境遇者の日常
境遇者の日常
――豊洲の朝は早い
さゆりさんはイヤな顔もせず、俺達とゆう達に毎週付き合ってくれれる。
そして日曜日 3人で素材狩り、豊洲の中級ダンジョンで3人ともデバフを掛けて正々堂々とダンジョンに入る。
さゆりさんが41,ゆうが39、俺が・・・29
28武神のデバフは効果が違う、軽くかけても35%ダウン、それに比べ俺は約30%ダウン
う~ん28武神、90の壁は思ったより大きい、本当にすごい。
そんな事を考えながら
さあ行こうか
3人向き合って
最初はグ、ジャンケンポン……うそ、また?
あ~
俺はとぼとぼ2人の後ろについて行き、
入口で初級ダンジョンと同じようにカメラ?の前に立つ
監視員が「探求大学の学生?」
「まあ」さゆりさんとゆうが誤魔化す。
確かにこんなに若くて41と39だもんな・・・
俺も90になりたいな~
ダンジョンに入るなり2人は滅茶苦茶暴れまくっていた。
プリーストなのに剣でモンスターを切りまくって、
アークウィザードが弓を使い、そして確かめるかのように
ありとあらゆる魔法をぶちかまして
電撃?エネルギーボルト、ファイヤーボウル、氷、炎
中級でそれはちょっとやりすぎだよ。
俺は・・・・・・2人が倒したモンスターの素材の回収でいっぱいいっぱい
いつのまにか俺のリュックがいっぱいになって、
「あの~、リュックがパンパンなんですけど」
「ん?」
「でも、まだドロップ品が出てないんだよね~」
「ああ 宝箱もまだだしな」
「いや、でももうこれ以上持てないですよ」
「そっか」
「はい」
ようやく2人が落ち着いて、俺の所に戻って背中のリュックを見る。
「まあ、今日はこんなものか」
「そうですね、また来週にしますか」
「しょうがないな」
って俺は全然戦う暇はなかった
2人は久しぶりのダンジョンで今までのうっぷんを晴らしたかのようにスッキリした顔で、
俺は重いリュックを背負ってくたくたになりながら出口近くでデバフをかけてダンジョンを出る。
そのままデバフを外しながら500m先にある冒険者協会の素材買取所に
買取金額は後日3人のカードに振り込んでもらう。
「こんなものかな」
「そうですね ドロップ品がなかったのが残念ですね」
えっ? 1日でこんなに・・・かなりの金額なんだけど・・・
「・・・・・・」
「あれ?かっくん どうしたの?」
「俺、全然戦えなかった、モンスター1匹も倒してない」
「そっか、ゴメンね」
「まあ、あれだ、かよわい女性に重い荷物は持たせられないって言う高谷のやさしさに甘えさせてもらって悪いな」
「そうですね かっくん やさしいから」
「はあ」
「まあそういうことで来週も頼む」
「かっくん来週も お願い」
2人とも勝つ気でいる、負ける事は考えないのか?
そんな顔して頼まれたら、くそー、あざとい美人は強い
「でも……」
「かっくんが勝てば良いのよ」
「そうだよなー」
負けても、マジックバックさえあれば、動ける、戦える・・・・・・
お金は貯まるけど、ストレスも溜る・・・装備が整うまでの辛抱か・・・・・・
平日は学校の皆と初級ダンジョン、日曜日は3人で中級ダンジョンで荷物持ち・・・・・・
最初の頃、豊島ダンジョンの28階層で、ホーンウルフ3頭を3人でそれぞれ1頭づつ倒し、トロールに出会った時、
ゆうが弓を放ったけれど、外してしまった。
100発100中のゆうが。
あわてて俺がトロールに向かって走り出し、さゆりさんが剣を構え、俺が傷つけまくって弱らせた所をさゆりさんが心臓部を刺して倒したけど、ゆうは、背中の、コアと素材がいっぱいに入ったリュックが邪魔でうまく動けなかったらしく。
後から聞いてみるとさゆりさんもそうだった。
背中のリュックがじゃまで剣が思いっきり振りきれない、ゲームの時は真っ二つになるはずが、倒すことはできるが一発で倒せない・・・
それを聞いて
俺も、特注の胡蝶双刀がなく、ちょっと長めのナイフを使っていたため、護拳部がないのであやうく指を切断しそうになり、慌てて回避して戦った事もあるから、本来の戦い方ができない事もあり、豊島ダンジョンと中州のダンジョンの中層あたりまでは、俺が1人リュックを担ぐ事になった。
ただそれだと俺1人モンスターと戦えない、
最初は、『それじゃあ高谷がつまらないだろうから、ボスを倒すのは順番にしよう』
と言っていたが、実は、俺はじゃんけんが強い、
ボス以外のモンスターを譲って、荷物持ちを買って出た事もあり、ボスを倒すのはじゃんけんで決める事を主張すると、俺に荷物持ちをしてもらって申し訳ないからという事で、俺の案が通った。
これで、俺1人でボスの狩りまくれる・・・・って思っていたのに・・・なんで・・・
俺、じゃんけんは強いはずなのに・・・あ~2人の言う通り、順番の方が良かった・・・
早くも1か月が過ぎ、今週末からついにGW!




