早くも
早くも
さゆりさんがさっそく電話連絡したところ、
早くも会いたいと言ってきたので、
俺達はクラスのパーティーでダンジョンに入った次の日
、3人で虎ノ門にある協会ビルに
「ここですか」
「ああ、管理局と同じビルに協会(東京)本部がはいっているらしい」
そう言って 須藤さんに電話すると
5分くらいたって、受付に須藤さんが現れた。
この前とは打って変わってにこやか笑顔。
「よく来てくれたね」
そう言って俺達3人にIDカードを渡し、ゲートをくぐってエレベーターに、
10階で降り、そのまま応接室に通された。
2-3分して須藤さんと女性が1人入ってきて、お茶をだして、
女性が退出すると
「この部屋のカメラは全部切ったから大丈夫だ、
君達の中にアサシンはいるかな?」
「はい」
「それじゃあ探索してみてくれ」
そう、最初に川越のダンジョンに入る際、うかつにも探索を掛けなかったおかげで、
人感センサーと赤外線センサーにひっかかってしまった。
今回は、言われる前から探索モード全開。
「大丈夫そうです」
「じゃあ、話そうか」
「・・・・・・」
「まあそんなに固くならないで、私は同じ境遇者なんだから、
少なくとも君達の仲間だと思っているんだから ね」
「・・・・・・」
「そうだな、そう簡単に信用はできないよね、とりあえずこちらの誠意をしめそうか」
そう言って、PCを開き、5パーティーの資料、特捜隊、工作隊に関する資料を見せてくれた、
そしてSDカードを目の前のテーブルの上に置いた。
「今協会で知りうる全ての資料だ、当然極秘扱いの物もある。
そしてこれがそのデータだ。これだけ量が多いと全部読むのも大変だろうから、
質問してくれればこの場で答える」
「では、全員のレベルと装備品について教えてください」
「わかった、でも、その前に君達の本当のレベルを教えくれないかな?」
俺達の顔を見回してニヤっと笑った、いやらしく見えたけど、
ただその笑いに嫌味はなく、むしろ綺麗なおねえんさんだったらニッコリというのに相応しいんだろう、それがおじさんにとって精いっぱいのニッコリ?のようだったので
「私は97です」
「94です」
「85です」
「そうか! ひょっとして、
君はゲーム内で最高=トップかな?」
「はい」
「そうか、そして君は 確か12神将だっけ、その中の1人なんだね」
「はい」
「85の君も上位者なんだね」
「はあ」うわ~俺だけ・・・・・・
「まあ、そんな顔をするな、
85と言えば今のトップの連中よりはるかに上なんだから」
「はあ」
「という事は、上級ダンジョンは何階層まで攻略していたんだろうか」
「私は26階層です」
「私は25階層です」
「俺は16階層です」
うわ~俺だけ低いー と思ったら、
ゆうがフォローしてくれた。
「あっ、私と2人で16階層を制覇した次の日にこっちに来たんです」
「そうか、2人だけで16?」
「はい」
「うむ、さすがだな」
「でも、今の装備だと、危険すぎて無理です」
「まあそうだろうな、という事はまず装備かな?」
「はい」
「どこまで揃える事ができるかわからないけれど、
とりあえず具体的に書いてくれるかな」
「「「はい」」」
3人それぞれ紙にできるだけ詳しく書いて、
須藤さんに渡すと
「なるほど、確かにこれほどの装備は、この世界にはないな、
どこまでこれに近づけるかだな」
そう言いながら、俺達が書いた各装備に〇×△を付けていく、
悩みながらもなんとか全部書き終わったようで
「なかなか難しいな」
そう言って3人に手渡してきた。
結局〇がついているのは全体の3分の1で、半分くらい△がついている。
残りは×
「〇はなんとか用意できる、△はあるにはあるが高すぎるんだ。
×はおそらく上級ダンジョンでしか手に入らないか、
