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鬼面の喧嘩王のキラふわ転生~第二の人生は貴族令嬢となりました。夜露死苦お願いいたします~【書籍発売中】  作者: 北乃ゆうひ
第四部 転生少女ショコラの学園生活

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事前の情報確認はちゃんとしようぜ

 前話登場のリッツェナさん

 前に出した時に名前を出してないと思い込んでいたのですが、ふつうにだしてました……(何度も確認したつもりなのに、おかしい……)。

 そんなワケで少し悩みましたが、過去に登場した名称であるルヴィアンの方を訂正し、リッツェナを正しいものとして進めていきたいと思います。よしなに。

 それにともなって、前話の表現を少し変更しております。本筋には影響がないので、気にせずに続きとして本話をお読みになって大丈夫です。



 今日は先日の約束通り、リッツェナとのお茶会だ。

 従者がいるなら是非とも連れてきて欲しいと言われたので、ミローナも一緒である。


「でもどうして、私も一緒に……と言われたのでしょう?」

「現役の従者からの意見とか欲しいんじゃない?」


 知らんけど――と最後に口にしつつ、侍従科へ。


 ちなみに、ヴィーナは放課後に生徒が独自に開催している騎士系の勉強会へ。モルキシュカは言わずともがな、自室で寝てる。


 結局、遠征会における一年基礎科の兵站(へいたん)を得るための政治的なあれこれの成否は、ショークリアの肩に掛かっていた。


(分かってはいたけどねー……)


 交渉さえ成立してしまえば、交換条件の物品の手配などは、平民生徒たちでも問題ないのだが、こればかりは仕方がない。


 とはいえ、基本は顔見知りとのお茶会だ。そんなに肩を張る必要はないだろう。


「んー……」


 それはそれとして、お茶会の会場の場所が分からない。


「お嬢様?」

「いや、場所分からなくてどうしたもんかな、と」


 ミローナとそんな話をしていると、通りすがりの女生徒が丁寧に一礼して訊ねてきた。


「何かお困りですか」


 その親切に、ありがたいと笑顔でうなずいて、ショークリアは答える。


「はい。侍従科の知人とお茶会をする予定なのですが、会場の場所が分からないのです」

「場所をお伺いしてもよろしいですか?」

「侍従科が授業でも使っているという、第三茶会練習室という場所だそうなのですが」

「私でよろしければご案内致しましょうか?」

「それは助かります。是非」

「かしこまりました。こちらへどうぞ」


 丁寧な仕草で案内を始めるあたりさすが侍従科――なんて思いながら、ショークリアは先行する女子生徒と歩き出す。


 ただ、どうにも彼女はミローナが気になるようだ。


「どうしました? 私の従者を気にされてるようですが」

「あ、すみません。ええっと、そちらは現役の方なのですよね」

「ええ。私が実家から連れてきましたミローナです」


 紹介すると、ミローナも歩きながら軽く目礼する。

 それを見、女子生徒は何か思ったのか、足を止めて振り向いた。


「あの……ミローナさんも、一緒にお茶会に?」

「はい。従者がいるのであれば連れてきて欲しいと頼まれたのですよ」

「……!」


 ショークリアがそう答えると、急に目を輝かす。


「失礼重々承知なのですが、そのお茶会を見学させて頂いても?」

「んー……私の一存ではちょっと……」

「あ、そうですよね……」


 しょんぼりする女子生徒を見て、ショークリアは首を傾げる。


「あの、なにかそんなに食いつく部分ありました?」


 それに少しバツの悪そうな顔をして、女子生徒がうなずいた。


「その……現役の方の仕事を間近で見たり、お話しを伺ったりする機会というのがあまりないので……」

「あー……もしかしなくとも、招待された時に、いるなら連れてきて欲しいってお願いされたのって」

「ご友人は侍従科の方なのですよね? 恐らく、私と同じように考えたからかと」


 女子生徒の言葉に少し考える仕草してから、ショークリアは嘆息を我慢しつつミローナに視線を向ける。


「ミロ?」

「私は構いませんが、それを求められるのであれば開幕お説教から始まりますよ?」

「ま、そうよね」


 ショークリアが苦笑しながら肩を竦める。

 それを見てから、ミローナはうなずき、女子生徒へと視線を向けた。


「理由は、貴女もご理解頂けますね?」

「……はい」


 その様子にショークリアは苦笑した。


(事前に理由を話しておいてくれりゃあ、あんま(こじ)れない話ではあるんだよな)


 気持ちは分かるが、侍従科生徒として少しばかり詰めが甘いと言えるだろう。


(貴族としての頼み事なのか、従者としての頼み事なのかも曖昧なままというのも良くねぇんだが、まぁその辺はいざミロが教えるとなれば指摘するかな?)


