ニューヒーロー登場にはならなかった
ニューヒーロー登場にはならなかった
大きな穴の向こうに抜けると同じような風景、
「さっきの階層と似てますね」
「ああ、ここも同じように、この岩場のどこかヒヒイロカネ鉱石 があるんだろうな」
「はい」
3人でゆっくり歩きながら、俺は同じように探索モード全開
ミスリルに比べるとかなり少ないのだろう、ここからは全然反応しない、
30分ほどあたりを探していると1カ所、銀色のポイントが、
先ほどと同じように、ゆうにお願いして、50センチくらいのヒヒイロカネが取れた。
これをリュックに入れると、すっごく重い、もうこれ以上リュックに入れたら担いで歩けないくらい重い、強化バフを掛けて歩く。
無事目的は達成されたので、34階層にどんなモンスターがいるか見てから帰ろうと言う事で、ゆっくり歩いていると、青いポイントと赤いポイントが固まっていた。
「さゆりさん、この先に冒険者がモンスターと戦ってます」
「見つからないように、ゆっくり近づいて、様子を見るか」
「はい」
3人で近づいて岩場から覗いて見ると
なんと全員 下着みたいなボンテージスタイルのエロいお姉さま達がモンスターと戦っている。
1人が倒れている、血は出ていないようだ。
プリーストが手当をしているが回復する気配が見えない。
さゆりさんは眉間にしわを寄せながら。
「難しそうだな」
かなり危険なんだろう
一番前のお姉さんが鞭で一番でかいワイルドニューゴートと戦ってる さっきのボスクラスよりデカイ。
鞭?初めて見る武器
一番でかいワイルドニューゴートは傷は負っているが、致命傷には至らず
アーチャーとウィザードは他のワイルドニューゴートを攻撃しているが、こちらも致命傷には至らず戦いが続いている。
「あの、あのお姉さんたちの恰好って間違ってここに来たとか」
「ああ」
「あっ あの人達、女王様です」
「「なるほど」」ゆうの発言に俺とさゆりさんが納得
「34階層でそれだけ強いモンスターが出現しているというのか?」
「そうですよね、上級レベル並みかもしれないですね」
「ああ」
「まずいですね」
「行くか」
「はい」やった 新しいヒーロー登場そして新な伝説がここから始まる。
俺は、リュックを降ろし、服をごそごそ、お腹の中からマスクを取り出し それを被ると
「かっくん それ 何?」
「フフフ 行ってきまーす」
この前のように色々言われて ダメだしをされるかもしれないから何か言われる前にさっさと行ってモンスターをやっつけるんだ。
思いっきり俊足で、鞭を持ったお姉さんの横に立って
「俺が来たからもう大丈夫です」
鞭を持ったお姉さんが仲間に向かって
「ミキ―!」と叫ぶと
「はい」 アーチャーが弓を俺に向かって射る
「おい、俺は味方だ 助けに来たんだ」
もう何を言ってもダメ
俺に向かって矢の連射 やばい そう思って逃げようとしたら、
イタッ まさかこんな展開になるなんて思っても見なかったから 思いっきり油断してしまった。
おい それはないだろう って思いながら
俊足でさゆりさんとゆうのところに戻ったが
まずい左足がしびれてきた
「高谷!お前は」
俺の尻を見ながら、さゆりさんが怒ってる。
「がまんしろ」そう言って 矢を引っこ抜いた
「イッテ~」
「毒矢だな、まったく」
さゆりさんがヒールを掛けながら
「そんなマスクをしてたら、勘違いされて当然だぞ」
「はあ」
「ほんと かっくん 何やってるの!」
「こんな所でそんな恰好で現れたら、
誰が見ても頭がハムスターの人型モンスターだろ!」
「えっ?」
「え じゃない まったく」
「もう」
「ましてや こんな危機状況なんだから なおさらだ」
「ほんと 何考えてるの!?」
「すみません」2人にしかられちゃった。
「どうせ この前みたいに 新しいヒーロー登場とか変な事 考えたんでしょ!?」
ゆう・・・・・・すみません。
「・・・・・・」
「やっぱり、ほら行くわよ」
そう言っていつのもコンビニ袋
まつ毛とネコ耳はなかったけど
「はい・・・」
ゆうから渡されたコンビニ袋を素直に被り
「はい・・・ 行ってきます」
バフ2重掛け俊足でさっきのお姉さんの隣に
「変態マン♡」
鞭のお姉さんは今度はやさしい声で、
(さゆりさんとゆうの言う通りなのか・・・)
俺はさらにバフを掛ける。
鞭を交わして通り過ぎたワイルドニューゴートが向き直って、また突進してくる。
そのワイルドニューゴートに向かって走り出し、さっきと同じく直前で下に潜り込み、さっきよりも強く電撃を流し込みながら、思いっきりお腹を裂く、勢いのあるまま、前になだれ込むようにして崩れた、鉈で思いっきり頭をかち割り終了。
ゴートはウルフと違って前足の爪に気を付ける必要がないから下に潜り込め、腹を引き裂ける事ができる。
その間に、さゆりさんが 怪我人に超回復治療を掛けると異様に凹んだお腹のあたりが元の形に戻っていく。
内臓まで行ってたんだろう、
さゆりさんの超回復で内臓も元に戻ったけれど、ショックと今までの痛みで起き上がるまでには回復していないようだが、傷は治っているので、後は任せられる。
「後は大丈夫だな?」
「はい」
相手のプリーストにそう言って、俺達に向かって突進してくるワイルドニューゴートに向かって走り出す。
モンスターの前に出るとそのまま居合のように刀を斜め斜め下から上に 一瞬で真っ二つに。
気づくと、ゆうが 氷の矢をさっきよりあきらかに多い数を 四方八方からモンスター向けて放つと 、ゴートは逃げようもなく 氷の串刺しに。
討伐完了。
お俺は新たなヒーロー計画がつぶれてしまい、がっかりしながらさゆりさん達の後を追う、
そこにさっきのお姉さんが
大きな声で「変態マン こっちを向いて!」
そんな風に言われたのは初めてなので、思わず振り向くと
「会いたかった ねえ 連絡先教えて!」
いや それはまずいだろ、あわてて俊足でさゆりさんとゆうの処に逃げ帰った。
「ねえ 何言われたの?」
「うん、連絡先教えてって」
「ふ~ん」ゆうの態度がちょっと変
「あわてて逃げてきた」
「そっか」ニッコリ
なんでそこで笑うんだ?
