生徒会長はいい奴だった
生徒会長はいい奴だった
月曜日 教室に入ると 君津が興奮気味に
「高谷君、土曜日は本当にありがとう、きみの師匠は本当にすごいんだね、わざわざ手合わせしてくれるなんて思わなかったよ、これも高谷君のおかげだよ」
「そうか、それは良かった」
「うん、あのー、 もう1人の弟子って高谷君の妹なんだって?」
「ああ」
「斎藤さんが直々に剣の稽古をしているんだって?」
「まあな」
「いつもどこでやってるんだい?」
「おれんちの庭とか」
「やっぱり、 土曜とか日曜とか?」
「まあ、ダンジョンに入らない日かな」
「そうか、‥‥妹さんは高校生?」
「お前なー、妹はダメだ、これ以上は教えない」
「わかった すまない もうこれ以上聞かないから」
「ああ」
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土曜日、俺は大谷さん達に日曜のさゆりさんの手伝いがあって、その準備をするからと言って1人家に帰った。
ピンポン
ゆうがインターホンチャイムを鳴らすわけがないから誰か?と思ってインターホンの画面を見ると
「君津?」
「やあ」
「どうした?」
「高谷君の妹さんとお手合わせしたくて」
「あのな~」
「頼むよ、 少しだけでもいいんだ」
「妹も調査員の手伝いをしているから忙しいんだ」
「そうなのか?」
「ああ」
「すぐ帰る、だから、 頼む」
「じゃあ妹に聞いてみるけど、30分だけだぞ」
「わかった」
「ちょっと待ってろ」
2階の陽の部屋の前
「陽」
「兄さん?」
「あのさ、30分だけ俺の高校の友達と手合わせしてやってくれないか?」
「どうしたの?」
「実は$%&‘()’&%$“#$%& なんだ」
「そうなんだ、今日もこれから稽古するつもりだったから、30分だけならいいわよ」
「ありがとう」
陽がいつものハリガネぐるぐる巻きの木刀を持って
2人で庭に
「君津、 これっきりだぞ、次来ても絶対会わせないからな」
「うん、わかってる、 今日だけ」
そう言って陽に向かって
「はじめまして、高谷君と同じクラスの君津と言います、今日は突然おじゃましてすみません」
「いえ、よろしくお願いします」
「こちらこそ、 よろしくお願いします」
「それじゃあ本当に30分だけだぞ」
「わかった」
「さっそくだけどいいか?」
「ああ」
「はい」
「はじめ!」
10分もしないうちに、 陽がバシ
「勝負あり!」
「まだまだ」
「陽?」
「いいよ」
「じゃあ、 好きな時にはじめて」
「おおっ」
そんなのが続いて、気が付けば1時間
「はい、 やめーっ 君津 1時間たってる」
「ごめん、 いや~すごいな、高谷君の妹さん、すごいよ」
「まあ、あの人の弟子だから」
「そうだよな~」
「いえ、私もさゆりさん以外の人と手合わせした事がなかったので、 とても良い経験をさせてもらいました」
「いえ、 こちらこそ、 とてもためになりました、 ありがとうございました」
「こちらこそ、 ありがとうございました」
「陽、ありがとう、シャワーでも浴びてきなよ」
「う、ん それじゃあ」
「ああ」
君津に向かって
「ちょっと待ってろよ」
「ああ」
そう言って俺は冷蔵庫から麦茶を出して、君津に出すと
「ありがとう」と言って一機に飲み干したので、
おかわりを出して、君津もようやく落ち着いてきたので
「あとでシャワー浴びて来いよ」
「悪いね、ありがとう」
「いいよ」
しばらくして、陽が上がったと声をかけてくれたので
君津を家にあげて、 シャワーをかしてあげた。
さっぱりした顔で君津とリビングのソファーに座ると
「いや~ 、ほんと 、高谷君の妹さんはすごいよ」
「そりゃあ師匠があの人だから」
「そうだよな」
「ああ」
「でも、今日みたいなのは、 もうなしだ、 絶対なし
俺の弟が君津、 なんて絶対許さない」
「なんだ、 それ?」
「陽を見たろ、あれだけの美人、そういないだろ」
「そうだね、師匠2人もすごい美人だったけど、高谷君の妹もすごい美人だった」
「ああ、 だから、絶対ダメだ、 俺がいても絶対だめ」
「高谷君、なんかすごい興奮しているぞ、 どうしたんだ?」
