レベルアップ1
レベルアップ1
さあ15階層、2人でゆっくりと進んでいくと、ハイウルフが4頭、唸りながら近づいてくる。
上級のダンジョンで出くわすウルフはハイウルフ
階層によって、頭数が違ったり、体格が違ったり角の本数が違ったり(強さが違う)
ここは4頭、ハイウルフだ。
10階層で、ウルフと思って戦ってみたけど、実際に戦ってみると滅茶苦茶強かった。
ここら辺の階層で出現するハイウルフは、上階層あたりのハイウルフとは格が違う、なんで名前が同じなんだって戦う度に思っている。
『ゆう、俺が2頭やるから、残り2頭頼む』
『OK』
その瞬間、俺自分にバフを掛け、真直ぐハイウルフに向かって走る。
急加速して近づいてくる俺を見て、ハイウルフは最初ビクっとするが、すぐに4頭とも俺にとびかかれる体勢をとる。
ぎりぎりまで走って、とびかかろうとする直前に相手にデバフをかけ、斜め45度に跳躍すると4頭ともそれを目で追うように首が斜め45度を見上げた瞬間、右端の1頭にゆうが火炎魔法をぶちかます。
あっという間に炎に包まれ もがき苦しむのを見ながら残りハイウルフの後ろに回り込みまず1頭の後ろから首筋にナイフを突き刺し、そのまま今度は鉈でもう1頭の頭をかち割る。
気づいたらもう1頭も黒焦げに
これで完了。
ゆうの火炎魔法はハイウルフだとコア以外全部灰になってしまうので、稼ぎは少ないけど、確実に倒せるのでほんと頼もしい。
とりあえずコアを4つ、まだ灰になっていない灰ウルフ2頭の牙を抜いて、マジックバッグに、
毛皮をはぐ時間がもったいないので、そのままにしようとしたら、ゆうが
『もったいないから、毛皮は僕が持って行くよ』
そう言って灰になっていないハイウルフの毛皮をさっさと剥ぎ取り ゆうのマジックバックに入れた
ゆうのマジックバックは俺のよりもはるかに容量が大きく、信じられないくらいなんでも入る。
モンスターは倒すとすぐに黒い霧のようなものを発して灰になる場合としばらく倒れたままで、数時間後に灰になる場合がある、その規則性はない(わからない)。
すぐに灰になるときは、コア(魔石)やドロップ品しか残らず、時間がたって灰になる場合も、毛皮や牙などの素材がドロップせずに灰になる場合があるので、そういう場合、灰になる前に自分で牙や毛皮などの素材を狩り取る必要がある。
どうでも良い話だが、このゲームではコアと魔石は同じ意味で、モンスターの中にあるとき、倒して灰の中に紛れてる時点ではコア、売ったり買ったり、道具として使う時は魔石と呼んでいるが、ゲームの最初の説明にそう書かれているだけなので、厳密に区別しているわけではなく人によってはなんでもかんでもコアと言っている人いるし、逆に魔石と言っている人もいる。
『いつも悪いね』
『ううん 大丈夫 それより かっくんはレベル上げ優先なんだよね』
『うん』
『じゃあ このまま突っ走って ボス部屋に行っちゃう?』
『いいの?』
『うん、どうせなら かっくんのレベルを上げて、2人で一緒に深層攻略したいし』
『そう言ってくれて、うれしいよ、じゃあ お言葉に甘えて』
というや否や
ゆうが自分の脚にエンチャントを掛け走り出すとあっというまに小さくなって、あわてて俺もバフをかけ ゆうを追いかける
『お―い、俺を置いて行くなよー』
『悪い悪い、そういう事ならさっさとボスをやっつけちゃえって思ってね、かっくんならすぐに追いつくだろうし 』
そんな会話をしているともうボス部屋の前、俺はここまでたどり着いた事はなかったけど、ゆうの後をついて行ったら他のモンスターに出喰わす事なくあっさりとボス部屋の前に
『すごいな、モンスターに出くわさなかったよ』
この階層は、ゆうは攻略済だから安全最短ルートを知っているのもあるけれど、ゆうはこういうことに長けている、感知系スキルもないのに、すごい。
『まあね、じゃあ行きますか』
『おい、準備は?』
『そうそう、ここのボスはミノザウルスって言ってね、魔法系はあまり効かなくて、攻撃は物理系中心だからね』
『わかった、じゃあいつもパターンだけど、ゆうは?』
『うん、弓と土魔法による物理攻撃かな』
『了解』
そう言って、いわゆるボス部屋と呼ばれる奥まったスペースに行くと、そこは、小さな闘技場のような造り、その奥の方にいた。
リザードマン?いや違う、体つきがミノタウロスで頭がリザード・・・いやドラゴン? ひょっとして炎でも噴くのか?
とりあえず、バフを2重かけして俊足で近づく
やはり、思いっきり右手で斧を振り回し俺を狙ってくる。いつものように相手にデバフをかけ、斧をかわすように斜め45度にジャンプすると、今度は顔をこちらに向け口をおおきく開けた、口から何かが出る、
避けるようにミノの肩を蹴ってそのままさらに上に向かってジャンプすると、ゆうが弓を、ミノの目に刺さる。
ミノが呻きながら矢を抜こうとしている間に首筋にナイフを刺そうしたが、硬すぎてはじかれた。
首まである鱗があまりにも硬く、普通のミノタウロスのようにはいかないので、そのまま下に潜り込んで足の腱を切り裂く、致命傷にはならなかったけれど、それなりに効いたようで、膝をついた。
それを見逃さないのがゆう、こんどはもう片方の目を弓矢が、それとほぼ同時に土の壁がミノの3方向を挟むように
ミノは後ろにも横にも行けず、真直ぐに突進するしかない、
頭は鱗で非常に硬いけれど体は普通のミノだから、俺は鉈を取り出し、思いっきり腕を切り落とす、普通、鉈ではハイウルフの頭をかち割る程度だけれど、ミノはそうはいかない、でもこの鉈にはゆうのエンチャントがかかっている。
かなり抵抗はあったけどしっかり腕を切り落とした。
ミノザウスルスは両目と片腕そして足の痛みでもがいている、このクラスは自己修復する可能性があるけど、今のところ自己修復が始まっていない、間に合う。
次の攻撃! と思っていると、
ゆうが今度は思いっきり大きな立方体の岩を先ほど作った3方の壁にすっぽり収まるように上から落とすと、ミノが中にいるのに そのまま綺麗に収まった。
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『ゆう、ミノは?』
『うん、重力魔法を何重にも掛けて重くしたからそのままペシャンコ』
『そ そ そっか』
『どうしたの?』
『いや、ゆうってそんな魔法使えたっけ?』
『うん、これって 魔石も素材も全部ペシャンコになっちゃってね だからあまり使いたくないんだよ』
『そっか・・・そうだよね、素材ね、うん素材だよね』
『うん』
ゆうは実は滅茶苦茶すごい奴なんじゃないかって、
でもまだレベル90にいってないんだよな~ほんとか?
なんて思っているとボス部屋の奥の壁に扉のように開かれた空間がありその先に階段が見えた。