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プロローグ

宜しくお願いします

何番煎じか分からないほどの異世界転生ものです。

良くある設定、良くある物語の一つですが

お楽しみいただければ幸いです。


「男遊びが激しく、下男でもなんでも手あたり次第か…。宝石やドレス…を次々と買って散財しまくり、おまけに妹のファシアリンテを激しく苛め、とうとう見かねた国王陛下に王配候補の侯爵家の嫡男との婚約破棄をされ、妹のファシアリンテが次期女王と宣下されてしまったと…。悪女だな」


「ものすごい悪女ですね」


マーシュガイトラ帝国の皇太子の私室で、ケイハーヴァン=マーシュガイトラは部下のシツラット少尉と深く溜め息をついた。


「もっと他にいなかったのか?」


「近隣の諸外国を当りましたよ?侯爵家以上の家柄でケイ様と年齢の釣り合いも取れている御家柄と言えば、この建国5000年のワーゼシュオン神聖国の第一王女、リシュリアンテ王女殿下しかいないのですよ」


ケイは溜め息をついて調査報告書を再度見た。


リシュリアンテ=ワーゼシュオン 18才。何度、調査報告書を見ても醜悪な実態しか載っていない…とんだあばずれ王女だった。だが家柄は最高に良い。何と言っても遥か祖先は美と癒しの神シュオン神だ。


神の末裔…そんな神聖国の出自なのに、悪女と名高い王女しか今のケイハーヴァンには選べない。時間が無い…喪が明けるまで、と引き伸ばしていたが早くしないと…。花嫁候補が送り込まれてきてしまう。


「急いで婚姻の申し込みと訪問の準備を…」


「12刻までには準備します」


「頼んだ」


ケイは窓の外を見た。薄暗い…雨でも降るのか。


その日の夕刻


ワーゼシュオンにマーシュガイトラ帝国の紋章印が輝く婚姻の申し入れの書簡が届きワーゼシュオン国王はそれを見て恐れ戦いた。


マーシュガイトラ帝国はワーゼシュオンに次ぐ歴史ある大国だ。常に山向こうの魔の眷属と蛮族と争い勝利を収めてきた武勇の国だ。


戦争でも仕掛けられたらこちらに勝ち目はない。王は手紙を宰相に渡すと言伝てと共にリシュリアンテ=ワーゼシュオンの元に届けるように命令した。


「陛下はマーシュガイトラ帝国のケイハーヴァン皇太子殿下に嫁ぐように…と」


「そうですか、了承しました…と国王陛下にお伝え下さい」


リシュリアンテはそう言って宰相を見た。宰相は泣きそうになった。どうしてこんなことに…。


「姫様、私は納得出来ません…こんな、こんな…」


「カルント宰相、後をお願いしますね」


カルント宰相は何とか涙を堪えながら、深く深く叩頭した。



◇◇◇*◇◇◇*◇◇◇*◇◇◇*◇◇◇


わずか2日後にワーゼシュオン神聖国から第一王女リシュリアンテを乗せた馬車は到着した。


護衛は若い騎士たった1人。馬車が停まると、扉が開きその人は1人で馬車から降りてきた。


白銀色の癖の無い長い髪に淡い水色の瞳。抜けるような白い肌と優し気な微笑みを浮かべたリシュリアンテ=ワーゼシュオン第一王女殿下だった。


出迎えたケイハーヴァン以下シツラット少尉や部下の軍人達はあまりの美しさに皆、固まっていた。


妹王女を苦しめた悪女、あばずれ王女…今ゆっくりと歩いてケイハーヴァンの前に来た可憐で神々しいまでに美しい王女からそんな醜悪なものは一切感じとれないでいる。


おまけにこの王女の着ているドレスは何だ?首まで締まった紺色でまるで修道女のような地味なドレスだ。いや、逆に濃紺のドレスが白銀色の髪色に映えて綺麗だと思った…ケイハーヴァンは頭を振った。


気をつけろ、外見に騙されるな…これは最高の性悪女だ。


リシュリアンテ王女殿下はケイハーヴァンの前で綺麗な淑女の礼をして挨拶した。


「お初にお目にかかります。ワーゼシュオン神聖国より参りました、リシュリアンテ=ワーゼシュオンと申します」


ケイハーヴァンもリシュリアンテの前に騎士の礼をして膝をついた。


「遠路遥々良くお越し頂いた、ケイハーヴァン=マーシュガイトラと申す」


こうして2人は出会い、それぞれの思惑を抱いたまま婚姻するのであった。




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― 新着の感想 ―
[一言] 何番煎じだろうと面白く痛快でした!!
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