宝箱クラスのものだと思う、どうだ?」
マジックバックは×
「あのマジックバックは」
「宝箱からしか出てきていない、今の処3個だけだ」
「どの階層から出たかわかりますか」
「ああ」そう言って、さっき机の上のPCを操作して
「ここだ、一番最近では、豊洲の27階層の宝箱だ」
「そうですか、ありがとうございます」
「△は?」
「素材が今の世界だと、まだ希少素材なので、
この装備を作るのはなかなか難しいってことだ」
「じゃあ、素材が揃えば△の装備はなんとかなるんですね」
「まあ そういう事だ」
「それじゃあ〇の装備だけでもお願いできますか」
「ああ、わかった」
「私たちは、今度の日曜、この前の続きを始めます」
「おー そうか・・・いや、この装備を土曜までにそろえるのは難しいな、
1週間はかかる」
「わかりました、今の装備で入れるところまで入ります。
あと、私たちのレベルですと、入るときの監視員のチェックの時が大変なんです」
「そうだな、よしわかった、それじゃあ金曜日にもう1度来てくれないか、
それまでに入れるようにしておくから」
「はい、わかりました、それじゃあ」
3人で頭を下げ立ちあがって帰ろうとすると
「まあ そんなに慌てて帰る事もないだろう、これから飯でも食いに行かないか?奢るぞ」
俺とゆうはさゆりさんを見ると、さゆりさんが頷いたので俺達も頷き
「それじゃあ ごちそうになります」
虎ノ門なんて初めてで、須藤さんの後ろをついて行くと高級そうな中華料理屋のそれも個室に連れられた。
どうやら、最初から連れてくる気だったらしくしっかり予約してあり、
入口の店員さんにスムーズに連れていかれた。
「料理はこっちで適当に頼んでおいたから、適当に好きなものから食べてくれ」
「はあ」
「ああ、そんなに固くなるな、本当に同じ境遇者としてこれから仲良くやっていきたいんだから」
「はあ」
「ところで、今のその装備だと、どこまで潜れるんだ?」
「この前、なるべくモンスターに遭遇しないように潜った時は川越の5階層のボスを倒して戻ってきました」
「そうか、どんな感じだった?」
「装備が不安だったので、とりあえずこの世界での最下層記録の階まで行ってみましたけど、装備さえそろえばもっと下の階層まで行けると思います」
「そうか、当然 この3人だけで だよな」
「はい」
「モンスターを避けながら というのは、今の装備だからか?」
「まあ、それが一番ですが、マジックバックがないので、素材もそのまま置いておくしかなくて、とりあえずボスを倒せれば、今の自分たちのレベルが確認できるかなと思いまして」
「そうか、マジックバックか・・・・・・」
「はい、マジックバックがないので、俺は荷物持ちをやらされて、
だからレベル上げができないんです」
俺は思わずマジックバックの重要性を
「ははは、そうか 荷物持ちか」
「はい、彼はやさしいから、かよわい女性に荷物を持たせるのは男としての沽券にかかわるって言ってくれて」
「かよわい・・・か」
須藤さんがにやにやしながらそう言うとすかさずゆうが
「はい」笑ってはいるけれど、ゆうの目が怒っているような・・・
「あの、俺、探求高校の1年でDクラスなんです」
「ん?」
「Dクラスは1年で最低レベルで、俺がこの世界に来る前に試験があったらしくって、
俺のレベルが3で・・・」
「そうか、君は最低のおちこぼれか」
おい、ここでもそれかよ
「いや、だからクラスの実習で初級ダンジョンに入らなきゃいけないんですけど、
入り口の測定器に表示される俺のレベルだと問題で 困っているんです」
「あ― そういう問題もあるのか、
落ちこぼれが実は85だったなんてわかったらそりゃ大変だな」
「はい」
「中級に入るときはどうしてたんだ?」
「自分にデバフかけて偽装してました」
「そうか」