「まあ 素性がばれるからな」
「はい」
それから2人にがっつり叱られた
「高谷、何度も言うが、変態マンは冒険者の中ではヒーローなんだ、確かに名前が変態だし、コンビニの袋はかっこ悪いかもしれない、地上の一般人からは色々言われるかもしれない、でも冒険者は違う、あの女王の態度でもかわるだろ?! 」
「そうよ、変態っていう名前はイヤだろうけど、かっくんはもう有名人なんだよ、偽者も出てくるくらいだし、5大パーティーが知ってたんだよ」
「わかったよ」
「そうだな、動画を見るのは冒険者だけじゃないし、どちらかというと一般人のそういった連中が多い、そういうスレを上げてくる連中はそういう連中だから、そういう言葉を使ってスレをあげてくるんだ、でも、冒険者の対応は違っただろ? 」
さゆりさんが慰めてくれた。
「はい」
2人に諭されながら1階層に戻った。
3人はヒヒイロカネとミスリルを手に入れることができほくほく顔で俺の部屋に
「問題はこれを鬼頭さんに渡すか、おじさんに渡すかだ」
「はい」
「鬼頭さんに渡して武具を作ってもらえば無料だけど、須藤さんに私達の装備の内容が知られる。
おじさんに渡すとお金がかかるが装備は誰にも知られない」
「はい」
「お金は、素材買取と今までもらった報酬がだいぶ残っているから なんとかなる。問題は品質・性能だな」
「あの、33階層と34階層にミスリルとヒヒイロカネがある事がわかったんですから、1度おじさんに頼んでみてはどうでしょうか」
「うむ」
「もし 機能的に満足しなかったら もう1度あそこに行って取ってくればって思うんです」
「そうだな ゆう はどう思う?」
「はい、私も おじさんにお願いしたいです」
「ほう」
「私達の高校のパーティーにも色々装備品をお願いしたいので おじさんとはつながりを持っていたいです」
「そうか、そうだな、あいつらの装備も考えてやりたいしな、協会も私達が素材を持ってくるのが当たり前だと思われるのもいやだしな」
「「はい」」
そういう事で、上野のおじさんにところにミスリルとヒヒイロカネを持って行くことにした。
重要な話し合いが終わり ひと段落
帰りに ゼーンブイレベン からもらったヤヤコの残高が結構残っていたのでスウィーツ買いまくって 陽にもスウィーツをあげて4人で雑談し、陽が部屋に戻ったから
34階層の話を始めた
「さゆりさん あの女王の恰好って 大丈夫なんですかね」
「ああ、治療をして気づいたんだが、刺し傷切り傷は一切なかったんだ、上半身はうすい皮膜のようなものが首から袖まであった、
おそらくあのタイツやブーツも上に着ていた透明のような皮膜も何か特殊な防護素材なのだろうな」
「それ、俺達もアンダーウェアみたいにして着ることができればいいですね」
「そうだな、ゲームと違って現実世界だから、最悪死につながる事を考えると、必需品だな」
「はい」
思わずおじさんの左足を思い出してしまった。
俺達にはさゆりさんがいるから足の1本や2本失っても、その場なら復活できるけど だからと言って 気軽に足を失うなんてできない、復活はできても、失った時のときの激痛は耐えられないし、さゆりさんが治療に専念する間は、あの時のように、ゆうか俺の怪我をしていない方が1人で警戒・防御をしなければならず、全員が危険にさらされることになる。
だからこの世界では防具にも十分気を使わなければいけない。
激動の日曜日、なんとか武器の方も目途が立ったので一安心、ゆっくり眠ることができた。




