて、喜んでくれるし、素材もくれるんで、それから、ずーっとです。」
「ふ~ん そうなんだ」
そこに、さきほどヒールを受けていた女性が
「ねえ、 たっくん、ちゃんと謝ろうよ、ねえ」
「うん、変態マンの名前を騙ってすみませんでした、もうしません 許してください」
そう言って土下座してきた。
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にせ変態マン
たっくんアサシン 19
ちえちゃんウィザード(アーチャーのマネ) 19
よっちゃんプリースト(刀は初心者) 19




