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大好き  作者: ナード
9/19

9 二学期期末終了後①

 冬休みまでの間の緩やかな時間。

 授業は午前中で終わるからみんな午後は遊んでる。

 テスト終わった後からずっと栗原くんを探しているんだけど、会えない。

 隣のクラスだからすごく悔しい。

「あー、高木ーいいところにいた」

 B組担任、物理の田中先生に呼ばれる。

「はい、なんですか?」

「隣のクラスの栗原慶太、知ってるか?」

「ええ、まあ」

 ドキッとする。

「あれテスト終わってから学校来てねえんだわ。お前ご近所だからちょっとこれ届けて様子見てきてくれねえかな?」

 プリントを何枚か手渡される。

「住所知らないですよ」

「あ、だいじょーぶだいじょーぶ。今教える。ついでにケータイ番号もな」

 先生、個人情報が、個人情報が、ダダ漏れです……嬉しいけど。

「先生の方から高木が行くって電話入れとくから。んじゃよろしく」

 ……本当は先生が見に行かなきゃいけないのを、多分面倒臭がって私に押し付けたんだろうなあ。


 栗原くんちはご近所だった。以前送ってもらったときに5分で着くって言ってたけど本当。2ブロック先だった。

 ただ、これ、だいぶ大きいお家な気がするんですけど……壁がぐるりと取り囲んでいて、広さはうちの3倍はありそう。

 インターホンを押す。

「はい」

 栗原くんの声、ちょっとしゃがれてる。

「高木です。田中先生に言われて来ました」

「あ、うん。今開けるからそのまま中に入って」

 インターホンそばのドアの鍵が外れる音がした。え、家の中にいて開けられるの?

 恐る恐るドアを開けて中に入る。

 家までだいぶ遠い。アプローチを歩いていく。よく手入れされた庭が広がっている。

 玄関に着くと、ほぼ同時にドアが開いた。

「ありがとう、寒かったでしょう。入って。あ、俺風邪引いてるから少し離れるね。スリッパ適当に使っちゃって」

 マスク姿で赤い顔した栗原くんが立ってた。

「ああ、栗原くん大丈夫、じゃないよね」

「年に一度は風邪引くんだ。慣れてるから大丈夫」

 掃除の行き届いた室内。部屋も廊下も温かい。

 リビングに案内された。

 ……リビングだけで家より広いと思う。

「適当に座ってて」

 キッチンに消える栗原くん。しばらくするとティーコゼーとティーカップを持って戻ってきた。

「なにもないんだ、ごめんね」

 砂時計を見て、ミルクティに仕立てて入れてくれた。美味しい。

「プリントありがとう。風邪うつしちゃ悪いからちょっと向こうに行って読んでくるよ」

 キッチンの方へ移動してプリントを読む栗原くん。

 すごく咳き込む音がした。

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