「実は、中学生の時、‘&%$#$%&’()‘&%$# だったんだ」
「そうか、まああれだけの美人ならありえるな」
「ああ」
「でも、今日は来てよかったよ、こんな練習、学校ではできないよ」
「でも、ダメだぞ、あいつは訓練の他に、受験もあるんだ
俺達みたいに探求大学の推薦をもらう、 っていう訳には行かないんだ」
「わかったよ、それじゃあ高谷君が練習に付き合ってくれるのは?」
「はあ?」
「学校で構わないから」
「でも、俺達のパーティーの訓練もあるから」
「毎日じゃないだろ?」
「他の日は師匠の訓練もあるし」
「それも毎日じゃないだろ?」
「・・・・・・・・・」
「ほんの1-2時間でいいんだ、毎週じゃなくてもいいから」
「しょうがないな~、でも本当に毎週は無理だぞ」
「ああ」
「本当に1-2時間程度だからな」
「ああ」
「突然、今日これから、って言う事になるぞ」
「ああ」
「それでいいなら」
「うん、ありがとう」
どういう訳か俺が君津の訓練に付き合う事になった。
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―――なんでこんな事になってるんだ?―――
闘技場に大谷さん達3人、生徒会6人が俺と君津の練習を見ている
「君津、こんなに人がいるんだけど?」
「うん、周りは気にしなくていいから」
「いや、でも・・・・・・」
「これ以上は増えないから、この前の市川の時みたいにお願いできないかな?」
「いいけど、ここだけの秘密にしてくれるか」
「わかったここでだけにする。それじゃあ、 お願いします」
しょうがないから、でもバフは全部で1回掛けでやめておこう
君津が剣を構えている、まずバフなし、君津に向かって、まずは真直ぐ
途中から、 ジグザグ、 バフを1回かけて急加速、
君津が驚いて、グーッと剣を構え直す。
剣先が届く寸前に横にステップ、肩に1本
「高谷君、すごいよ、急にブレ出して、おまけに速くなって気が付いたら1本とられてた」
「そうか?」
「ああ、もう1回いいか?」
「いいけど、俺、負けないぞ」
「うん、それでもいいから」
また先ほどと同位置に戻って
「誰か声をかけてくれないか」
伊達君が闘技場に入ってきて声かけを
「はじめ!」
同じくバフなしで真直ぐ走る
君津は、ちょっと違う構え、今度は剣先が届きそうなところまで、そこからバフ1回掛けでさっきとは反対の横へステップ
君津は肩を意識して構えを変えるけど、
俺は、そのまま後ろに回って背中を、 1本
「う~ん、 速さも動きも変則的でついていけないな、高谷はいつもこんな訓練をしてるか?」
「ああ、相手はモンスターだから、こっちが予測しない動きをするから、色々な動きができないとダメなんだ」
「そうか、そうだよな、階層によってまったく違うモンスターだから、動きもまったく違うんだよね」
「ああ、そういう事だよ」
「もう1回いい?」
「ああ」
毎回、 変則的に動いて君津に1本取る
最後の方は剣(木刀)を俺に向けて振ることができるようにはなったが、君津の剣は俺に届かなかった。
「なあ、 これって君津の練習になるのか?」
「うん、十分練習になる、高谷の動きに追いつけるように、そして1本でも高谷に剣(木刀)を当てれるようになれば、すごく強くなれると思うんだ」
「そうか、それならいいけど、こんなので良かったら、また付き合うよ」
「そう、そう言ってくれると、助かる、うれしいよ」
「それじゃあ また、おつかれ」
「おつかれ またね」
伊達君がやってきて
「高谷君、すごいよ、あの君津君から1本も取られなかったんだよ」
「まあ、それがアサシンだからね」
闘技場の出口で皆と合流する。大谷さん達が
「やっぱり高谷君ってすごい、あの君津君に全勝だよ」
「ほら、俺、さゆりさんとゆうの特訓受けているから」
「うん、でもすごい」
「そうか」
「うん」
「じゃあ皆も頑張って強くなって、夏休み前にレベル30を目指そう」
「そうだね、がんばろう」
「うん」
「ああ」
次の日から、君津がやたら俺に話しかけるようになって
いつの間にか高谷君から高谷に呼び名が変わっていた。




