不本意な登場
不本意な登場
「さゆりさん、あの冒険者たち まずそうですね」
「ああ、ただ、今出て行ったら 素材の横取りとか言われるかもしれないから、もう少し様子を見るか」
「はい」
しばらく見ているけど、いっこうにモンスターを倒す気配はなく、逆に押されている
「大丈夫ですかね」
「まずそうだな」
「俺、ちょっと見てきます」
「頼んだ」
俺は再びバフを2重掛けし、俊足で冒険者とモンスターがよく見える場所に、見つからないように、隠密モードで見ていると、
あれ?あいつらAクラスの確か入学した時レベル16とか言ってた奴・・・・・・
確か、この前大谷さんから色々教えてもらった時に聞いた名前、君津だっけ?そのパーティーじゃないか~?
あれからレベルが上がったのだろう
18階層攻略できたんだなー 今のレベルはどれくらいなんだろう なんて思いながら 戦っているところを見ると、ん? あのモンスター ただのゴーレムじゃない
ゲームでは19階層ではなかった気がする。
確かもっと下の階層のモンスターだ、なぜそんなモンスターが19階層に?
まずいな
俺は、さゆりさん達の処に戻り
「モンスターなんですけど、ただのゴーレムじゃないです。
鋼鉄ゴーレムが3体でした」
「鋼鉄?」
「はい」
「えっ 鋼鉄ゴーレムってもっと下の階層じゃなかったっけ」
「俺もそんな気がしたんだ」
「まずいな」
「はい」
「助けに行くか」
「あのー、あのパーティーなんですけど、探求高校1年Aクラスの、学校始まって以来のランク16とか言って騒がれてた奴で・・・・・・」
「そうか、Dクラスの高谷が助けたら 面目丸つぶれだな、おまけに高谷の顔が知られたら、大騒ぎになるな」
「はい」
「とりあえず一番足の速い高谷が先に行った方が良いだろうな」
「はい」
「その間に、私達はあのパーティーの前に入る」
「わかりました、うまくいったら ゴーレム鋼鉄がドロップする可能性が」
「そうだな、じゃあ、タオルで口元を隠して 行くか? 」
「はい、お願いします」
「さゆりさん もっと良いのがあります、これ」
コンビニ袋に目と鼻と口に穴をあけて、俺の頭にかぶせ
「プッ それいいな」
「ゆう・・・・・・」
「しょうがないじゃない、かっくんが暴れまわったらタオルなんてすぐ取れちゃうよ、そしたら正体がばれるでしょ」
「まあ」
「じゃあ これで行くわよ」
「はい・・・」
そんな事言ってる2人はハンカチを三角折りにして口元を隠して、走り出す、
それはとても優雅に
俺はコンビニ袋をかぶって、バフを掛け 俊足跳躍でゴーレムを傷つけていく、
鋼鉄ゴーレムは今のナイフ程度では致命傷には程遠く傷をつける程度にしか至らない。
(あ~、あの双刀があれば・・・)
今回は鉈にゆうの魔法を付与してもらったので、鋼鉄ゴーレムの肩、足、背中にどんどん傷をつけていく。
魔法付与はすごい、ゲームで1人でやっていた時と同じくらいどんどん深く傷をつけられる。
まもなく膝と腱に深く傷が入り、バランスを崩して倒れかかった鋼鉄ゴーレムの腱をもう1度、今度は思いっきり鉈で切りつけ振り切ると、鉈が腱に思いっきりめり込み倒れこんだ、やったと思ったら、さゆりさんが右手を綺麗に切り落としていた。
俺がその場から離れると、さゆりさんがそのまま頭を切り落とし終了。
その間に、ゆうは超高温爆炎で1体を溶かしていく、
残り1体、
1体になったのであいつらでもなんとかなるだろう、
なんてのは甘い考えだった。
あいつらは、おそらく疲れ切ってまともに動けなのか、
残りの1体は俺達には目もくれず、あいつらに向かって手を振り上げる
やばいと思って、俊足で、 と思ったら、さゆりさんが振り上げた手を刀でスッパリ切り落とし、そこにゆうの電撃が・・・・ゴーレム鋼鉄がドロップしたけど・・・鋼鉄が黒く変色した塊に
ゆうがゴーレムを黒焦げにしてしまったから?
黒鉄は使えるのかわからないけど、俺達はゴーレム鋼鉄を回収に
「リュックに1個しか入らないです、手に持っても1人で2つしか持てないです」
「それじゃあ、1個持つね」「ありがと」
「これだけでいっぱいになっちゃいましたね」
「まあしょうがないな、今日はここであきらめよう」
「はい」
君津達が何か言っているようだったけど、無視して
18階出口まで戻り、帰還用移転魔方陣に手をかざし
1階層へ コンビニ袋を脱いで、2人もハンカチをはずす
「かっくん、これ重いんだけど」
「いや、俺も両手がふさがっているから」
「もう」
「私が持とうか?」
「いえ さゆりさんは 両手が使えるようにしておいてください」
「悪いな」
ゆうがぶつぶつ言いながらも3人で買取所に行くと
受付のお姉さんが
「調査員の方ですね、お待ちしておりました」
ニッコリ
コアとゴーレム鋼鉄を3つのうち、2つおいてリュックの中身はそのままに、奥で一休み
しばらくすると、買取所の職員の人がコーヒーと甘いお菓子を持って部屋に入ってきた
「お疲れさまでした、あの、そのリュックの中身は?」
3人でお菓子を食べながら
「あーこれは、私達の装備用に1つもらっていこうと思って」
「そういう事ですね、了解しました」
「あっ それと 今日19階層に鋼鉄ゴーレムが3体いたんです、本当は下の階層のモンスターですよね・・・・・・」
「あーそうなんですね、最近、下の階層に行けば行くほど、違う階層のモンスターが出現するようになって、来週には国防軍が調査に入る事になっているんです」
「そうなんですね」
「はい」
「それじゃあ、本部の方にその事を報告していただけますでしょうか」
「はい、私の方で報告しておきます。お疲れさまでした」
買取所を出て、一応、須藤さんと鬼頭さんに今日のこのことをレインで報告し、3人で帰る