 ともあれ、そういう目的の生徒がお茶会に増えるくらいなら問題ない。

 なにせ、それを理由にこちらからの要求を高めることができるのだし。


「とりあえず、ホストには確認しますね」

「よろしいのですか?」

「やり方はともかく、そういう向上心には手を貸したくなるタチでして」

「――というお嬢様によく付き合っておりますので、私も問題はございません」

「お二人とも、ありがとう存じます」


 安堵したように礼をして、女子生徒は二人を第三茶会練習室へと案内するのだった。




「いらっしゃい。そしてごめんなさいね~」


 そうして、案内された第三茶会練習室に入るなり、どうやら待ち構えていたらしい下町のおばちゃんのような雰囲気の女性に謝罪された。


 部屋を見回すとリッツェナや、一緒にいる他の生徒たちもどこかバツが悪そうな顔をしている。


「えーっと……」


 突然のことで固まっていると、おばちゃん先生はあらやだと手をパタつかせてから、姿勢を改めた。

 その姿勢は、ショークリアから見ても完璧であり、その雰囲気から下町らしさすら消え失せて、歴戦の淑女へと変わっていく。


「侍従科教師のテレメイア・カッシュ・レンネットと申します。

 この度はリッツェナさんとの個人的なお茶会という約束でよろしかったでしょうか?」


 淑女――いや、これは従者だ。

 ミローナ……いや、ミローナの母のココアーナと同じかそれ以上の、仕える者としての完璧な所作だ。


 テレメイア教諭がそのような態度を取るということは、リッツェナの上司あるいは主人代行としての従者としての対応なのだろう。


 ……となれば、ショークリアがとるべき態度は生徒ではなく、お茶会に招かれたゲスト令嬢としての態度の方が正しいはずだ。

 きっと、ここでどう対応するかどうかというのも、教諭による審査が入る可能性がある以上は、手を抜けない。


 ショークリアも姿勢を正して、テレメイアに向き直る。


「はい。本日はリッツェナ様にお招き頂きましたショークリア・テルマ・メイジャンと申します」


 その様子に、テレメイアは少し驚いた様子と、嬉しそうな様子を見せたので、正解だったのだろう。


「確かにリッツェナ様とのお茶会の約束をしておりました。

 ですが個人的なお茶会かどうかというと、私としては少々違うと思っております。

 最終的な目標は近々に迫ってきている遠征会に関する相談として、侍従科の皆様への顔つなぎをお願いしたいところにありましたので」

「そうでございましたか――であれば、ますます申し訳ございません。交渉を兼ねたお茶会の場であったはずが、お話も通さずこのような多勢で待ち構えていたコトお詫び致します」


 そこまできて、ようやく謝罪の理由が分かったので、ショークリアは敢えて楚々(そそ)と笑って首を横に振った。


「お気になさらずテレメイア先生。

 侍女がいるなら連れてきて欲しいというリッツェナ様の要望の意味も、道中で把握させて頂きましたので」


 そう言って、「ね?」と道案内してくれた女子生徒に振れば、彼女も彼女でとてもバツが悪そうな顔をする。


「おや? そちらは……二年生ですね?」

「はい。その……ショークリア様が道に迷われていたので、案内させて頂きまして。その道すがら、本物の侍女であるミローナさんのお仕事を間近でみれるかもしれないと、可能なら見学させてくれないかと、お願いした次第……です」


 先輩だったんだ――と思いつつ、テレメイアに視線を戻す。

 

「道中でミローナに確認をしたところ本人も構わないと言っております。

 こちらの相談が終わった後にでも、ミローナとの時間を作っても構わないと、私も思っております」


 その言葉にテレメイアは深々とうなずいた。


「ありがとう存じます、ショークリア様。

 そして改めて、生徒同士のお茶会に教師としての私がいるコトの謝罪を」

「いえ、お気になさらず。状況的に、先生がいないのであれば私とミローナでしていたコトではありますので」

「あら? ショークリア様、ずいぶんと馴れていらっしゃいます?」

「ええ。近隣の領主様と、父の名代(みょうだい)で交渉をするコトがあります。そのご夫人方とのお茶会なども。それに個人的に欲しいモノなどを手に入れるのに大店(おおだな)の商人や、各種ギルドの幹部の方々とやりとりするのも珍しくはありませんので」

「あら? ふふ、こういうと失礼かもしれませんが、この子たちは良い相手に失敗したのかもしれませんね」


 少しだけ下町のおばちゃんモードが戻ってきたテレメイアが、淑女らしからぬ笑みを浮かべる。


 ――が、状況をなぁなぁで済ませる気はないので、ショークリアは、淑女ではなく文官の顔で笑みを返した。


「そうかもしれませんね。でも、授業料は頂きますよ? そこはしっかりやらせて頂きますので。うちの侍女の働きは安くはありません」

「最初から事情を説明してミローナさんを連れてきて貰えば、お安くすんだ可能性は?」

「あります。その場合は、私個人の考えもあるので、快く承諾していたコトでしょう。もちろんミローナの意志を尊重しますが」


 あらあら、うふふ――という下町系淑女スマイルのテレメイア。

 ふっ――とイケメンっぽい文官系紳士スマイルを浮かべるショークリア。


 おおよそ笑い合っているとは思えない空気を纏う二人に、リッツェナや先輩だけでなく、室内の生徒たちが青ざめるのだった。


 一方で、ミローナといえば――


(ま~た、ショコラが大事になりそうなコトしてる……)


 ――と、馴れたような呆れたようなことを考えながらも、澄まし顔でショークリアの側に控えていた。




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